閉じる
閉じる
『桜井政博のゲームについて思うことX』(桜井政博著・エンターブレイン)という本のなかで、声優・大塚明夫さんのこんなエピソードが紹介されていました。
(『大乱闘スマッシュブラザーズX』の制作時の声優・大塚明夫さんのエピソード)
スタジオジブリがそうしているように、実際は「売れているタレントさん」のほうが、「集客力」はあると思うのです。『ハウルの動く城』の木村拓哉さんみたいに。
ただ、僕はあの『ハウル』の木村さんけっこう好きですけどね。ハウルのナイーブな感じが、木村さんとすごくマッチしていたと思う。あの映画は、むしろソフィーの声のほうがちょっと……
ただ、冒頭の大塚明夫さんのエピソードを読むと、「本物のプロの声優」の仕事っていうのは、やっぱり「専門職」なんですよね。
「声でしか表現できない」というのには、ある種の制約があるし、それを理解したうえで表現するのは、そんなに簡単なことじゃない。
「動きとセリフで表現する」役者さんにとって、「目で見える要素を排除して演じる」というのは、それなりに大変なことではあるはずです。
どんなに優秀な役者さんであっても。
堀江さんのことを批判する人は多いけれど、ここで桜井さんでさえ「えっ?」と思ってしまったように、実は、「声優の本当のすごさを聴き分けられる観客」の不在こそが「プロの声優」の仕事を減らしているし、声優さんたち側も「こんなもんでいいか」って妥協しがちな原因なのかもしれません。
プロの声優よりも、名前が売れているタレントさんが声をあてるほうが「集客につながる」(あるいは、売るほうがそう思い込んでいる)というのも、ひとつの現実なわけで。
ジブリは昔は声優さんメインだったたけにやり玉にあがりやすいのですが、ディズニーアニメとか、洋画の吹き替えとか、ひどいもんですよ。某人気女優が声をあてていた『プロメテウス』みたいな「ぶち壊し」レベルのものもあるのに、それでも、「声優としては未知数の人気タレントの起用」は無くなりません。
たぶん、これからも、声優さんが「技術」で主役を得ていくのは、難しい時代が続くはずです。
でも、だからこそ、この大塚明夫さんのエピソードを、多くの人に読んでいただきたいと思うのです。
(『大乱闘スマッシュブラザーズX』の制作時の声優・大塚明夫さんのエピソード)
スネークの声を演じるのは、大塚明夫氏。大物です。代表作は『ブラック・ジャック』、日曜洋画劇場のナレーションなど。シブくて太い声で、ゲーム関連にも多数出演されています。スネークは、氏の声あってのものですよね!!
夏のころ、渋谷のスタジオにて。『スマブラX』は対戦型のアクションゲームなので、各キャラクターのセリフは短く少なめです。だから、声優さんを全員集めて何日もかけて収録するということはありません。ひとりずつ時間単位でスケジュールを割り当て、短いセリフを数十テイク収録し、はい、おつかれさま、という淡白なもの。でも、後日再収録、なんてことはできないから、よーく聴いておかしなところがないか判断しなければなりません。わたしも、ここぞとばかりに音に集中します。
そしてついに大塚さんが登場。事前に台本を読んでいただいているので、準備万端。諸処説明後、大塚さんは録音ブースへ。わたしは指示を出すために編集スタッフ用のマイクの前へ。
順調に収録が進んでしばらく。大塚さんの発声が少しつかえたように聞こえました。ん? と思いながら、「もう1テイクお願いします」とお願いしたところ、なにやら怪訝そうなお顔。あれ? 悪いことを言ったかしら……。
ここでのお話、コラム連載中には具体的に書くことを伏せていましたが、いまなら書けます。
スネークの”スマッシュアピール”において、ルカリオの波導の色を語る描写がありました。
「メイ・リン、奴の手から出ている”紫”の炎はなんだ?」と。そこが、ちょっとつかえていたと。
大塚さんに話を伺ってみると、どうやら”色を形容するときに言葉を捜すさま”を演じていたのだとか。「色を言葉にするとき、すぐにその色の名前が出る人は少ないでしょ? それで、色の名前を考える間を入れてみたんだけどね」。なるほど……!!
これは感服。たしかにそのとおりです!
目の前に広げられた台本。氏はそれだけにとらわれず、情景、あるいはスネーク本人の思考をリアルに頭に浮かべながら演じているのだと感じました。空気のように自然に演じられているかもしれないし、よく考えてのことかもしれない。いずれにせよ、声優なり役者なりの熟練の成果なのでしょう。
声優さんに限らず、シナリオを書く人も、頭の中でいろいろなキャラクターが語り、叫び、吠えているものだと思います。
そこにないものをあるように見せること。それに賭けている人には、いろいろな方向性があれど、経験や情感が活きていくのだろうと思います。それが重なって作品性がにじみ出てくるのだろうと。
最近、堀江貴文さんの、こんな発言が物議を醸しています。
堀江貴文(Takafumi Horie) @takapon_jp 声優って実際そんなにスキルいるんかえ?って身も蓋もない話もあるし。 RT @bowwanko: 養成所は何十万もかけてるけどアニメを作ろうは一万円だからお得、というのは違うように思います。声優の卵が養成所にお金を払って通ってるのは己のスキルを上げる為であって http://twitter.com/takapon_jp/status/346103407733530624
堀江貴文(Takafumi Horie) @takapon_jp 真面目にやってる人達には悪いけど実際売れてるタレントさんには常に声優のオファーはあるんだよね。俺にすらあるからw 養成所に入ってスキルあげなきゃってのは悪い意味での日本的真面目さなのかなと。有料オーディション通いまくる自己流でトレーニングの方が場数踏めたりしてね。 http://twitter.com/takapon_jp/status/346104198288531457
スタジオジブリがそうしているように、実際は「売れているタレントさん」のほうが、「集客力」はあると思うのです。『ハウルの動く城』の木村拓哉さんみたいに。
ただ、僕はあの『ハウル』の木村さんけっこう好きですけどね。ハウルのナイーブな感じが、木村さんとすごくマッチしていたと思う。あの映画は、むしろソフィーの声のほうがちょっと……
ただ、冒頭の大塚明夫さんのエピソードを読むと、「本物のプロの声優」の仕事っていうのは、やっぱり「専門職」なんですよね。
「声でしか表現できない」というのには、ある種の制約があるし、それを理解したうえで表現するのは、そんなに簡単なことじゃない。
「動きとセリフで表現する」役者さんにとって、「目で見える要素を排除して演じる」というのは、それなりに大変なことではあるはずです。
どんなに優秀な役者さんであっても。
堀江さんのことを批判する人は多いけれど、ここで桜井さんでさえ「えっ?」と思ってしまったように、実は、「声優の本当のすごさを聴き分けられる観客」の不在こそが「プロの声優」の仕事を減らしているし、声優さんたち側も「こんなもんでいいか」って妥協しがちな原因なのかもしれません。
プロの声優よりも、名前が売れているタレントさんが声をあてるほうが「集客につながる」(あるいは、売るほうがそう思い込んでいる)というのも、ひとつの現実なわけで。
ジブリは昔は声優さんメインだったたけにやり玉にあがりやすいのですが、ディズニーアニメとか、洋画の吹き替えとか、ひどいもんですよ。某人気女優が声をあてていた『プロメテウス』みたいな「ぶち壊し」レベルのものもあるのに、それでも、「声優としては未知数の人気タレントの起用」は無くなりません。
たぶん、これからも、声優さんが「技術」で主役を得ていくのは、難しい時代が続くはずです。
でも、だからこそ、この大塚明夫さんのエピソードを、多くの人に読んでいただきたいと思うのです。
広告
コメントコメントを書く
他128件のコメントを表示
×
ジブリは声優使わないことでうまくオタクっぽいイメージの定着を回避してるんじゃない?
アニメオタクとかそういうのに偏見というか(偏見でもないというか…)悪いイメージを持ってバカにしてる人ですら「私ジブリ好きです」とは言うからね。
オシャレなイメージを持たせたいとか、作品のクオリティ以外での販売戦略だとかで芸能人使うのは戦略として分からんでもない。
でもひどい吹き替えの動画見ても思うけど、その作品を楽しみにしてた人にとって耐え難い演技は見てて聴いてて不幸以外の何物でもないよね。洋画はまだ字幕で楽しむという逃げ道があるけどさ。
ところで堀江さんにいくオファーってどんな役だったんだろう?
何となくイメージはできるけどw
アニメオタクとかそういうのに偏見というか(偏見でもないというか…)悪いイメージを持ってバカにしてる人ですら「私ジブリ好きです」とは言うからね。
オシャレなイメージを持たせたいとか、作品のクオリティ以外での販売戦略だとかで芸能人使うのは戦略として分からんでもない。
でもひどい吹き替えの動画見ても思うけど、その作品を楽しみにしてた人にとって耐え難い演技は見てて聴いてて不幸以外の何物でもないよね。洋画はまだ字幕で楽しむという逃げ道があるけどさ。
ところで堀江さんにいくオファーってどんな役だったんだろう?
何となくイメージはできるけどw