日テレ「スッキリ」のアイヌ差別問題、背景には「番組の構造的な歪み」があるかもしれない

片岡 亮 プロフィール

勉強会もやっていたはずだが…

それでも起きたのが今回の問題だ。3月12日、番組内のコーナーで、動画配信サービス「Hulu」で放送されるアイヌ女性のドキュメンタリー番組を紹介したが、お笑い芸人の脳みそ夫が「この作品とかけまして、動物を見つけたときと解く。その心は…あ、犬」と発言。同時に番組ではテロップで「あ、犬(アイヌ)」とも出ており、これに視聴者から批判が殺到した。

番組や芸人にアイヌを差別する意図はなかったと思われるが、「犬」は過去にアイヌ差別に使われてきた言葉として、国会議員がその被害を報告したこともあるものだ。前出のプロデューサーも「その方面に詳しくなくても、自分が担当者だったら100%、これは即ダメだと止められた内容」と言っている。

 

たとえ出演タレントが無知であっても、番組側のチェックで本来なら止められたはずだった。

「特に報道に属する番組は、入念に勉強会もやっているはずです。スッキリはバラエティ番組の色が強いと言っても、政治社会のニュースを扱う情報番組。本来なら、アイヌを扱うと分かった時点で緊張して着目するのが自然」(同プロデューサー)

番組サイドは今回のミスについて「制作に関わった者に、この表現が差別にあたるという認識が不足していた」「番組として放送に際しての確認が不十分だった」「結果、十分な正しい判断が行われないまま放送してしまった」としており、チェックミスのみならず担当者に差別認識がなかったことも認めていた。

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