日テレ「スッキリ」のアイヌ差別問題、背景には「番組の構造的な歪み」があるかもしれない

片岡 亮 プロフィール

「実際にどうだったかは外部からは分かりませんが、かなり恥ずかしい弁明なので、おそらく事実でしょう。勉強会をしっかり受けていた人間がちゃんと揃っていたら、台本に問題発言の部分を見て誰かは気付くはずだったのが、それができなかったのは、たとえば最終判断するプロデューサーが台本をきちんと見る習慣がなくなっていたとか、勉強会から漏れた人間が現場にいたとか、複数の要素が重なったことも考えられます」

 

番組そのものの歪み

番組プロデューサーは本来、責任者として番組すべてを監督する立場にあるが、「人によって収録の細部までは見ず、台本を流し読みしてスタジオ収録に立ち合う程度ということもあります。今回の担当プロデューサーがそうだったかは断言できませんが、そうでもないとアイヌ関連を見過ごすことはまずありえない話」とプロデューサー。

さらに、「現場の人間でも下請け制作会社から人事の異動で来たばかりの人や、他番組と掛け持ちで手伝っているような人が多いと、勉強会に出てないケースもある」とする。

同業者から見て、そんな複数の要因が重ならないと起きないと思うぐらい不可解な今回の問題だが、プロデューサーは「番組自体がちょっと歪んだ体制になっている可能性も感じる」という。

「MCの加藤浩次さんが前に所属の吉本興業の批判を番組でやったことにはかなり驚きました。個人の会社への不満を放送でやるなんて、ハッキリ言えば番組の私物化で、しかも批判相手は局としても関係の深い吉本。今回の契約終了でも加藤さんは、番組で寝耳に水の話だったようなことを語っていたり、相変わらずの姿勢がありましたが、もし自分がプロデューサーだったら、それはやめましょうと止めますよ。だから番組としてもバラエティ番組のノリで暴走しやすい空気にあったのか、と疑ってしまうんです」

関連記事