2月のノートPC出荷、2.8倍に 同月で過去最高
電子情報技術産業協会(JEITA)は22日、ノートパソコンの2月の国内出荷台数が前年同月比2.8倍の98万5千台だったと発表した。政府が小中学校に1人1台の学習端末を配備する「GIGAスクール構想」関連の出荷が続き、7年ぶりに2月単月での過去最高の出荷台数を記録した。ただ、端末の配備が2021年3月末までとなっていることから、今後は需要の落ち込みが懸念される。
パソコン全体の国内出荷台数も前年同月の2倍を超える108万1千台だった。デスクトップパソコンの出荷台数が同37.1%減の9万6千台と振るわなかったが、政府が21年3月末までの小中学校への端末配備を目指しており、地方自治体からの受注が好調に推移して全体を押し上げた。ノートパソコンは14年の83万8千台を超え、7年ぶりに2月単月で過去最高の出荷台数を記録した。
ただ、小中学校への学習端末の配備後はノートパソコンの需要は落ち込む見通しだ。調査会社のMM総研(東京・港)は21年の国内パソコン市場は2割以上落ち込むと予測する。今後は高校向けのノートパソコンの導入も見込まれるが、同社の中村成希執行役員は「小中学校に規模で劣る高校向けのノートパソコンの出荷が市場に与える効果は限定的」と指摘する。
パソコン各社は「ポストGIGA」を見据えて法人や個人向けの需要の取り込みに乗り出す。レノボ・ジャパンのデビット・ベネット社長は3月のオンライン記者会見で「20年はハードウエアで顧客を支えてきたが、これからは日々の運用を支えるサービスも強化していく」と話した。
20年は新型コロナウイルス下で大企業を中心に在宅勤務が浸透した一方、中小企業では依然として仕組み作りが遅れている。今後はパソコンの販売だけでなく、自社でのシステムや機器の管理が難しい中小企業の在宅勤務への移行をサポートすることで需要を取り込めるかがカギとなる。(菅野気宇)
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