GDP実質年率12.7%増、10~12月 20年は4.8%減

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永浜利広さん他2名の投稿永浜利広滝田洋一梶原誠

内閣府が15日発表した2020年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質の季節調整値で7~9月期から3.0%、年率換算で12.7%増えた。2期連続のプラス成長だが、GDPの水準は新型コロナウイルスの感染拡大前に届かない。20年通年は4.8%減と11年ぶりのマイナス成長となった。

10~12月期の成長率は比較可能な94年4~6月以降で2番目の大きさ。年率22.7%増と記録的だった7~9月期に比べると縮んだもののなお大きい。内需が2.0%分、外需が1.0%分押し上げた。

GDPの過半を占める個人消費が前期比2.2%増えた。自動車や携帯電話の販売が堅調だったほか、政府の需要喚起策「Go To」キャンペーンなどにより外食も好調だった。内需のもう一つの柱である設備投資は4.5%増と、3期ぶりにプラスに転じた。半導体製造装置など生産用機械が増えた。

内閣府が事前にまとめた民間エコノミストの予測平均(前期比年率10.2%増)を上回る伸びとなった。設備投資や個人消費など内需の寄与が予測を大きく上回り、全体を押し上げた。

20年通年の減少幅はリーマン・ショックの影響で5.7%減った09年に次ぐ過去2番目の大きさとなった。個人消費が5.9%減と、比較可能な95年以降で最大のマイナス幅だった。

10~12月期GDPの実額は年額換算で542兆円とコロナ前のピークだった19年7~9月期(559兆円)より約3%低い。政府が緊急事態宣言を発動した1~3月期に再びマイナスに転じる可能性があり、コロナ前への回復はさらに遠のく。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

  • 永浜利広のアバター
    永浜利広第一生命経済研究所 首席エコノミスト
    分析・考察

    寄与率で見れば、年率12.7%成長の6割近くを輸出の増加で説明できます。また、4割近くが個人消費の寄与となってますから、成長はほぼ輸出と個人消費で説明できます。 輸出は海外経済の回復によるところが大きく、今後も期待できますが、個人消費についてはGoToの押し上げがかなり効いていることからすれば、緊急事態宣言が再発出された2021年1-3月期は個人消費の大幅な落ち込みが予想されます。 このため、3か月後に公表される翌四半期のGDPは逆に大幅マイナス成長に転じる可能性が高いでしょう。

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  • 滝田洋一のアバター
    滝田洋一日本経済新聞社 編集委員
    分析・考察

    20年通年では4.8%のマイナス成長となりましたが、先進国のなかでは日本は善戦した方です。先週発表の英国の成長率はマイナス9.9%と、落ち込みは日本の倍以上。1709年(マイナス13.4%)以来、311年ぶりの減少率になったというのですから。 1709年といえば、欧州をThe Great Frostと呼ばれる大寒波が襲い、日本では将軍徳川綱吉が没し、生類憐れみの令が廃止された。そんな昔です。コロナ禍は1920年のスペイン風邪以来のパンデミックであり、各国の経済を苦しめたのですが、日本の経済運営は失業率を3%程度にとどめた点を含め、再評価してよいのではないでしょうか。

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