欧州で変異ウイルス猛威 パリなどロックダウンへ[2021/03/19 23:30]
ヨーロッパで、変異型の新型コロナウイルスが猛威を振るっています。
イギリス型の変異ウイルスは感染力が強く、致死率も従来型の1.5倍以上とされ、フランスでは全体の73%にまで達しました。
フランスは20日から、3度目のロックダウンに入ります。外出は制限され、生活必需品を売る店などを除いて、店は閉まります。
去年秋の第2波の後、感染をある程度抑えこんでいましたが、年明けごろから徐々に増え、最近では新たな感染者が3万6000人を超える日もあります。ICUの8割以上が埋まり、状況は危機的です。
さらに気になる事態も起きています。PCR検査をすり抜ける新たな変異ウイルスが見つかりました。
変異ウイルスが見つかった病院関係者:「PCR検査は、この変異ウイルスに反応しないため、意図しない感染拡大が起きています。職員や市民に不安が広がっています」
イタリアでは15日から、国の半分でロックダウンが始まりました。生活必需品を扱う店以外は営業が禁止され、学校も閉鎖されています。これまでも夜間の外出制限といった措置が取られていましたが、変異ウイルスの拡大に歯止めがかからず、より強硬な措置に踏み切りました。
ドイツでは今月、去年11月から続いているロックダウンが一部で緩和されました。しかし、喜びもつかの間、再び試練に直面しています。2月中旬に底を打っていた新規感染者数が増加に転じています。
やはり問題はイギリス型の変異ウイルスです。1月中旬は全体の5.6%でしたが、今月初めには72%と急増しています。
ヨーロッパ各地が新たな感染拡大に見舞われる一方、変異ウイルスが最初に広がったイギリスでは、ここのところ感染者が減っています。ロックダウンの完全解除には至らないものの、感染状況が落ち着いてきた1つの要因とみられているのが、ワクチンの接種が進んでいることです。
ファイザー社のワクチンの接種を世界に先駆けて始めたイギリスでは、成人人口の半分近くにあたる2500万人以上が1回目の接種を済ませています。100人あたりの接種件数では39件と、他のヨーロッパ諸国の3倍以上のペースです。