幻想郷塩騒動
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幻想郷塩騒動

2020-05-18 01:05
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幻想郷の生活状況を考察すると、ほぼ間違いなく行き着く一つの問題。

「海に面していない幻想郷において、塩はどのように調達しているのか」

山中の隠れ里である上に博麗大結界によって隔離された異界である幻想郷。
海に面していない為、海水から製塩する事が出来ず、かといって外部から輸入しようにも結界による隔離の為にそれが困難であるのにも関わらず、塩を使っていると思しき料理も作られ、何より塩問屋が人里に存在している事から、塩は一般流通する程度には入手出来ていると思われます。
海でないなら岩塩等の可能性も考えたい所ですが、東方儚月抄の小説・最終回において「幻想郷で岩塩が見つかった形跡はない」等と、岩塩は否定されています。

岩塩以外で、山塩等の自然由来の塩の可能性や、塩吹き臼のように幻想的なアイテムや術によるもの、八雲紫のような外界と行き来出来る妖怪による輸入……等、色々な可能性が考えられますが、一つ確かなのは「塩問屋が富豪になる程度には希少だが、問屋が存在し人間の里に不自由なく一般流通する程度の量が入手出来ている」事から、塩を作っているor入手している「元」はかなり大規模な存在である事が予想されます。
それなのに、塩の手所をしっかり把握している者は少ない様子。つまり組織的に秘密裏な入手手段を用いている可能性などが考えられます。

妖怪に保護される立場且つ里の外での活動が困難な人間の里の存在にはそのような事は困難であろう事から、そのようなルートを持っているのは妖怪、それも組織的な妖怪である可能性が高いと思われます。

作中において、塩及び海について言及した妖怪が数人居ます。

例えば茨木華扇。海の魚を秘密裏のルートで入手したりしていました。
しかし、彼女は基本的には組織活動はせず個人である上に、外界と個人で行き来をした結果の入手であると思われる為、組織的な塩入手の中核である可能性は低そうです。

次に、河童。というか、河城にとり。
茨歌仙二十二話・「怪魚万歳楽」において、万歳楽(アザラシ)をショーの為に飼育する目的で海獣の生育環境を華扇に尋ねました。そこで華扇に「海の水は塩水」と教えられたにとりが、「それじゃあ不足しがちな塩分に困らないじゃん」「アレの玉とかソレの血で補給しなくたって……」等と驚き悩んだ上で、華扇に「人工海水プール」を作る事を提案され、それを普通に受領していました。
つまり、海水の……塩の入手元に目途は付いているという事。
ただし彼女も海の存在は知っていても「海水が塩水」だと知らなかった事から、もし幻想郷の塩が海水由来だとしてその入手そのものには関わっていない可能性が高いです。
ただ、人工海水を作る目途がある事から「入手元」と関わりがある可能性はあります。

目下一番可能性が高いのが、天狗。
ダブルスポイラーにおいて、竜宮の使いである永江衣玖の弾幕を見た天狗二人は


等と、「過去に海に行っていた」事を匂わせています。
山の妖怪である筈の二人が河童と異なりかつて海によく行っていたという事は、塩との関連性も疑われます。

更に、姫海棠はたては比那名居天子の要石を用いた弾幕に対し何故かやたらと漬け物を連想しています。
漬け物といえば塩が欠かせないので、彼女は塩に関わりが特に深いのではないのでしょうか。

そうして彼女の言動を見ていくと、一見塩とは関係ないですが微妙に奇妙な事を言っています。

洩矢諏訪子の、翡翠を投げつけるスペルカード・『姫川「プリンセスジェイドグリーン」』に対して「翡翠だけでなくキツネ石が混じっている」事を見ただけで看破します。
実際に弾幕には翡翠と思われる緑色の弾の他に微妙に色が違う弾が混じっています。
これを看破出来たのは、なぜなのか。

これには、別の作品が少し関係してきます。
弾幕アマノジャク九日目、シーン2・洩矢諏訪子『緑石「ジェイドブレイク」』の冒頭タイトル。

「糸魚川は翡翠の名産地ですよ」
新潟県、糸魚川市。そこが翡翠の名産地である事が何故か語られています。

糸魚川市、そして塩。
この繋がりには何かないのか。

糸魚川市と塩と言えば、「塩の道」というのがあります。
長野県・松本市~新潟県・糸魚川市までを繋ぐ道。糸魚川から松本市まで塩を運搬する経路として用いられた街道、「千国街道」。戦国時代における「敵に塩を送る」の故事の語源にもなった街道です。江戸時代頃までは、塩運搬の重要なルートの一つでした。

さてこの千国街道、ある類名があります。
千国街道に限った名称ではないですが、江戸時代以前の徒歩ルートに対する、主要街道以外に対する呼び名。千国街道もそのルートとして数えられていました。
それら別ルートは、本街道が峠や川、関所などの難所が多かった事からそれらを避ける為に選ばれる事が多い道でした。
人通りが少ない為に犯罪率も低い事から、女性の旅行者がそちらのルートを選ぶ事が多くなるという意味で、それらの街道は「女街道」とも呼ばれましたが、その他にこうも呼ばれました。

『姫街道』


さて、海に昔よく行っていた天狗。
何故か翡翠に詳しい「姫海棠」はたて。
糸魚川市が翡翠の名産地である事を示すテキスト。
その糸魚川市を端とする「塩の道」、千国街道の別名が「姫街道」。

果たしてこれは偶然でしょうか。


軽い喋りで一見普通の天狗に見せかけ、何故か権力争いに対して露骨に嫌悪感を表すはたて。
そして、同じ天狗の射命丸文や犬走椛が赤い帽子を被っている中で一人だけ紫色の帽子を被るはたて。

聖徳太子の制定した冠位十二階でもそうであるように、紫は色で階級を表す際に上位、尊い位に置かれる事が多い色です。

彼女は天狗の中でも高い立場の家の出身で、それ故に権力に関わる事が過去多かったが為に権力争いに嫌悪感を示しているとしたら?
そしてその「高い立場」が「幻想郷における塩流通」という重要な仕事を担っているが故の物だとしたら?
「姫海棠」の名が、ヒメカイドウ……ズミの木以外に「姫街道」のもじりでもあり、それが「塩の道・千国街道」を表しているとしたら?

幻想郷の塩が何から精製されたものなのかは未だ不明瞭点が多く特定しにくいですが。その精製や輸入・輸送等には天狗の姫海棠家が深く関わっているのかもしれません。
はたての今後の動向から目が離せませんね。


追記


「新人記者」であるのに、パノラマ機能及び完全防水機能がありフィルム巻きも早いというはたてのカメラ。
それを作ったのは河童。

前述の「塩は不足しがちと言いつつ人工海水製造の目途は付いていると言った」にとり。

河童は姫海棠家とも繋がりがあり、それ故に金に糸目さえ付けなければ塩を入手出来。
それ故に、姫海棠家の娘であるはたてに便宜を図り高性能カメラを作った……
そのような可能性もあるのかもしれませんね。


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9ヶ月前
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