節電ソフトの評価 (キヤノン HOME-ECO)

震災による電力不足に向けた対策の一環で、PC周辺メーカーやソフトウェア会社からも、節電に役立つ各種のツールを提供する動きが出ている。先日、キヤノンマーケティングジャパンから企業向けのネットワーク環境管理ソフト(HOME-ECO)を期間限定で一般向けに無償公開するとのリリースがあったので、機能を確認してみた。

キヤノン HOME-ECO 無償版
キヤノンマーケティングジャパン HOME-ECO 無償版


魅力的な機能としては、まず、中核機能にあたる、直近一週間程度のPC使用状況を学習して省電力関連の設定を自動調整できる機能がある。また、ソフト使用者の節電データを集約して、全体でどれだけ節電できたのかをHP上で表示するソーシャル的な機能もついている。これらは、以前、こういう機能がほしい、あるいは、あったら面白いと書いたとおりの内容だ。

キヤノン HOME-ECO 省電力設定の学習機能


逆に、あと一歩の点としては、まず上記の学習機能に、ディスプレイの輝度を自動調整する機能は含まれていないことがある。これは以前にも書いたようにいちばん設定替えがひんぱんで面倒なところなので、ないのが惜しいところだ。

それから、「節電実績の集約」機能だが、この部分は一点気になっていることがある。これを行うためには、当然ソフトウェアがネットワークと通信して成績データをベンダーに送信する必要がある。が、PCからどのようなデータを送っているかについての断り書きが利用規約やマニュアルには見当たらないようだ。

ソフトウェアの登録情報をみると、このソフトはもともと、「オプティム」というソフトウェア・ベンダーのOEM製品らしい。そちらの同等製品の利用規約をみると、以下の記述がある。

・情報の収集と利用
本製品は、サービス提供会社が提供する提供サービスの内容を実施するために必要なコンピュータの一部の情報(オペレーティングシステムの情報やネットワーク情報、ソフトウェアのバージョンなど)を定期的に収集します。収集した情報はサービス提供会社が提供サービスの内容を実施する目的で利用する場合があります。


キヤノンの製品についても、同様の仕様になっていることが推定される。単純に考えると、利用者全体の累計の節電実績を正しく集計するためには、利用端末にソフトウェアで生成した個別IDをふって、ばらばらに飛んでくる実績データについて集計が重複しないようにする必要があると思われるが、その目的のためにそれ以外の端末環境の情報まで収集する必要があるかどうかは、正直判断しかねるところがある。節電実績の集計機能は、省エネルギー活動への参加意識を高める意味で面白いものだと思うが、このように使用端末に穴を通してデータを外に持ち出すこととセットになる。必要な情報を開示し、信頼性をじゅうぶん担保することが、機能を有効に活用していくうえでの前提になるだろう。


評価内容は以上である。電力不足はとうぶん続くことが予想されており、これからもいろいろな工夫が出てくると思うので、期待したい。


2011/6/3追記> 上記の情報取得の件に関してキヤノンMJの担当者の方より、通知を追加したとの連絡があった。確認したところ、トップページに記載されている。迅速な対応と、丁寧に連絡いただいたことに感謝します。





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2011/05/14 | TrackBack(0) | 情報技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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