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1.「軽量戦闘車両」とは?

 軽量コンパクトでありながら火力、防御力、機動力が高い次元でバランスした戦闘車両を目指して試作した、6つの車輪を持つ大型の車両です。
LCV 軸を使ってエンジンの力で直接車輪を動かす普通の車両では、軸の部分が壊れてしまうと全く動かなくなってしまいます。しかし、すべての車輪にモータを組み込んで(「インホイールモータ」といいます)動かせば、車輪の一つや二つがだめになっても車両は動きます。また、例えば地雷原など危険地帯を走行することを考えて、この研究では車高を自由に上下させる機能を検討しました。車高を高くしておけば、地面で爆発があっても場合によっては無傷ですむくらい、乗員の怪我を抑えることができるからです。この機能でもインホイールモータは有利です。エンジンからの軸で車輪を動かすと、軸にジョイント(関節)をつけるなど工夫しても、軸がどうしても車高の上下の動きを制限してしまいます。インホイールモータでは軸がないので、車高を上下させる幅を飛躍的に向上させられるのです。
 こうした利点があるインホイールモータですが、自衛隊で使われるような、車輪の沢山ある大型の車両を普通の車両のように走らせられるか、確かめる必要がありました。そのために製作した車両がこれです。
 実は、インホイールモータにはもう一つ大きな利点があるのですが、それは次のデモンストレーション動画で紹介します。

2.デモンストレーション

 下の写真、一番左が静止している状態なのですが…………

SPT01 SPT02 SPT03 SPT04 SPT05 SPT06 SPT07

 え……え?……え~!?、その場で回ってる!!
 これが、インホイールモータのもう一つ大きな利点なのです。インホイールモータは各車輪を独立して動かすことができます。ということは、片側の車輪を前進、反対側の車輪を後進として回せば、その場でくるくる回転できるのです。この旋回を「超信地旋回(ちょうしんちせんかい)」(英語では「スピンターン」です。覚えておくと、何かの時に自慢できるかもしれません)といいます。これは普通の、車輪のついた車両では絶対できない動きです。車両の機動力を高めることになります。
 それでは、軽量戦闘車両の「スピンターン」を動画(約15秒)でお楽しみください。

「軽量戦闘車両」超信地旋回
(YouTube防衛装備庁公式チャンネルに飛びます)

 軽量戦闘車両の超信地旋回は人気のデモンストレーションで、多くの皆様にご覧いただいております。しかしこの旋回、舗装路面で行うとタイヤと路面が接触する部分(トレッドといいます)が大きく擦り減るのです。タイヤの寿命を犠牲にして超信地旋回するので、やりすぎ注意ですね。以上、こぼれ話でした。