▼行間 ▼メニューバー
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
紙川涼は探偵じゃない〈物語の限界・不可能推理〉~罪のアントは罰である、何故なら罪とは罰されない事であるから、ならば俺が罰することは罪なのだろうか?~ 現世ッ、推理無双!! 作者:高黄 森哉
17/21

#17、Death from above.

山崎とマネキンを運び出す。


 紙川は被覆室に着くなり、ドアノブの鍵穴に鍵を差し込んで、クルッと回すという、おおよそ原始人でもない限り、叙述不要な操作をする(いや、どうだろうね)。ガチャガチャと操作して、扉を奥へ開いた。不要と言えば、ドアノブが成したオノマトペをそうじゃないか(いや、どうだろうね)。やがてこの視点も薄れていく。この世界では異物なのだから。だが心の声として、存在させてもらおう。


 部屋の中は衣服を扱う教室らしく、埃っぽい。あとさ、柔軟剤とか、他にもお日様の匂いがする。懐かしいけど、口にするほどではない。


「紙川、このマネキンなんてどーだ?年季が入ってて、渋みがある。いい出汁が取れるぜ。それにこの顔を見ろ。こいつはうまいぞ」


 マネキンと馴れ馴れしく肩を組むのだが、あっそう、としか思えない。唯一の感想は、コイツ一生、こういうノリで生きていくんだろうな、だった。


「なんでもいいけどさ、それ、関節付きじゃないから却下な。こっちにしようぜ」


 俺もさっきの山崎みたいに、肩を組んだ。向き合った二人組、まるで社交ダンス。いやそんなメルヘンじゃなくて奇怪な呪術の下準備かね。


「おいおいおいおい、紙川さんよおー。性別が頼まれたのと違うじゃありませんか」

「服、着せれば何とかなんだろ。ほら、これ、のっぺらぼうタイプだし」


 妥協もある程度は必要だ。妥協以前に間接付きはこれしかないのでね。


「運ぼうぜ。俺は足持つから、山崎、頭を頼んだ」

「そうすりゃあ、階段降りる時、パンツ見えるってか?」

「ねえよ、お前の脳みそは桃色かっ! 頭蓋骨から漏れ出してんぞ」

「桃色? 手前が言いますか、この破廉恥目」

「別に俺は桃色だが。生憎、ネクローシスは起こしてないんでな。そもそもだな、そう言うお前だって、股間に頭当たってんぞ」


 なんならな。山崎の担当は頭なのだ。


「当ててるからセーフだ」

「なおさら、アウトだろ」


 そんな風に危ない軽口を叩きつつ、マネキンを運び出す。————————————運び出す姿も、遠目で見れば、死体隠蔽に精を出す二人組みたいで、危ない。極めつけにこのマネキン、男性モデルである。危ない。

 廊下を歩いて右に出る。意識を失った怪我人を扱うように、そして壊さないように、慎重に。………………意外に疲れるな、これ。間接付きだからか? 舞台は数学教室なので、例の階段を下りる必要があった。


「階段には気をつけろ。万が一、動かなくなっちまったら、モノ本のミステリィが始まっちまうからよお」


 そんなこと言われてもな。いや、待てよ。


「もしそうなったら、保健室に速攻連れてけ。………………隠蔽しようとすな、隠蔽を」

「違うチガウ、誤解だ。仮に死んでるのが分かったら、の話だぜ」

「仮にそうだとしても、生き返るかもしれないから連れてけって。それか自首しろ。————————————そう言うお前も気をつけろな。落ちてきたら俺、潰れちまうから」


 頭上から(デス・フロム・)の死(アバゥブ)、である。


「そんなに太ってないわい」

「……………………………」


 まあ、動けるデブみたいな体形だからな。それでも九十キロは、あるだろ。


「なあ、そう言えばカミィ~」

「それ、…………俺か?」

「嗚呼、そうだぜ。——————もしさ、明日死ぬとしたら、おま、どうする?」


山崎のキャラが、安田と被ってないか心配だ。被ってると感じたらコメントが欲しい。ないなら、このまま続ける。

  • ブックマークに追加
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
ポイントを入れて作者を応援しましょう!
評価をするにはログインしてください。

― 感想を書く ―

1項目の入力から送信できます。
感想を書く際の禁止事項をご確認ください。

※誤字脱字の報告は誤字報告機能をご利用ください。
誤字報告機能は、本文、または後書き下にございます。
詳しくはマニュアルをご確認ください。

名前:


▼良い点
▼気になる点
▼一言
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。