クリエイティブRPG

戦いを終え、セラフィたちがピラミッドからの脱出を果たすと、程なくしてピラミッドは地中へ沈み込むかのようにして姿を消した。
周囲に影の獣の気配はなく、風によってたなびく木々の音だけが聞こえてくる。

「終わった……んですかね？」

しばらくの間その様子を見ていたフラジールがそう口を開いた。
全ての黒幕だったセカンドを撃退し、その部下であった２人を消滅させた今回の戦いは
完全勝利とはいかずとも概ね勝利といってもいいだろう。

「奴の気配は完全に消えたな。あのまま死んだとは到底思えないから、
　最後の力を使ってどっかの世界に逃げたと考えるのが妥当だろうな」
「そうだね。それにあれだけ消耗していたらすぐにこれだけの事態を引き起こせるだけの力が
　出せるとも思えない……こっちも無事とは言えないし、一旦は居場所を探しつつも休戦かな」

ジストレスの言葉にセラフィはそう返すと、いつもの大剣状態に戻ったジストレスを再び背負い直す。
と、そこに少し遠くの位置で他の２世界と連絡を取っていたオニキスが戻ってくる。

「アーキタイプとブランクの方も特に異変ないって！
　しばらくの間警戒してもらうことにはなりそうだけど、
　やっぱりどっか別の世界に逃げたのかなぁ？」
「ここで倒しきれなかったことをいつか後悔する日が来ないように気をつけましょうね」

オニキス、メロディアによって他世界の安全も報告されると、
ようやくセラフィの顔にもわずかながら安堵感が浮かぶ。

「私にはよくわからない話ばかりでしたが、
　この島の平和を守って頂けただけではなく、研究者としても非常にいい経験をさせていただきました。
　影の獣はいなくなってしまいましたが、この経験を糧にこれからも私の方では研究を進めておきます！」

「お前出会った時よりも元気になってねぇか？」
「そ、そんなことは断じてっ！　……ただ、どの経験も新鮮で非常に興味深いものではありました」

ジストレスのツッコミに慌てるフラジールを見て一行は少しだけ笑みをもたらした。

「なんにせよ、プレヴァレンスはひとまず大丈夫そうね。
　ブランク、アーキタイプをくっついて増殖した自然も徐々に戻っていくでしょうし、
　しばらくの間は普段通りの生活を送って問題ないわ。
　何かあればまた私たちが来るから安心しなさい」

「はい！ありがとうございます！！」


これにて、ひとまずプレヴァレンスの危機は去った。
しかし、ピラミッドと共に姿を消したセカンドの行方は誰も知らず、
未だトラッシュの残した研究体は残されたままとなった。

次なる騒乱が起こるのはそう遠くないことなのかもしれない。

【【プレヴァレンス】虚王の眠る墓　完】