#18、絵に描いたような杞憂
マネキンを手に入れた、山崎と紙川は、階段を降り、開放的な外廊下を突き進むのだった。
なんで、そんなこと聞いた?
————————————明日、死ぬか。
「死にきれないだろ。————————————することリスト。やり残したこと、ゴマンと残ってるし。その大半は高校の時しか出来ないことだが」
そうだろうな。高校終わったら何しよう。目的もないまま、大学生活を始めてそうだ。
「じゃあ、高校終わったらさあ、やり残したこと消化したら、お前、消えるのか?」
「いいや。トゥドゥリストの品揃えは、更新されていくから。————————————それに、高校が終わったら、
「なんか、らしくない回答だな」
確かに、俺らしくない嫌な回答だったか。
でもどうなんだろ、想像して見ようか。突然表示される、この先進んだら戻れません、の表示。取り残したアイテムは心残り。いつかはそんな日が来るんだろうか? 俺がこの高校から足を洗う日か。全く、想像できん。
「じゃあ、化けて出るか。この学校の地縛霊だ」
キャラ修正、いつものキャラで行こう。
「なぁ、じゃあよお、化けて出るなら、どこがいいんだ?」
山崎は階段の中腹、つまり例の階段の踊り場で足を止め、ニヤリと唇を歪めた。
———————————— 三拍置いて、その笑みの裏側にある意味を理解する。
つまりこういうことだろ。
「そうだな、体育館倉庫、王道を行く!」
「フッ、甘いわい。ミツバチのように甘い!」
「山崎、それを言うなら蜂蜜だろ」
また歩き出す。階段を一歩ずつ、確実に。
「………………………………」
「それもアリだが、体育館倉庫で、あんなことやこんなことが行われるのは、九割がたフィクションだぜい」
「んん? 逆に一割も存在するのか」
まずどういう計算だ、それ。人数に対する割合なら、クラスに四人ぐらいいる、いや二人組か。
「おうよ、ちなみに俺ちゃんは更衣室。名前の下に行為って書いてあるしな。完璧だろ」
ガッツポーズ。二の腕の肉が弾性から震えた。と同時に、マネキンがガクンと沈み込む。お前、両手で持て、両手で。
「いや、意味わかんねぇーよ。その理論だと、好意イコール行為になりかねんのだが」
「深いだろう?」
「不愉快だ」
地縛霊って原則、しんだとこに出るんじゃなかったか。なら、どうしたら更衣室で死ねんのか。その状況を思考実験しつつ、階段を降り切り、風の吹き抜ける開放的な外廊下を進む。ここを通るたびに、頭頂部がくすぐったくなるんだよ。だってよお、廊下が落ちてきそうな感じがするじゃん。絵に描いたような杞憂なんだけどさ。
ところで、数学教室は外廊下を越えた西棟にあるんだ。西棟、別名特別教室棟。その名の通り、理科室とか、美術室とか、普段使わない教室が押し込まれているのでいる。
最近、ダレてきた。が、しかし、個人的に最終回まで頑張りたいと思う。