#12、鷹の目、学級長!
例の学級長との遭遇。
とまぁ、ワイワイ話しながら、例の階段をヒルクライム!
「おい、後ろから見るとこう、ごつくなったな」
「へー。紙川、死にたいんだ?」
階段上から放たれた七咲の蹴りが、俺の頬を掠める。ココは階段だぞ! 正気か?
「七咲。落ち着け。ココは階段だ」
「いや! お前のせいじゃ」
「仲いいよな、お前等。まったく、羨ましいぜ。おらぁ、幼馴染いないからよ」
山崎がしみじみ言う。
「羨ましい?これがか。山崎、お前に自殺願望があったなんてな、悩みがあんなら相談のんぞ」
「はぁよぉ、そぉいや、七咲さんって紙川と同中でしたっけ」
「そうだよー、安田君。幼稚園も、小学校も同じ幼馴染。はぁ~、患って十六年かぁ」
「お、七咲、奇遇だな」
「んだとぉ!てめぇ、死にてえか?」
「いや、お前が言い始めたんじゃん」
踊り場でヘアピンカーブ!つまり、折り返す。踊り場から見える吹き抜けの、立体な空間の広がりは、学校というのが一種の、非日常であることを意識させる、はずなのだが、もはや、見飽きた。新鮮だったのは最初だけ。今はもう、道端に生えたブタクサと同じ価値。
「七咲、鍵ないんだろ、先、職員室行くか」
「でも高峰ちゃんと入れ違いになってないか、確認してからにしよー」
「なんだ、その気の抜けた声。猫被ってるだろ」
「違いますけど。誰かさんがイライラさせるから、口調が変わるんですけどー」
「大変だなー、そりゃ」
「う?原因、お前だよ?」
「おお、教室、電気ついてまっせ、姉貴ぃ」
「ほんとー、山崎君。ありゃー、あそこでパン食べてたのは失敗。別ルートからかー。待たせちゃったかな。階段沢山あるから、思えば、入れ違いになりやすいんだよねー」
「いやぁ、七咲さん。やっちゃいましたね」
「なんで紙川は、嬉しそうにしてんの?高峰さんに、報告しとくわ」
「それだけは勘弁してくれ。それに、いじめてあげるな」
「なんで、私がいじめたみたいになってるワケ?」
「やっぱ、そうだったか」
七咲は振り返る、階段上からニコヤカに胸の前で手の平をスタンバイさせた。
「手押し相撲やろうよ」
「お、おい。興奮すんなって、ちょっと冷静になれ」
「いや、他人事みたいに言ってるけど、貴様のせーだからね」
「代わりに七咲さん、俺とやりましょうよぉ」
安田がスタンバる。止めとけ、止めとけ。
「アハハハ、手汗凄いしー。それにほら、階段だと危ないから、ほりゅー」
「うっす!」
おい、それでいいのか、安田。
階段を登り切って、スクエアライト。最後に十字路を普通に曲がる。勿論、その間も七咲には!!!【トリプルコーション】である。
ドアに手を掛けて、木製の扉を引く。
”右に引く ”
う、眩しい。
斜めに射しこむ、生まれたての日の光が、顔を照らす。朝日で目を傷めないよう、細目で教室内を見ると、教卓を背中、真っすぐと屹立する女子生徒のシルエットが浮かび上がった。後光が射してる仏像のようにも見えるし、視界の瞼が黒帯なら、映画的な一コマにもなった。いや、どっちも無理があるか。
腕を体の後ろでゆるく組む、いかにも体制、なポーズには見覚えがある。あれは高峰学級長の癖なのだ。俺は身近なことに対して詳しくない方だが、自分が興味惹かれる物、例えば、人の仕草とかには敏感。シルエットだけでも当てられるね。………………もっとも、教室にいるのは消去法で一人しかいないが。変なおじさんが『やぁ』とか、間違ってもないだろ。
「学級長、おはようございます」
「————————————おはよう」
今回は、予定と大幅に変更する、実験回です。元のプロットには無い会話で、冒険です。いやぁ、会話は誰が言ってるのか分かりにくくて困るよ。今回は発作的に書いたので、数日後に、また書き直すかもしれません。読点の使い方がいまだ、はっきりしない。