清水教授のお話では、電気自動車は故障しない。ホイール・イン・モーター、つまりフレームの中にモーターがセットされていて、ラジエーターもファン・ベルトも、ミッションもクラッチもない。もちろんエンジンもありません。だからモーター以外、壊れるところが無いのです。そのモーターでさえも、最低30万キロメートル(km)は持つといいます。30万kmといえば、今のガソリンで走るエンジン自動車がほぼスクラップになる距離です。スクラップになるまで、どこも故障しないのが、電気自動車です。
何十年にもわたって車の下から上向きにガソリン車を見てきた根っからの中古車屋の、実感のこもったこの言葉には、製品開発の先端を走る企画屋のそれとはまた違った、独特の迫力がある。
この構造の単純さと耐久性は、前回見たような「所有から使用へ」という大きな流れにも添うものでもあるだろうし、そう考えれば、他で同社が始めたカーシェアリング事業などとも完全に首尾一貫した布陣だということがわかる。
もちろん、EVのこうした特性は、ちょうど自転車においてみられるような、使い切りタイプの極端なコモディティ型と、正反対の超高価格帯製品への二極化につながっていくことも容易に想像できるし、そのことが中古製品の流通という同社の中核ビジネスとどのように整合していくのかという点も今後注目されるところだ。
個人的には、EVはほんとうにものになるのか半信半疑なところもあったが、こういう話しも聞いて、ちょっと印象が変わってきたところである。