前田高志著『勝てるデザイン』より
仕事は、0円か100万円以上のものしかやらない。凡人な僕が任天堂から独立しても勝てた理由
仕事
元・任天堂デザイナーの前田高志さん。
大阪芸術大学を卒業後、任天堂で15年間にわたり宣伝広告デザインをしてきたプロのグラフィックデザイナーです。
2016年に独立し、現在は株式会社NASU代表、オンラインコミュニティ「前田デザイン室」オーナーとして活動しています。
有名企業を経て起業した前田さんですが、もともとは周りの人たちの才能に打ちひしがれていたそう。著書『勝てるデザイン』の中で、「凡庸でセンスもない、その筆頭が僕だった。でも必死に努力をし試行錯誤を続けた結果、“勝てる”デザインの真髄がわかった」と言います。
総クリエイター社会とも言われる今、凡人が一歩抜け出すためにはどうすればいいのか。
ビジネスパーソンにも通ずる、これからの個人の戦い方と仕事術を、デザイン視点から教えてくれる同書より抜粋してお届けします。
大阪芸術大学を卒業後、任天堂で15年間にわたり宣伝広告デザインをしてきたプロのグラフィックデザイナーです。
2016年に独立し、現在は株式会社NASU代表、オンラインコミュニティ「前田デザイン室」オーナーとして活動しています。
有名企業を経て起業した前田さんですが、もともとは周りの人たちの才能に打ちひしがれていたそう。著書『勝てるデザイン』の中で、「凡庸でセンスもない、その筆頭が僕だった。でも必死に努力をし試行錯誤を続けた結果、“勝てる”デザインの真髄がわかった」と言います。
総クリエイター社会とも言われる今、凡人が一歩抜け出すためにはどうすればいいのか。
ビジネスパーソンにも通ずる、これからの個人の戦い方と仕事術を、デザイン視点から教えてくれる同書より抜粋してお届けします。
WEB上ですべてをさらけ出した
僕は独立したとはいえ、人脈もコネも、ほぼありませんでした。
独立スタート時はポツポツと仕事をいただけていたものの、ずっと仕事が続くか不安でたまらなかったのです。
そこで、WEBですべてを情報発信することにしました。
知人の一回り年下の起業家たちがSNSを活用していました。
彼らはなんでもさらけ出していました。
それを見ていると、「彼らはなんでも知っているんじゃないか」と思えてきました。
これだ!と思い、彼らを片っ端から真似してみました。
プライドなどかなぐり捨てて、とにかく必死にやりました。
デザインの技術、考え方はもちろん、プライベートなこと。
例えば転職活動に失敗して挫折したことなど、すべてをさらけ出しました。
かっこよく戦略的にやったわけではなく、 それしかなかったというのが正直なところです。
すると、それらの記事を読んだ人から「デザインするのにこんなに考えてくれるだなんて。ぜひ一緒に仕事がしたい」と連絡が来るようになったのです。
独立スタート時はポツポツと仕事をいただけていたものの、ずっと仕事が続くか不安でたまらなかったのです。
そこで、WEBですべてを情報発信することにしました。
知人の一回り年下の起業家たちがSNSを活用していました。
彼らはなんでもさらけ出していました。
それを見ていると、「彼らはなんでも知っているんじゃないか」と思えてきました。
これだ!と思い、彼らを片っ端から真似してみました。
プライドなどかなぐり捨てて、とにかく必死にやりました。
デザインの技術、考え方はもちろん、プライベートなこと。
例えば転職活動に失敗して挫折したことなど、すべてをさらけ出しました。
かっこよく戦略的にやったわけではなく、 それしかなかったというのが正直なところです。
すると、それらの記事を読んだ人から「デザインするのにこんなに考えてくれるだなんて。ぜひ一緒に仕事がしたい」と連絡が来るようになったのです。
「興味を奪う×良いデザイン」で差別化を図る
今、デザイナーはビジュアルやグラフィックを作るだけでは足りません。
普通に良いデザインをしているだけでは、他とは差がつかないからです。
依頼された対象の内側にある核の部分を引き出し、一撃で伝わるビジュアルを作る。
本質を捉えてデザインすれば、自ずと差別化できるでしょう。
ただし、それは並大抵のことではありません。
良いデザインだからという理由だけで人を振り向かせるのが難しくなった以上、デザインに触れる以前から興味を持たせることが重要です。
オンラインコミュニティ「箕輪編集室」に入って一番衝撃を受けたのは、制作過程にある制作物をどんどんTwitterで公表してしまうことでした。
デザイン案を出したら、数秒後にはツイートされているのです。
こんなこと、任天堂では絶対ありえないことでした。
初めは、作りかけのデザインを露出する恥ずかしさと不安で戸惑いましたが、そのうちにそれは自意識過剰であることに気づきました。
誰もそんな細かいところまで見ていないのです。
ましてや作ったのが誰かなんて、どうでもいい。もっと大事なことがあります。
例えば、制作過程を書いたブログ記事を用意するのは時間がかかるし、記事を読みに来てもらうには能動的なアクションが必要です。
一方、Twitterは勝手に情報が流れてきますから、これは特にデザインと相性が良い。
Twitterに流すことで、自然と見た人の脳に侵入していきますよね。
これを見越してか、僕にデザインを依頼してくださるクライアントは、ほとんどコミュニティ内で提案書公開OKとか、Twitterでの公開をOKしてくださいます。
公開することで、コミュニティメンバーやTwitterフォロワーの脳に侵入できることの価値をわかっていただけているのだと思います。
良いデザインを作ることだけがんばっても、なかなか差別化しにくい。かといって発信やコミュニティで注目だけ集めても、中身がともなっていないと意味がない。
「興味を奪う(発信、コミュニティなど)↔︎ 脳に働きかける良いデザイン」
僕がやっているのはこの繰り返しです。
自分のデザインに力があれば必要ない、そう言われそうですが、そもそも僕は作っているものに自信を持っています。
ただ同じことをしていても、コモディティ化が進むクリエイティブ業界で存在を示すことはできません。
時代を読んで変化に対応し、できることはすべてやるべきなのです。
この先、何か他のものが登場すれば、僕は真っ先にそれを試して実践するでしょう。
自分の作るものを最大限に知ってもらえるようにすべてやる。
そうして興味を奪っていく。
デザインのみを突き詰めるのでなく、デザインの力を最大限に発揮するためにやることをすべてやる。
現代のデザイナーにはそういった気概が求められています。
普通に良いデザインをしているだけでは、他とは差がつかないからです。
依頼された対象の内側にある核の部分を引き出し、一撃で伝わるビジュアルを作る。
本質を捉えてデザインすれば、自ずと差別化できるでしょう。
ただし、それは並大抵のことではありません。
良いデザインだからという理由だけで人を振り向かせるのが難しくなった以上、デザインに触れる以前から興味を持たせることが重要です。
オンラインコミュニティ「箕輪編集室」に入って一番衝撃を受けたのは、制作過程にある制作物をどんどんTwitterで公表してしまうことでした。
デザイン案を出したら、数秒後にはツイートされているのです。
こんなこと、任天堂では絶対ありえないことでした。
初めは、作りかけのデザインを露出する恥ずかしさと不安で戸惑いましたが、そのうちにそれは自意識過剰であることに気づきました。
誰もそんな細かいところまで見ていないのです。
ましてや作ったのが誰かなんて、どうでもいい。もっと大事なことがあります。
例えば、制作過程を書いたブログ記事を用意するのは時間がかかるし、記事を読みに来てもらうには能動的なアクションが必要です。
一方、Twitterは勝手に情報が流れてきますから、これは特にデザインと相性が良い。
Twitterに流すことで、自然と見た人の脳に侵入していきますよね。
これを見越してか、僕にデザインを依頼してくださるクライアントは、ほとんどコミュニティ内で提案書公開OKとか、Twitterでの公開をOKしてくださいます。
公開することで、コミュニティメンバーやTwitterフォロワーの脳に侵入できることの価値をわかっていただけているのだと思います。
良いデザインを作ることだけがんばっても、なかなか差別化しにくい。かといって発信やコミュニティで注目だけ集めても、中身がともなっていないと意味がない。
「興味を奪う(発信、コミュニティなど)↔︎ 脳に働きかける良いデザイン」
僕がやっているのはこの繰り返しです。
自分のデザインに力があれば必要ない、そう言われそうですが、そもそも僕は作っているものに自信を持っています。
ただ同じことをしていても、コモディティ化が進むクリエイティブ業界で存在を示すことはできません。
時代を読んで変化に対応し、できることはすべてやるべきなのです。
この先、何か他のものが登場すれば、僕は真っ先にそれを試して実践するでしょう。
自分の作るものを最大限に知ってもらえるようにすべてやる。
そうして興味を奪っていく。
デザインのみを突き詰めるのでなく、デザインの力を最大限に発揮するためにやることをすべてやる。
現代のデザイナーにはそういった気概が求められています。
「知ってもらう」は、お金よりも価値がある未来に繋がる
デザイナー向けの本でこんなことを書くのはタブーかもしれませんが、これから、いや…もうすでに本業だけでのマネタイズは辛い時代になっています。
2019年。岡山県立図書館のロゴコンペの賞金がたったの図書カード5000円分だったことが大炎上しました。
あれは図書館の人がデザインの価値を知らなかったから起きたことで、本当に悲しいことです。デザイナーたちが怒るのはすごくわかります。
しかし、僕は「え、5000円の図書カード? 逆においしいな」と思いました。
まず、燃えてきます。張り切ってデザインをたくさん提案して、図書館の方に、「こんなにしてもらえると思ってませんでした…」と言わせたくなりませんか?
そしてその顛末をTwitterやnoteに書いたらどうでしょう。
おそらくあなたがこの案件でつかむ報酬は5000円を遥かに超えた額になります。
本書を読み進めていただいた方ならおわかりかと思いますが、「知ってもらう」ということは、ある意味お金よりも価値が高いのです。
そういう感覚を持って、僕は仕事を受けています。
もし図書館の人と意気投合して、自由にやらせてもらえるなら、タダでもやるかもしれません。図書館全体のブランディングができたら一生名前が残りますよね。
いや、図書館なら公共の建物ですから、100年は残るかもしれません。これがもし僕の地元、伊丹でのことだったらなおさらやってみたい。
なぜそんな考えになるかというと、僕はデザインだけで食べていこうとしていないからです。
もちろん企業案件で責任も重くしっかり腰を据える案件もやります。そこではきっちりフィーをもらいます。
でも、面白くて実績になりそうな案件だったらタダでもやりたい。
ですから今の理想は「0円か100万円以上かのどっちかしかやらない」です。
0円のデザインには、自由にのびのびやらせてもらいチャレンジングな試みをする面白さがあります。
100万円超のデザインには、クライアントの期待のハードルと成果をコミットメントする責任の重みを乗り越える面白さがあります。
デザイナーだからデザイン、というだけじゃなく、もっと柔軟に広く考えを持っていく。
僕はそのために0円デザインを続けます。
僕がいろんなコミュニティを大事にしている理由もそこにあります。
コミュニティの人々が好きであることが一番ですが、もちろんそれだけじゃありません。
仕事ではできない面白い経験を積んで、コミュニティで自分を知ってもらい、それがきっかけで新しいマネタイズに活かしていく。
そんな生き方が、これからデザイナー、非デザイナー関係なく必要となっていくでしょう。
2019年。岡山県立図書館のロゴコンペの賞金がたったの図書カード5000円分だったことが大炎上しました。
あれは図書館の人がデザインの価値を知らなかったから起きたことで、本当に悲しいことです。デザイナーたちが怒るのはすごくわかります。
しかし、僕は「え、5000円の図書カード? 逆においしいな」と思いました。
まず、燃えてきます。張り切ってデザインをたくさん提案して、図書館の方に、「こんなにしてもらえると思ってませんでした…」と言わせたくなりませんか?
そしてその顛末をTwitterやnoteに書いたらどうでしょう。
おそらくあなたがこの案件でつかむ報酬は5000円を遥かに超えた額になります。
本書を読み進めていただいた方ならおわかりかと思いますが、「知ってもらう」ということは、ある意味お金よりも価値が高いのです。
そういう感覚を持って、僕は仕事を受けています。
もし図書館の人と意気投合して、自由にやらせてもらえるなら、タダでもやるかもしれません。図書館全体のブランディングができたら一生名前が残りますよね。
いや、図書館なら公共の建物ですから、100年は残るかもしれません。これがもし僕の地元、伊丹でのことだったらなおさらやってみたい。
なぜそんな考えになるかというと、僕はデザインだけで食べていこうとしていないからです。
もちろん企業案件で責任も重くしっかり腰を据える案件もやります。そこではきっちりフィーをもらいます。
でも、面白くて実績になりそうな案件だったらタダでもやりたい。
ですから今の理想は「0円か100万円以上かのどっちかしかやらない」です。
0円のデザインには、自由にのびのびやらせてもらいチャレンジングな試みをする面白さがあります。
100万円超のデザインには、クライアントの期待のハードルと成果をコミットメントする責任の重みを乗り越える面白さがあります。
デザイナーだからデザイン、というだけじゃなく、もっと柔軟に広く考えを持っていく。
僕はそのために0円デザインを続けます。
僕がいろんなコミュニティを大事にしている理由もそこにあります。
コミュニティの人々が好きであることが一番ですが、もちろんそれだけじゃありません。
仕事ではできない面白い経験を積んで、コミュニティで自分を知ってもらい、それがきっかけで新しいマネタイズに活かしていく。
そんな生き方が、これからデザイナー、非デザイナー関係なく必要となっていくでしょう。
デザインは、デザイナーだけのものではない
勝てるデザイン
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昔から絵が好きだった前田高志さん。
5歳にも満たなかった前田少年は、ある日、忍者ハットリくんの塗り絵をしていたところ、お父さんがカラーペンで簡単な斜線を引いただけで全体が見事に彩られ、強く感動したことを鮮明に覚えているといいます。
そんな「視覚ジャンキー」な著者が語るデザイン論には、デザイナーだけでなく、あらゆるクリエイター、ビジネスパーソンにとっても学びになる知見が豊富に詰まっています。
ぜひプロのデザイン思考、デザインの知見を、あなたの仕事にも取り入れてみてください。
「一歩、次に進みたい」、そんな思いを抱く人に、おすすめの一冊です。
5歳にも満たなかった前田少年は、ある日、忍者ハットリくんの塗り絵をしていたところ、お父さんがカラーペンで簡単な斜線を引いただけで全体が見事に彩られ、強く感動したことを鮮明に覚えているといいます。
そんな「視覚ジャンキー」な著者が語るデザイン論には、デザイナーだけでなく、あらゆるクリエイター、ビジネスパーソンにとっても学びになる知見が豊富に詰まっています。
ぜひプロのデザイン思考、デザインの知見を、あなたの仕事にも取り入れてみてください。
「一歩、次に進みたい」、そんな思いを抱く人に、おすすめの一冊です。
前田高志『勝てるデザイン』
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話題騒然ではありますが…
「※注釈」がたくさんあるんでしょ?docomoの月2970円(税込)プラン・ahamoにツッコんだ
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株式会社NTTドコモ
ライフスタイル
各社からさまざまな新商品が登場する現在。
でも、その商品ってよく考えてみると、ちょっとツッコミどころもありませんか?
「新商品ポリス」では、新R25編集部が企業にお邪魔して、商品やサービスに読者目線(?)で切り込みます。はたして担当者はツッコミを見事跳ね返し、商品の良さをアピールできるのか…。
今回ツッコミにいくのは、docomoから3月にローンチされる新料金プラン「ahamo」。
でも、その商品ってよく考えてみると、ちょっとツッコミどころもありませんか?
「新商品ポリス」では、新R25編集部が企業にお邪魔して、商品やサービスに読者目線(?)で切り込みます。はたして担当者はツッコミを見事跳ね返し、商品の良さをアピールできるのか…。
今回ツッコミにいくのは、docomoから3月にローンチされる新料金プラン「ahamo」。
月間データ容量20GB、2970円(税込)。国内通話が5分無料。
その驚きの安さとシンプルなプラン設計が大きな反響を呼び、Twitterでも即トレンド入り。
しかし、「携帯料金の安さ」ってなんだかすっきり信じられない。何かウラがあるのでは????
そこで新R25編集部は、NTTドコモの本社に直撃。画期的だけどどこか怪しい(!?)新プランについて、読者目線であれこれツッコミを入れてきました。
その驚きの安さとシンプルなプラン設計が大きな反響を呼び、Twitterでも即トレンド入り。
しかし、「携帯料金の安さ」ってなんだかすっきり信じられない。何かウラがあるのでは????
そこで新R25編集部は、NTTドコモの本社に直撃。画期的だけどどこか怪しい(!?)新プランについて、読者目線であれこれツッコミを入れてきました。
〈聞き手=石川みく(新R25編集部)〉
お話を伺ったのは、株式会社NTTドコモ マーケティング部 高山賢人さん(右)、サービスデザイン部 佐々木千枝さん(左)です
ツッコミの前に…おふたりとも、めちゃくちゃ若くないですか?
石川
大変失礼ですけど…おふたりとも、まだお若いですよね? てっきり、もっと上の世代の方がいらっしゃるのかと…!
高山さん
そうですよね(笑)。私は入社5年目、佐々木は3年目です。
ahamoは、いわゆるZ世代やデジタルネイティブ世代と言われる20代の方をターゲットとした料金プランです。
なので開発やマーケティングに関わっている社員も、若手が中心なんですよ。
ahamoは、いわゆるZ世代やデジタルネイティブ世代と言われる20代の方をターゲットとした料金プランです。
なので開発やマーケティングに関わっている社員も、若手が中心なんですよ。
石川
へぇ~! でも、docomoさんって大きな会社だし、若手だけでうまく進行するイメージがないんですが…
上の人の説得とか、大変そうだよなあ…
高山さん
そこはかなり気を遣いましたね。単に「若い人はこう思ってます」と伝えるだけでは、「君たちの主観でしょ」と言われますから。
上を説得するためには、僕らの感覚が正しいと証明できるエビデンスが必要だな、と。
上を説得するためには、僕らの感覚が正しいと証明できるエビデンスが必要だな、と。
石川
感覚を証明する…なかなか難しそうですが…
高山さん
はい。プロジェクトの最初の仕事は、5万人へのアンケート調査を取ることでした。
石川
5万も!?
高山さん
普通、こういうプロジェクトを立ち上げるときは5000サンプルくらいで進めることが多いので、量を集めるのに苦戦しました…
その調査をもとに、どんなプランならお客さまに喜んでもらえて、事業として成立するのかを考えたうえで、2020年3月に幹部の了承を取ったんです。
その調査をもとに、どんなプランならお客さまに喜んでもらえて、事業として成立するのかを考えたうえで、2020年3月に幹部の了承を取ったんです。
高山さん
ほかにも、オンラインで30人くらいの学生を呼んでヒアリングしたりとか。
私たちが立てていた「若い世代は通信キャリアにそこまで興味がない」「従来のわかりづらい料金プランに不信感を持っている」という仮説が、おおよそ正しいと確信が持てました。
私たちが立てていた「若い世代は通信キャリアにそこまで興味がない」「従来のわかりづらい料金プランに不信感を持っている」という仮説が、おおよそ正しいと確信が持てました。
ツッコミ①:月々2970円(税込)って言うけど…どうせ「※注釈」がついてるんでしょ?
石川
ここからは、肝心のプラン内容についてツッコませてください!
高山さん
プランについては、ツッコミどころがないくらいシンプルなんですよ(笑)。
「20GBで月々2970円(税込)、5分通話無料」。基本的にはこれがすべてです。
「20GBで月々2970円(税込)、5分通話無料」。基本的にはこれがすべてです。
高山さん
私たちのような通信キャリアにズブズブの人間が説明しないと伝わらないような、ややこしいプランにはしたくなくて。
スマホに詳しくない方でも、友達にサクッと説明できるくらいシンプルな設計にしています。
スマホに詳しくない方でも、友達にサクッと説明できるくらいシンプルな設計にしています。
石川
(ズブズブ…)
とはいっても、安いのは期間限定だったりとか、謎のオプションがたくさんついてきて結局高くなったりとかするんじゃないですか…?
とはいっても、安いのは期間限定だったりとか、謎のオプションがたくさんついてきて結局高くなったりとかするんじゃないですか…?
筆者の料金プランを見てみたところ、オプションだけで3000円近く払ってたんですけど…
高山さん
いや、そういうのは一切ないんですよ!
5ちゃんねるとかTwitterでも「どうせ下のほうにちっちゃい字で書いてある、※の注釈でごまかしてるんでしょ」とか書かれまくってるんですけど…
5ちゃんねるとかTwitterでも「どうせ下のほうにちっちゃい字で書いてある、※の注釈でごまかしてるんでしょ」とか書かれまくってるんですけど…
心を痛めながらスレッドをチェックしている高山さん
佐々木さん
「どこかに落とし穴があるんじゃないか」と言う方が本当に多いんです。
高山さん
これはもう…私たち通信キャリアが長年やってきた不親切なコミュニケーションの結果なので、本当に襟を正さないといけないなと。
なのでahamoのプラン設計は、「押し付けないこと、隠さないこと、迷わせないこと」を徹底しています。
12月の発表会の資料も、「※」を極力使わないように意識しました。
なのでahamoのプラン設計は、「押し付けないこと、隠さないこと、迷わせないこと」を徹底しています。
12月の発表会の資料も、「※」を極力使わないように意識しました。
高山さん
「ahamo」という名前にも、その想いを込めているんですよ。
石川
どういう意味なんですか?
高山さん
3つの意味があって、まず1つは、わからなかったことを瞬時に理解する「aha moment(アハ体験)」の「aha」。
そして、「なるほど~」というときに使う相槌の英語表現「A-Ha」。
最後に、楽しいときやうれしいときの「アハハ」という笑い声。
そして、「なるほど~」というときに使う相槌の英語表現「A-Ha」。
最後に、楽しいときやうれしいときの「アハハ」という笑い声。
高山さん
従来の料金プランにある「複雑でわかりづらい」イメージを払拭して、「なるほどわかった、結構いいじゃん!」と感じてほしいという願いを込めました。
石川
そういう意味なんだ…!
ちなみに、通話無料の「5分」にも何かこだわりがあるんですか? 今の若い世代って、キャリアの電話はあまり使わないイメージがあるんですが…
ちなみに、通話無料の「5分」にも何かこだわりがあるんですか? 今の若い世代って、キャリアの電話はあまり使わないイメージがあるんですが…
高山さん
ahamoは20代のなかでも特に「はじめて一人暮らしをする新社会人」をイメージして設計しているんです。
はじめての一人暮らしとなると、不動産会社に連絡をしたり、電気や水道の開通をしたり… 通話アプリではしづらいような電話をする機会が意外と増えますよね。
はじめての一人暮らしとなると、不動産会社に連絡をしたり、電気や水道の開通をしたり… 通話アプリではしづらいような電話をする機会が意外と増えますよね。
高山さん
そういう細々した電話はだいたい5分くらいあれば事足りるかな、ということで、5分通話無料を入れています。
ツッコミ②:この安さで、本当にデメリットはないの?
石川
これまで1万円近く携帯料金を払ってきた身からすると、やっぱり「2970円(税込)は安すぎる!」と思ってしまうんですよね…
この金額で、本当にデメリットはないんですか?
この金額で、本当にデメリットはないんですか?
佐々木さん
私たちは「デメリットではなく“割り切り”」と捉えているんですが、使用頻度に対して開発費がかかりすぎてしまう機能はいくつか省いています。
そういった費用がかさむと、結局お客さまからいただく料金が上がることになってしまうので…
そういった費用がかさむと、結局お客さまからいただく料金が上がることになってしまうので…
石川
あっ、やっぱり何か使えないものがあるんですね!
これまであった機能で、今回“割り切った”のは…?
これまであった機能で、今回“割り切った”のは…?
高山さん
一番大きいのは「キャリアメール(docomo.ne.jp)」なんですけど…石川さん、キャリアメールって使ってますか?
石川
えっと……使ってないな……
Amazonの登録にしか使ってなかった
佐々木さん
Z世代の方は、ほとんどアプリでやりとりされてますよね。
キャリアメールが使えないことより、使えるデータ量が少なくて速度制限がかかってしまうほうが不便だと思います。
Z世代が頻度高く使う機能は申し分なく提供して、使わない機能は割り切る。そうやって、2970円(税込)という価格を実現しています。
キャリアメールが使えないことより、使えるデータ量が少なくて速度制限がかかってしまうほうが不便だと思います。
Z世代が頻度高く使う機能は申し分なく提供して、使わない機能は割り切る。そうやって、2970円(税込)という価格を実現しています。
石川
あ、速度制限についてもツッコみたいです!
私は家でずっと動画を垂れ流してるせいか、たまに20GBでも制限がかかっちゃうんですよ。
そうなるとメールすら満足に開けなくて超不便なんですけど…ahamoもそうなっちゃうんでしょうか…
私は家でずっと動画を垂れ流してるせいか、たまに20GBでも制限がかかっちゃうんですよ。
そうなるとメールすら満足に開けなくて超不便なんですけど…ahamoもそうなっちゃうんでしょうか…
(家にWi-Fi引けよって思われてそう)
佐々木さん
それはたぶん、128kbpsまで速度が下がった状態ですね。
高山さん
一般的な料金プランで速度制限がかかった状態は128kbpsが多いんですが、ahamoで20GBを超えた場合の速度は1Mbps。およそ8倍です。
1Mbpsは、YouTubeの普通画質であれば問題なく再生できるくらいの速度ですね。
1Mbpsは、YouTubeの普通画質であれば問題なく再生できるくらいの速度ですね。
石川
ほんとに!? じゃあ、仕事のやりとりくらいはストレスなくできちゃいますね。
ツッコミ③:料金プランの変更って、なにかとめんどくさいんでしょ?
石川
ahamoの魅力はわかってきましたが、わざわざショップまで行くのがめんどくさすぎるんですよね…
佐々木さん
ahamoはオンラインで契約が完結できるので、ショップに行かなくていいんですよ。
佐々木さん
専用フォームに住所やお支払い方法など、基本情報を入力していただくだけで完了します。ふつうのECサイトに会員登録するくらいの時間で終わるはずです。
石川
それはめちゃくちゃ助かります!
ただ…ここまで言えなかったんですが、私は他社のキャリアに契約してるんです。
ぶっちゃけ、他社から乗り換えることにメリットってありますか…?
ただ…ここまで言えなかったんですが、私は他社のキャリアに契約してるんです。
ぶっちゃけ、他社から乗り換えることにメリットってありますか…?
佐々木さん
docomo回線を安く使えるというのはメリットになると思います。
石川
ほかのプランと、使える回線はまったく変わらないんですか?
佐々木さん
はい! 4Gだけでなく、5Gにも対応しています。
docomoは地方や混んでいるところでもつながりやすいというお声をたくさんいただいているので、ストレスなく使っていただけると思います。
docomoは地方や混んでいるところでもつながりやすいというお声をたくさんいただいているので、ストレスなく使っていただけると思います。
石川
なるほど…。でも、他社から乗り換える場合は、さすがにドコモショップに行く必要がありますよね?
佐々木さん
いえ、その場合もオンラインで完結できます。
ただ、同じ電話番号を使いたい場合は、MNP(電話番号はそのままで、移転先の携帯電話会社のサービスを使える制度)の手続きが必要です。
ただ、同じ電話番号を使いたい場合は、MNP(電話番号はそのままで、移転先の携帯電話会社のサービスを使える制度)の手続きが必要です。
石川
手数料とかはかからないんでしょうか?
佐々木さん
もともと使っていたキャリア側でかかる手数料は各社で定められていますが、ahamo側でかかる手数料はありません。
石川
ほう…!
ahamoええやん。ツッコむことがなくなってきた
ツッコミ④:他社からも似たようなサービスが出てますが…
石川
12月にahamoを発表してから、すでに先行申し込みが100万件近く集まっているというニュースを見たんですが、これは想定と比べてどうでしたか?
高山さん
(佐々木さんと顔を見合わせて)
…めちゃくちゃ多いよね(笑)!!
年度末までにこのくらいいけば…と思っていた目標を、開始3日間で達成してしまいました。
…めちゃくちゃ多いよね(笑)!!
年度末までにこのくらいいけば…と思っていた目標を、開始3日間で達成してしまいました。
じゃあ今年度はもう働かなくていいのかな…うらやましい…
石川
ただ、他社からも同じような価格帯のプランが次々と発表されていますよね? ますます競争が激しくなりそうですが…
高山さん
正直、他社さんにキャッチアップされるのは織り込み済みでした。
それでも、docomoが最初に新プランを発表して、従来の料金プランの“流れを変える”ことに大きな意味があると考えたうえでの決断だったんです。
それでも、docomoが最初に新プランを発表して、従来の料金プランの“流れを変える”ことに大きな意味があると考えたうえでの決断だったんです。
高山さん
実際、まだサービス自体はスタートしていないにもかかわらず、12年ぶりにdocomoのMNPがプラスになった、つまりdocomoから出ていくよりも入ってくる方が増えたんです。
弊社の姿勢を少なからず評価していただけたのかな、と受け止めています。
弊社の姿勢を少なからず評価していただけたのかな、と受け止めています。
佐々木さん
若い世代が「通信キャリアに“愛着”を持っていない」のがすごく悲しいんですよね。
もっと、ahamoやdocomoを好きになってもらいたいなと思っています。
もっと、ahamoやdocomoを好きになってもらいたいなと思っています。
佐々木さん
3月にリリースされる申し込みページも、イラストなどを多用して、見ている人がワクワクできる仕上がりを心がけています。
Z世代のみなさんに共感していただけるように、そういった些細な部分にもこだわっていきたいですね。
Z世代のみなさんに共感していただけるように、そういった些細な部分にもこだわっていきたいですね。
高山さん
今の通信キャリアは“無色透明”なんですよ。
でもこれからは、NetflixやYouTubeのように、ahamoというブランドに愛着を持ってくれる方を少しでも増やしたい。
単純な価格競争に勝つだけでなく、「好き」で選ばれるプランに育てていきます!
でもこれからは、NetflixやYouTubeのように、ahamoというブランドに愛着を持ってくれる方を少しでも増やしたい。
単純な価格競争に勝つだけでなく、「好き」で選ばれるプランに育てていきます!
「安すぎて怪しいのでは!?」と思ってしまった画期的なプランの裏には、高山さんや佐々木さんをはじめとした若手世代たちの、並々ならぬ熱意とこだわりがありました。
これを読んで「ちょっといいじゃん」と思ったあなたはもう、ahamoのことを好きになりかけているのかもしれません。
私も彼らの熱意に敬意を表して、さっそく携帯プランの見直しにかかろうと思います!
これを読んで「ちょっといいじゃん」と思ったあなたはもう、ahamoのことを好きになりかけているのかもしれません。
私も彼らの熱意に敬意を表して、さっそく携帯プランの見直しにかかろうと思います!