1.「IED走行間探知技術の試作車両」とは?
「IED」とは、即製爆発装置(Improvised Explosive Device)の頭文字を並べた言葉です。手に入った爆発物(砲弾、ダイナマイト、自作した火薬など)と、爆発させるために使う携帯電話などを組み合わせて作られる、遠隔操作型の簡易な手製爆弾です。地中に埋められたり、カモフラージュされてさりげなく路肩に置かれたりして使われます。現在でもアフガニスタン等の紛争国で使われ、多くの死傷者が出ています。国際平和協力活動を行う自衛隊にとっても大きな脅威です。
IEDは遠隔操作されるため、IEDの近くで反応する探知器を使うと、探知器を使っている人に被害が及ぶ恐れがあります。そのため、IEDを遠くから高速に探知することを目指した研究が「IED走行間探知技術」です。この研究では、車両で走行しながらIEDを探知することを目指しているため、探知器を搭載した車両という形で試作を行っています。
この研究ではこれまで2回、試作を行っています。左側が最初に試作した車両、右側が2回目に試作した車両になります。研究の目的はIEDを探知する探知器の性能を確かめることが中心になるので、車体はすでにあるものを利用しています。最初の車両は市販の3トントラック(四輪駆動タイプ)、2回目の車両は自衛隊装備品の高機動車を使っています。探知器に使っているのはレーダ、赤外線カメラなどです。1回目の試作では、まずはこうした探知器でIEDが本当に探知できるのかを確かめるため、荷台にマストを立て、その上に必要な性能を持つ探知器を据え付けた車両として試作しました。この車両でこうした方式の探知器でIEDが探知できることが確認できたため、2回目の試作では探知器の小型化にも取り組み、探知器を3トントラックより小さな高機動車の上に据え付ける形で試作できるまでになりました。
2.デモンストレーション
まずは、ご紹介した車両が走っているシーンをご紹介します。最初の車両は9秒、2回目の車両は12秒の動画です。
最初の車両は探知器が大きいため少し不安定なのに対し、2回目の車両は探知器が小型化されて安定しているのがわかると思います。この二つの車両はまだ研究段階のものですが、それでも研究が進むにつれて、こうして装備品へ向かって着実に進んでいるのです。
では、この車両の運転手に、探知されたIEDはどのように表示されるのでしょう。それが次の動画です。車載のビデオカメラの映像に、探知したIEDが赤い×マークで表示されます(約6秒)。
「IED走行間探知技術の試作車両」探知結果表示
(YouTube防衛装備庁公式チャンネルに飛びます)