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紙川涼は探偵じゃない〈物語の限界・不可能推理〉~罪のアントは罰である、何故なら罪とは罰されない事であるから、ならば俺が罰することは罪なのだろうか?~ 現世ッ、推理無双!! 作者:高黄 森哉
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#2、世界観説明

 詩丘さんとの出会いを中心に書かれる。この話の導入部分、まだまだ世界観の説明は続けるつもりだ。物語が動き出すのは中盤以降なので、そこまでの辛抱。


・条件1→夏の暑さに常識は融け出さない。あったとしても比喩表現。この世界は現実から脱線しないので、この世界の謎は、その中で完結する。


 じゃあ、なんでまだ裏門についてないんだよっ。それは何故か?単純につらい時ほど時間は遅く、距離は長く感じるという、サディスティックで曖昧な人間の感覚のせいだった。あとはそう、詩丘さんと道端で偶然出会い、一緒に登校しようとなったんで、一回り小さい少女の歩調に合わせることとなり、感覚が狂ったのかもだ。人間は欠陥だらけだから、曖昧なのだ。


・条件2→そう何時だって、————————————どこだって完璧な人間はいない。つまり全ての主観は流動する。揺らぐ、例え、主人公でさえ。


 じゃあ、今の気分はどうなんだっ、てな。分かりやすく表現するなら、うっかりマンホールに座礁して死を待つミミズ。わはぁ、そりゃ時間、長く感じるわ。

 いったいどうして、こんな気分になってまで学校に行かねばならんのだ。そのイライラを理不尽にも、隣の詩丘さんへぶつける。ドーン。精神的に大人だから、引っかかるイガイガを温かく受け止めてくれるだろう。とにかくぶつける。さあ、どうでるか。


「詩丘さん、なんであんなところに学校、建てたんですか?モノレール建ててくださいよ、モ・ノ・レール」

 っあ、因みにわが校は山頂にある。コレ、比喩じゃないぞ。ガチでマジで、山頂にあるのだ。だから登校するたび、リアル登山を強いられる。っく、青少年虐待反対!登山と登校は俺にとって、同義(シノニム)だった。


「え、いや。私が建てたわけじゃないし!?えっとそれ、西高の事だよね。まあ学校って、近隣住民の迷惑になるから、人気のないとこに建てるのがオーソドックスだし。先生達はクレーム対応に追われなくていいなら、多少の利便性は犠牲にしそう。……………………いや、別に教師を悪く言ってるわけじゃないよ。その、うん」

「なるほど、クレーム対応。確かにうちの生徒は常時チンパンモードに設定されてますから。人気のない山の上なら遠慮なく吠えられますし、好きな時に野生へ帰れる、と」


 ————————————チンパンモード、というのは嘘。ユーモアのスパイスみたいなもん。いたって真面目な校風で、教師は男女問わずさん付けを徹底してたりする。『詩丘さんは転校生だから、デマを流すべきではない』や、『誤解が原因で、初日から登校拒否になったら、どう責任とんだお前?』とか、そんな湧いて出てきた不安を吹き飛ばすように、詩丘さんはHAHAHAHAと快活に笑った。この調子なら大丈夫だな。きっとうまくやってけるさ。


「いや、そう言う紙川君はココの生徒じゃないか。まるで教員みたいな物言いだったぞ。ハハハハハ」


 やはり快活に笑った。笑うとこ、そっち!? まあいいか、ハハっとこっちも笑っとく。”あなたも夏休み明けたら、うちの生徒っすよ”そう言おうとしたが、あまりにも笑うんで期を失ってしまった。てか、意図しない所で笑われると微妙だな。



 そんな風に笑う詩丘さんと出会ったのは、結構最近。いかにも昔からの付き合いです、みたいな雰囲気を漂わせているが、総計しても二時間くらいしか話してない。夏休みが始まってすぐの事だったかな。彼女にエンカウントしたのは。

 まてよ、今思い出してる。

 ……………………えっと、確か上履きやらなんやらを持ち帰るのを忘れて、……………………そんで学校に取りに行ったんだっけ。処分がどうとか、こうとか、

 ほう、思い出したぞ。

 一人で走るには退屈すぎる坂道(じごく)を進み、ダートな駐輪場に自転車を止めて、んで、正門を横目に桜の木と校舎の合間を抜けると…………………、

 玄関前、校舎を見上げる女生徒の姿があった。

 これがおっさんだったら然るべき機関に通報してただろう。だが、その女性は見た感じ同年代だったので、取り敢えず親切心から声をかけることにした。おっと、とても紳士的に、が抜けてた。とても紳士的に声をかけた。


「お困りですか?」

「っえ?あ、いや、ちょっと図書館の位置がね。分からなくってさ」


 初対面、さらに同年代でその砕けた口調はハードル高いぞ、なんて最初のコンマ一秒は思ったが、じわじわと、これが話しやすいと感じた。この人とは仲良くなれそうか?


「図書館ですか? 確かに、うちの学校、分かりにくい場所にありますよね。なんでも五年前の改修工事で端に追い込まれたそうですよ」


 一年の最初、図書館利用案内で、司書の先生がぼやいてたな。


「はぁ、そうかい。道理でね。大人しく用務員さんに聞くべきだったよ。とほほ」


 用務員さん?


「分からないなら職員室で聞けばよかったんじゃ?」


 夏休みでもあそこは、夏休みしてないだろう。普段と変わらない日常ってのが広がってそう。俺と安田がいないのを除いてな。


「一回、『私、分かりますので大丈夫です』って言っちゃったんだよね。それに教師は苦手でさ。いまい

ち信用できないんだよ。あれは道化だね、道化。全員がそうだとは言わないけど」


 なるほど、前者オンリーで気持ちは分かる。後者はちょっと同意しかねるが。不信でもあるのだろうか。あとそうだ、うちのホームページはそろそろ更新すべきだな。五年以上前の情報を載せるな。この人みたいな迷子を量産しかねない。


「ほら内から駄目なら外からどうだ、ってね」

「ああ、引いて駄目なら押してみろ、的な」


 何の話だろう。適当に同意してしまったので理解してないまま話が進む。


「そうそう、あと自分でたどり着くのも醍醐味だしね。推理して、消去法さ」

「あっと、消去法?」


 小説は読まないし、ドラマも見ない。TVも天気予報だけ派、そんな俺でも字面で分かるのだが、会話のために、————————————そのギャップを埋めるために聞いとこう。もっとも隙間を無くせば挟まるだけだ。


「そう消去法、外部から図書館じゃない教室を埋めていくんだよ」

「まさか、」


 あれだ、冗談だろ。……………………多分そう。でも聞いてると不安になってくるのは俺だけか?結局、紆余曲折あって、————————————西高に一年ちょっと通った先輩として、道案内を買って出た。


「ここです。着きましたよ。えっと、————————————そういや、名前、なんですか?」

「詩丘です」


 詩丘さんとやらは、間髪入れず答えた。


「そすか、俺、紙川です」


 …………下の名前、なんだろう。

 兎に角、爾来(じらい)、知り合いである。





 本当はデスラノベに出したかったけど、資格がないのと、なろうでウケそうにないジャンルだったのであきらめた。調べてみたらミステリはかなりの辺境らしい。大丈夫だろうか。目にも止まらないのに停滞しそう。どうすればいいのか分からない。サブタイトルの使い方がいまいち分からない。あと横書きが、思ったより苦手だ。

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