陸装研ロゴ 10式戦車 ATLAロゴ

1.「10式戦車」とは?

 太平洋戦争の終戦後、日本が独自の戦車を開発し始めてから4代目の戦車となります。ちなみに、初代が61式戦車、2代目が74式戦車、3代目が90式戦車となります。頭の数字は採用された西暦の下二桁の数字です。なので、10式戦車は2010年に採用されたことが一目でわかります。
 先代の90式戦車の重量は約50トンで、本州で使用するにはやや重いという面がありました。そのため、10式戦車は約44トンと軽量化したのですが、攻撃力、防御力、走行性能は90式戦車に負けません。さらに、部隊の戦車が素早く情報を共有して行動できるように、情報ネットワークも搭載しました。戦車はボクサーに例えられることがあります。10式戦車はパンチ力があり(攻撃力が高い)、打たれ強く(防御力が高い)、フットワークが軽い(走行性能が高い)と三拍子揃ったボクサーな上、知性派(情報ネットワークを持つ)という、優秀な戦車なのです。

10TK 

 10式戦車の開発の最終段階では試作車両が4両製作(上の写真は、陸上装備研究所で試作車両4台が集合したときのものです。試験が終了した今は二度と見られない光景です)され、そのうち4号車を陸上装備研究所が所有しています。試験等で使用していない場合は、例年の一般公開では主要な展示品の一つとして皆様にご覧いただいています。

2.デモンストレーション

 74式戦車で初めて採用された機能に、姿勢制御があります。これは文字通り、戦車の姿勢を自在に変えられるというものです。その後、これは日本の戦車の標準的な機能となり、もちろん10式戦車にも採用されています。一般公開では試作車両の4号車の人気のデモンストレーションです。このデモンストレーションを再現した動画(約9分)で、車体を後ろに傾け、前に傾け、持ち上げ、下降させ、右に傾け、左に傾ける様子をご覧ください。

「10式戦車」姿勢制御
(YouTube防衛装備庁公式チャンネルに飛びます)

 戦車が行動するときは、できる限り目立たないことを心がけます。相手の視線や軽い攻撃をさえぎる盾として、地形の凸凹を利用することもその一つです。平原が多いヨーロッパ等に比べて、日本は凸凹が多い地形です。日本の戦車は姿勢制御機能を採用して、他の国の戦車以上にうまく凸凹を利用しています。