• 神の暗号 神秘のパズルカービィボウル 第1回 対称性破れて推理あり

    2017-02-08 22:2123
    さっそくだが、1つ質問をしてみたい。
    あなたは、カービィボウルはどんなゲームだと思いますか?
    答えは人それぞれだと思うが、おそらく多くの人は、カービィボウルはアクションゲームの1つと認識しているのではないだろうか?実際、任天堂のサイトでも、カービィボウルのジャンルはアクションゲームに分類されている。

    しかしながら、カービィボウルに長く触れていると、また別の側面が見えてくる。

    それは、安定した攻略方法を導き出すパズルゲームとしてのカービィボウルだ。
    カービィボウルはアクションゲームではあるものの、攻略ルートの取り方によって、アクションの難易度は大きく変化する。
    つまり、力業で難しいアクションを実行していくだけがカービィボウルではなく、簡単なアクションで攻略可能なルートのパズルを解くことも、カービィボウルの大きな要素なのだ。

    さて、ここまでは、ある意味で『まともな』カービィボウルの解釈である。しかし、あるとき私は、カービィボウルのもう1つの隠された側面に気がついた。まさかと思うだろうが、カービィボウルは、ミステリーでもあるのだ。そして、それこそが、このシリーズで扱う題材である。

    カービィボウルには、いくつかの不思議な仕様がある。それらは一見すると、バグの様に見えるかもしれない。しかしその中には、ミステリーとしてのカービィボウルを解くための重要なヒントが隠されているのだ

    カービィボウルミステリーのスタート地点は、カービィボウルにおける対称性の破れという現象だ。この現象の概要は、下記動画の5:50~を確認してほしい。



    上記の動画の中で触れているように、対称性の破れは、簡単に言えば、同じパワーで打ったショットの移動距離が、カービィが正方向に進む場合と、負方向に進む場合で異なるという現象である。この対称性の破れ自体は、カービィボウルの数多くある仕様のなかの1つにすぎない。

    しかしながら、ミステリーとしてのカービィボウルを語る上では、この対称性の破れは欠かせない存在となっている。今回は、それを説明するために、この対称性の破れを使って、カービィボウルミステリーのベースとなる謎に挑戦してみようと思う。

    詳細な導出は次回以降に回すので、そういうものだと思っていただきたいのだが、いくつかの推測から、平面状で軸方向にゴロを打った場合の、カービィの移動距離dとカービィが動いているフレーム数Tは、ショット開始時の速度v0と、1フレームあたりの減速量rを用いて、それぞれ次の式(1)、(2)の様に表されると予測できる。

    注1:mod(a,b)はaをbで割った余りを表す関数とする
    注2:min{a,b,c,…}は、a,b,c,…の中で最小のものの値を表す関数とする
    注3:各値は整数値をとる。
    そして、また別の観測結果から、対称性の破れでカービィの移動距離dに差が生じる原因は、v0ではなく、rに差があるためだということも分かる。

    そこで、下記の仮定を置き、この仮定のもとでカービィボウルの1フレームあたりの減速量rが推定可能か検証してみよう。
    • v0は、打ち出すパワーが同じなら、正負の方向の違いにかかわらず絶対値が等しい。
    • 正方向に進む場合の1フレームあたりの減速量r+と、負方向に進む場合の減速量r-は異なり、それぞれ正方向に進むときの減速量の絶対値rを用いて、下記の様に表すことができる。ここで、hはカービィボウルの座標系における最小単位とする。

    • 各パワーにおいて、ゴロを打ってカービィが動き始めてから静止するまでのフレーム数が測定されており、正方向はT+フレーム、負方向はT-フレームで表される(※各パワーで別々の値をとる)

    まず、とあるパワーにおける、正方向と負方向にゴロを打った場合の、カービィが静止するまでの運動を考える。式(2)に正方向の値T+とr+を代入すると下記の式(3)、式(2)にT-とr-を代入すると式(4)が成り立つ。


    次に、(3)の両辺にr、(4)の両辺に(r+h)をかけると下記のようになり、


    (3)’-(4)’より、下記の式(5)が導ける。


    そして、式(5)の両辺を(r+h)で割ると、下記の式(6)の形になる。



    このとき、右辺のそれぞれの項のとりうる範囲を考える。
    すると、赤、青、緑、黄のそれぞれの項は、0~1の範囲の値しかとらないことは容易に分かる。そして、右辺の値は、赤と黄が1で残りが0のときに最小値-2、青と緑が1で残りが0のときに最大値2をとる事が分かる。

    よって、右辺の値をαとおくと、αは-2から2の範囲をとる変数となる。この変数αを、式(6)に代入すると、式(7)のようになる。
    これをrについて解くと、下記のようにrをT+とT-とαとhで表すことができる。


    hはカービィボウルの座標系における最小間隔であるから、これを1とすると、rの値をαの値によって定義する関数はf(α)は、次のように表される。



    ここで、T+とT-の値は測定された既知の値である。たとえば、パワー43で打ち出した場合、T+ = 314、T- = 290となる。
    それでは、実際にこの値を代入して、-2≦α≦2の範囲でグラフを書いてみよう。すると、下記の様になる。


    上記のグラフから、パワー43の値を代入したときに、rがとりうる範囲は、11.013.3の範囲ということが分かる。そして同様に、43以外のパワーにおいても、とりうるrの値の範囲を計算していくことができる。実際に、各パワーにおけるrのとりうる範囲をまとめると、下記の様になる。

    この表から、rはパワー51のときに11.4以上であることが分かり、パワー61のときに、12.8以下であることが分かる。よって、rのとりうる範囲は、11.412.8の範囲となる。

    ここで、hは座標系の最小単位と考えているので、rは整数値をとるはずである。では、11.4から12.8の範囲に含まれる整数は何かというと、12のみである。このことから、カービィボウルにおける1フレームあたりの速度の減速量は、座標系の最小単位12個分であることが推測できる。

    今回の検証は、いくつかの仮定のもとに成り立っているので、これが正しいという確証は、もちろんない。しかしながら、これをベースに様々な現象を観測していき、矛盾が生じないならば、この推測が正しい可能性は高まっていくだろう。(もし矛盾が生じたなら、別の仮定を用いて再度理論を構築していけばよい。)

    今回は説明のために、いろいろな部分を飛ばして、ミステリーとしてのカービィボウルの基本となる部分を説明した。決して十分な説明だったとは言えないと思うが、これで、ミステリーとしてのカービィボウル攻略の第一歩を踏み出せたことは間違いない。

    まだまだ厳しい道は続くが、このミステリーとしてのカービィボウルを、皆さんにもぜひ楽しんでほしい。そして、最後にすべての謎が解き終わったとき、私が感じたものと同じような感動を感じていただけたなら、この上ない喜びである。(次回につづく)
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  • 3つのボタンでカービィボウル 完全版 part16 後編の赤文字まとめ

    2014-09-19 22:5420


    3つのボタンでカービィボウルのpart17の投稿予定日が近づいてきました。
    part17は、part16後編に対する解答編にあたるパートになる予定です。

    そろそろpart16後編の内容を忘れてきた人も多いと思いますので、ここで簡単に赤文字をまとめたいと思います。

    ちなみに、本編の最後に赤文字で語っている、打数削減が可能な3ホールの組み合わせは、(EX3-3,1-3,8-5)の組み合わせではありません。赤文字で打数削減の可能性が否定されていないホールは、もっとたくさんあります。

    カービィボウルを何度もやったことがある人なら、赤文字の穴をすり抜けている、もう1つの可能性に気がつくのではないかと思います。



    ①指定された71ホールは、打数限界により打数削減を行う事は出来ない。

    ②指定された27ホールは、方向限界により打数削減を行う事は出来ない。

    ③指定の10ホールは、カービィボウルの不可能性定理により、打数削減が不可能である。

    ④カービィボウルの不可能性定理の複数点拡張により、指定の3ホールの打数削減を行う事は出来ない。

    ⑤カービィボウルの不可能性定理の3次元拡張により、指定の2ホールの打数削減は不可能である。

    ⑥指定の12ホールの経路変更では、ホールの打数削減は実現しない。

    ⑦デデデの攻略打数は、現状の12打から減らすことは出来ない。

    ⑧現状の、201打の攻略ルートから、打数削減が可能なホールは、少なくとも3つある。



  • 第4回 もう1つのストーリー 後編

    2014-08-04 00:002


    なんだかんだで、2週間(と1年)も時間が空いてしまったが、今回はいよいよ、『たいやきララバイ』の核心ともいえる部分について解説しよう。『たいやきララバイ』をまだ聴いたことがない人は、可能であれば、全体を一度聴いた後に、この先に進んでほしい。

    今回のポイントとなるのは、最初のサビと最後のサビの中にある『気づいてふとほほ笑む』の意味の違いである。『たいやきララバイ』では、下記の様に、『気づいてふとほほ笑む』というフレーズが、最初のサビと最後のサビで、合計2回登場する。

    ■最初のサビ
    たいやきが食べたくなった なぜか無性に
    あの日のときめきが 今胸によみがえるよ
    走り出した手には 100円玉が

    しっかりと握られていたよ 気づいてふとほほ笑む

    ■最後のサビ

    "たいやき"に包まれていた やさしい想い
    あたたかい甘さに 心が少し安らぐ
    君の笑い声も よみがえる様な
    すべてをやさしく包み込む 思い出の子守唄

    しあわせのかけらに込めた想い 気づいてふとほほ笑む


    たい焼きララバイ』として解釈する場合、この2つの表現は、ほとんど同じ意味を持つ。

    しかし、『たい焼き』と『たいやき』の違いが存在する、『たいやきララバイ』として解釈する場合、この2つの表現は別の意味を持つことになる。そしてそれこそが、『たいやきララバイ』のもう1つのストーリーの本質とも言える部分なのである。

    さて、この先に進む前に、『たいやきララバイ』における、『たい焼き』と『たいやき』の違いに関して、簡単に復習しておこう。

    詳しくは第2回で説明しているが、『たい焼き』とは、100円で売っている商品自体の名前であり、それに対して『たいやき』は、『たい焼き』を”君”が2つに分けた後のものである。これは、『たい焼き』は、”僕”1人でも100円で手に入れることが出来るが、『たいやき』は”僕”と”君”の2人がいなければ手に入れることが出来ないということを意味している。これを踏まえて注意深く最後のサビを読んでみると、もう1つの解釈が見えてくる。

    ■最後のサビ

    "たいやき"に包まれていた やさしい想い
    あたたかい甘さに 心が少し安らぐ
    君の笑い声も よみがえる様な
    すべてをやさしく包み込む 思い出の子守唄

    しあわせのかけらに込めた想い 気づいてふとほほ笑む


    最後のサビ部分の歌詞は、『たい焼き』と『たいやき』の違いを気にせずに解釈すると、「主人公が100円で買った『たい焼き』を食べて、思い出がよみがえってきた」という意味に解釈できる。

    しかし、実際には、この時点で主人公が食べているのは『たいやき』である。これを踏まえると、この歌詞に隠された1つの事実に気がつく。

    そう、ここで出てくるのは、”君”がいなければ手に入れることが出来ないはずの『たいやき』なのである。つまり、最後のサビの部分で描かれている風景には、これまでとは違い、”君”が存在しているのである。

    ここまで分かれば、『気づいてふとほほ笑む』の違いが見えてくる。


    ■最後のサビ前Bメロ
    あの日の思い出が あの日の思い出が
    よみがえるそんな気がする だから100円握りしめて
    ここは、1番のBメロとほぼ同じ歌詞になっているが、1番の歌詞が「よみがえるそんな気がした」となっているのに対して、ここでは「よみがえるそんな気がする」となっている点には、少し注意が必要である。そして、この後に入っている転調と合わせて、ストーリー上の大きな変化を表している。


    ■最後のサビ①(”たいやき”に包まれていた ~ 心が少し安らぐ)

    "たいやき"に包まれていた やさしい想い
    あたたかい甘さに 心が少し安らぐ

    ここでは、”僕”が100円で購入し、”君”が半分に分けた『たいやき』を2人で食べている。「”たいやき”に包まれていた」という表現だけ取り出せば、主人公が過去に食べた『たいやき』の味を思い出しているという過去形での解釈が出来ないこともないが、その後に続いている部分では”僕”の現在の気持ちを記述しており、この場に”君”がいて、『たいやき』が存在していると考えるのが自然な解釈になる。

    ■最後のサビ②(君の笑い声も ~ 思い出の子守唄)
    君の笑い声も よみがえる様な
    すべてをやさしく包み込む 思い出の子守唄
    「君の笑い声も よみがえる様な」という表現は、一見すると、いないはずの"君"の笑い声も聞こえて来たという意味に解釈できる。しかし、実際にはこの場に”君”がいるので、この解釈は誤っている。

    そこで、ここの部分は、「(あの日の)君の笑い声も よみがえる様な」という意味に解釈する。つまり、一度離れてしまった2人は、まだどこかよそよそしい感じが残っており、それでも、『たいやき』を通じて、”僕”には昔の”君”の笑い声が聞こえてくるように感じたのである。

    そしてそれは、すべてをやさしく包み込む、まるで子守唄の様な安らぎを”僕”に与えてくれるものであった。

    ■最後のサビ③(しあわせのかけらに ~ 気づいてふとほほ笑む)
    しあわせのかけらに込めた想い 気づいてふとほほ笑む

    最後に、今回のテーマの1つである、「しあわせのかけらに込めた想い 気づいてふとほほ笑む」の部分の歌詞の解釈である。

    まず、『たいやき』が存在するためには、”君”の協力が必要不可欠である。そこから、『たいやき』=『しあわせのかけら』とすると、「しあわせのかけらに込めた想い」は、”君”が『たいやき』に込めた想いと解釈できる。そして、その想いは、今まで”僕”が『たい焼き』を買うために”僕”が100円玉に込めていた想いと重なっている。

    つまり、この部分では、遠く離れてしまったと思っていた2人の気持ちが、実はまったく同じであったことに主人公の”僕”が気がつき、その結果として、思わずほほ笑んでしまったのである。これは、最初のサビで、”僕”が自分1人の気持ちに気がついてほほ笑んだ時とは、対照的な状況である。

    以上が、『たいやきララバイ』に隠されたもう1つのストーリーの概要である。

    たいやきララバイ』は、単純に音だけを聴いて解釈した場合、主人公の”僕”が思い出の『たい焼き』を買って涙する、どこか切ない歌になる。
    それに対して、『たい焼き』と『たいやき』の違いを加味して考えると、最後に”僕”と”君”が再会を果たし、明るい未来に向かって歩き出すという、やさしい歌に変わる。

    実は、『たい焼きララバイ(仮)』が出来た時点では、『たい焼き』と『たいやき』のギミックは用意されておらず、後半の歌詞も違っていた。

    しかし、『たい焼きララバイ(仮)』を友達に聞いてもらった際に、「販促ソングなのになんか切ないよね?」と言われたことがずっと心の中で引っかかっていた。
    たい焼きの魅力は、やさしく包みこむような甘さであり、それに対して『たい焼きララバイ(仮)』のテーマは切ない思い出で、何かが違っているような気がしていた。

    そして、1年くらい試行錯誤をしながら、『たい焼きララバイ(仮)』の中に作り上げた新しい世界観が、『たいやきララバイ』のもう1つのストーリーである。

    たいやきララバイ』は、本当に奇跡の様な偶然が重なりあって完成した曲で、自分にはこの先これ以上の曲は、もう作れないだろうと思っている。このブロマガを通じて、自分がこの曲に感じている魅力を、1人でも多くの人に伝えられれば幸いである。

    (了)

    『たいやきララバイ』
    (作詞・作曲:なるしす 編曲:ふみ&さくら)

    たいやきが食べたくなった なぜか無性に
    あの日のときめきが 今胸によみがえるよ
    走り出した手には 100円玉が
    しっかりと握られていたよ 気づいてふとほほ笑む

    1.
    たまたま買った あのたい焼きが
    なぜかとてもお気に入りで
    半分あげる そう言いながら
    君はいつもたい焼きねだってた

    どうしてだろう 飽きもしないで
    必ずいつも1つだけ
    やさしい気持ち 君の笑顔の
    かけらを包むたい焼き

    あの日の思い出が あの日の思い出が
    よみがえるそんな気がした だから100円握りしめて

    たい焼きを一人で買って 一人で食べる
    あの日と同じ味 でも少ししょっぱいかも
    思い出の中では 100円玉が
    幸せの合言葉だった やさしいあの甘さが

    2.
    たった1つの たい焼き分ける
    君はなぜか嬉しそうで
    ちょっと失敗 そう照れながら
    少し小さい方に手をのばす

    どうしてだろう 二人で分ける
    半分だけのたいやきが
    君にとっても 僕にとっても
    かけがえのないごちそう

    あの日の思い出が あの日の思い出が
    今はまだ少し遠くて だから100円握りしめて

    たいやきが食べたくなった なぜか無性に
    あの日のぬくもりは まだ胸に残ってるよ
    君の笑い声を 100円玉が
    運んできてくれる気がした あの日と同じように

    あの日の思い出が あの日の思い出が
    よみがえるそんな気がする だから100円握りしめて

    "たいやき"に包まれていた やさしい想い
    あたたかい甘さに 心が少し安らぐ
    君の笑い声も よみがえる様な
    すべてをやさしく包み込む 思い出の子守唄

    しあわせのかけらに込めた想い 気づいてふとほほ笑む