今はNintendo Switchで懐かしのファミコンソフトやスーファミソフトを遊ぶ事が出来る。
所謂レトロゲームで、童心に戻って遊ぶ事が出来るのだが、
「うわーなつかしーwwwww」でウキウキで始めるものの
↓
20分後
↓
「うん・・・もういいな・・・」
と、クリアまでせず止めてしまう事が多い。
懐かしさ成分をしゃぶり尽くすと今では考えられない不親切な設計や奥行きがないバトルだけが残ってしまうからだろう。
それはゲームが日々進化している証拠でもある。
ただ、令和に出た完全新作なのに、1000円ぐらいのインディーズゲームではなく6400円するゲームなのに、そんなレトロゲームを遊んでいるかのような感覚になる『マグラムロード』のレビューと感想を書いていきたい。
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概要
「サモンナイト」シリーズ制作陣の集結を前面に押し出していた本作。
ゲーム開発は「サモンナイト5」を手がけたFELISTELLAが行い、シナリオ・都月景、キャラクターデザイン・lack等の豪華クリエイター陣が贈る完全新作。
"絶滅危惧種"に指定された魔王が、自身の生き残りを賭けて冒険と"コンカツ"に大奮闘するという、一風変わったゲーム内容となっている。
クリア時間は大体10時間前後。
面白くはない戦闘
やはり戦闘システムから語らないといけないだろう。
まず、アクション部分に関しては悪い意味で見たまんま。基本的にひたすら斬るだけ。
3種類の武器(剣、斧、槍)を相手の弱点を確認しながら戦闘中に使い分けたり、パートナー固有のスキルを使ったりして敵を全て倒せば勝利。戦闘中に魔王様のゲージが満タンまでたまると、一定時間、魔王様に交代して強力な攻撃を放つことも出来る。
基本的な操作はシンプルで、ゲーム序盤から終盤まで同じ戦い方が続くという単調さが目立つ。
「仲間」と「モーションキャプチャー」と「投げ技」と「クライマックスモード」と「パッシングスルー」がない『テイルズ オブ レジェンディア』だったり、GBAのクラフトソード物語みたいな戦闘である。PS5で買ったんだけどな!!!
カメラワークも微妙。本作はやたらとすぐにカメラがズームしていく。
例えば
|敵A 自分 敵B 敵C|
こういう配置で始まる戦闘があるのだが、自分が敵Aに攻撃を仕掛けに行くと敵Aと自分がギリギリ入るくらいまでカメラがズームしていく。
それ自体はいいのだが、このゲームは敵の遠距離攻撃が本当に遠距離であり、普通に画面の端から端まで届くので、画面外に消えた敵B・敵Cからの遠距離攻撃でのハメ殺しが普通にある。ワンピースのエニエスロビー編でそげキングに距離をも、強風をも厭わずに寸分狂わず確実に狙われたスパンダムの気持ちになる。
基本的に敵と距離を作ると逆に危険という近距離での殴り合いを強制される。
また本作ではタメ攻撃が動作中無敵という超強力仕様なので、基本的にこれの連発で1対1のボス戦はクリアできる。相手の攻撃にあわせてタメ攻撃。大体これ。
と言うかボス級の敵、特にヒト型はこちらがどれだけ殴っても仰け反らないし、防御してもそこそこダメージを喰らうのでタメ攻撃を使わないならレベル上げを頑張らないと相当苦戦する。
しかもこちらは敵の攻撃を受けて倒れると、「受け身をとる」というシステムがないので倒れる→自動的に立ち上がる→敵の攻撃を為す術もなく喰らい再び倒れる→自動的に立ち上がるの繰り返しで死んでしまうハメ技があったり、
敵の攻撃モーションのバリエーションがキャラごとに2種類ぐらいしかないので流星群的魔法を使うのかなと思いきや地面から氷柱が生えてくる魔法攻撃を喰らって死ぬ時もある。
そして偶にある対複数のボス戦が本当に鬱陶しい。難しいのではなく鬱陶しい。目の前にいる雑魚敵と戦っていると見えない所から強力な遠距離攻撃を連発してくるので嬲り殺しにされてしまう。
一応擁護しておくと生き返りシステムは快適で
戦闘中死んでもその敵に当たる直前からやり直せる。
ロードも遅くなく、サクッと再挑戦できるので、ハメ殺しされてもギリギリ許さるラインだったと思う。
↑親の顔より見た画面。敵の攻撃は強力で、油断するとすぐ死んでしまう。
他にも難点はある。
- 本作は殴り合いのゲームなので攻撃魔法がほとんど意味を成していない。
精神的過去作であるクラフトソード物語では、武器耐久値の節約やガードが硬い相手への攻撃手段として攻撃魔法が意味を持っていたが、本作では敵がガードを一切しないし、武器耐久値も存在しないので、攻撃魔法を使う理由が何一つない。SP消費は回復魔法だけでいい。
- 敵の行動モーション数が少ないが、自分も少ない。
武器種ごとの攻撃モーションは全パートナー共通で、武器以外のスキル使用は頻度が低いため、最初から最後まで同じ戦い方が続く単調さが目立つ。パートナーごとの性能差も少なく、ポジティブに捉えると好きなキャラを育てる事が出来るし、そのおかげか武器装備がみんな共有なので、キャラごとに装備を変える必要がなく快適。ネガティブに捉えるとここでも単調である。
最大ダメージは3桁と低く、一撃が重い攻撃は中盤あたりから999とカンストしてしまうので、手数の多い攻撃が中心になる後半ほどアクションの幅が狭まり飽きてくる。
- 敵の種類が少ない
全体で10種類ほど。後は色違いである。飽きる。
兎に角、雑で単調である。
最初は「クラフトソード物語みたいだな~懐かしいな~」と思って楽しんだけど、懐かしい成分をしゃぶり尽くすと、「あれはゲームボーイアドバンスだから楽しかったのでは?これPS5なんだけど…」という気持ちが勝ってしまう。
戦闘以外のシステム
- 育成
育成要素は、大きく分けて「キャラクター強化」と「武器の鍛造」の2種類がある。
レベルアップによって成長する「キャラクター強化」は分かりやすく、ポイントによってスキルを獲得することもできる。ただし、スキルの種類は少なく、大半は同系統のパッシブスキル。正直スキルなんてなくてもタメ攻撃を連発するだけでクリアできるので要らない。
↑戦闘結果画面。獲得経験値などが分かるが、後いくつでレベルが上がるかなどの情報も欲しかった。
「武器の鍛造」では、素材を消費することで、51種類の魔剣(剣、斧、槍がそれぞれ17種類)を作成できる。武器の攻撃力がダメージに大きく影響するので、敵が硬いと感じたら武器を作って解決する、もっとも重要な育成要素。特にラスボスは滅茶苦茶硬くて「イベント戦…?」と勘違いしてしまうほどなので、少なくともここまでには武器を鍛えよう。
鍛造した魔剣は、デコアイテムを付けることで、更に強化することができる。単純にステータスを上乗せする以外に、種族、サイズ特攻や、状態異常の確率アップなど、効果は多種多様。外見や攻撃時の演出を変えられる遊び心もある。ただまぁ敵ごとに付け替えるのは面倒なので結局は経験値UPとかそういうのに統一されてしまう。
- ダンジョン
まずダンジョンの数が少ない。
それをストーリー進行に必須のミッションでも各3回4回と周回させてくるので、まあすぐに飽きてくる。
任意参加のサブクエスト的なミッションに関しては会話イベントすらほとんど無いものも多く、ひたすら同じダンジョンに行って同じ道を歩いて敵を倒す作業で飽きる。
リクエスト受注中は、四角を線でつないだマップ情報しか用意されていないので、常に手探りの探索を要求される。ミニマップすらない。ミニマップ本当に欲しい。
討伐対象の敵や収集アイテムが見つかりそうな場所を推測して、実際に行ってみるしかない。後半になるとダンジョンも複雑になるので討伐系は大体ボスが出てくる場所が固定されているので問題ないが、収集系が難しい。
例えば
きのこを探せ。
というクエストの場合、そのきのこが敵を討伐して落ちるのか、フィールドで採取できるのかがまず分からないので総当たりをしなければならない。
採取の場合、必要最小限しか用意されていないことが多いので、分かり辛い所だとまじでダンジョンを何度も何度もグルグル周る事になる。20分ぐらい迷った事があった。
ダッシュすると笑ってしまうほど早いし、ジャンプの挙動もすごい(すごい)
収集要素としてアピールされていた「絶滅危惧種発見」も全21種のうち8枠を主人公たちが埋めているので実質13種しかなかったり、探索にせよ収集にせよ、敵の数にせよボリュームが薄い(6400円)
- ボタン操作がチグハグ
PS5で遊んでいたのだが、 選択肢などの決定ボタンが×に割り当てられているのにも関わらず、ADVパートでは×が早送りになっているので滅茶苦茶誤爆する。
開発陣は文章を読ませてくないのか?
また、フィールドでの採取などは〇で行うのに戦闘になると〇がアイテム使用になるのも誤爆してしまうし、ボタン振り分けが破天荒過ぎる…
コンカツ
本作最大の売りだろうコンカツ。
弱体化した魔王様は、魂の飢え「魂飢(こんかつ)」を解消するため、「魂の伴侶」を見つけなければならない。そのために、パートナーとの共闘や会話で好感度を上げて、デートを重ねることになる。デート内では意外な一面や特別なイベントCGを見られたり、最終的にはエンディング分岐にも影響を及ぼしたりと重要なコンテンツ。
発売前は男×男や女×女も出来ると盛り上がっていた奴だ。
コンカツ対象は全部で7人。魔王様は男女を選べるので、周回プレイ前提になるものの、同性・異性で併せて14パターンのコンカツが楽しめる。
ただ、ここも薄い。
ちゃんと専用のCGをあって会話してくれるデートイベントは各キャラ1,2回くらいしかないからだ。
残りは、デートの行き先を選ぶ→背景が変わってキャラクターが少し感想を言う→帰る これだけ。
一応、キャラごとに好きな場所・嫌いな場所があるだが、同じ行き先を何度も選ぶことはできず、最終的には全部行くことになるので当たり外れの意味がない。
デート中も選択肢で好感度が上がったりするけど、アイテムというドーピングで簡単に好感度はMaxまでいけるのでそんな気を付ける必要もない。
キャラクターは魅力的なので、もう少しデートしたかった…
主人公である魔王様を男女どちらか最初に選べる事にした弊害か、魔王様滅茶苦茶無口問題もある。
兎に角喋らない。特にデート中は。デートの相手がわざわざ「え、○○だって?」と魔王様の代わりに台詞を読み上げる場面が多々ある。滑舌が悪くて相手に聞き返されるトラウマを無駄に思い出してしまった(あと、選択肢とそれに対する返しが微妙に合ってないのも結構目立つ)
↑選択肢は多いが、その選択肢意味ある!?って奴も多い。
上記でも書いたように「同性でも異性でも、友情ルートか恋愛ルートかを選べる」と明かされたことで少し話題になっていたが、同性で恋愛ルートを選んでも普通の日常会話みたいなノリの中で「あなたと共に行きます!だって大好きだから」みたいなことを言って終わるくらいの感覚で微妙だった。当たり前のようにCGはなし。あと、一部キャラで同性恋愛モードなると主人公が急にTS化するという「それは違うだろ!!!」みたいな展開もあった。なんというか、そこに力入れないと、どこでいれるの!?と思ってしまう。
そしてそんなマルチエンド採用している割には周回プレイ時の引き継ぎ要素がほぼ「無」なのが信じられない。
見ての通りクリアデータによる特典はあるのはあるが、レベルや武器、習得スキル等は一切引き継げない。強くてニューゲーム的なのがない。周回前提のゲームなのに周回意欲を割く仕様。
そして何よりも、図鑑やギャラリーが共通データではなく各セーブデータごとで独立しているのにそれの引き継ぎも無し。タイトル画面からでも参照する事が出来ない。
そんなことある!?
世界観
今までずっと『マグラムロード』の事を叩きがちだったので、最後は褒めて終わることで印象を良くしたままAmazonアフィリエイトに誘導したいと思う。
本作のストーリーは
眠りから目覚めた魔王さまが「絶滅危惧種」に指定されるところから始まり、魔王様を中心としたキャラクターたちによる、アクションあり、コンカツありの型破りな内容となっている。
主人公である魔王様以外の登場人物も、たった二人だけの「勇者の一族」や、冒険アイドルを務める「最後の獣人」など、個性的ぞろい。それぞれが様々な事情を抱えており、メインストーリーやデートイベントを通じて、二転三転する展開が楽しめるようになっている。
ユニークな世界観の中に、どこか不穏な空気を感じつつ、続きの気になる物語は本作の大きな魅力だったと思う。
ただ、まぁストーリー展開は昔から結構見たことある奴だったのがまぁアレだけど…
意外と短いけど…
↑幼女が可愛い
最後に
PS2とか思い浮かべながら10年前ぐらいのゲームだなぁと思ってたのだが、実際に10年前のゲームを調べてみると『テイルズ オブ エクシリア』とか『DARK SOULS』とか『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』が出てきてヒェってなったので、この記事はこれで終わりです。時が進むのは思っていたより早かった。