カスデリカシー面接

 

先日、面接を受けてきたうちの一つの話をする。

 

 

そもそも、求人の電話を掛けた時点で怪しかった。

 

 

就職支援のおばさまスタッフが地元求人誌から私の条件に合いそうだと、そこの会社を勧めてもらった。(求人は自分で探すもんだと思っていたけど誰かと一緒に見たり探してもらったりが出来るらしい。ありがたい)

 

なんと、おばさまスタッフは事前に求職者を装い求人の電話までかけたらしい。ハロワ的な仕事をしている方は時にスパイにもなるんだ、かっこいい。

 

スパイ行為で様子を探ったところ、「気のいいおっちゃんが出てきたよ」と情報を教えてもらった。

 

気のいいおっちゃんかーと思いながら、じゃあ電話してみますーと返事をした。

 

ただでさえ既卒の未経験で無免許の私が応募できる仕事は少ない。最近は机に座る仕事も出来ないというのが判明し出来る仕事の範囲がかなり狭いので、条件に合った求人は全部応募しときたい。

 

 

自分がそこに電話を掛けたら、確かに気のいいおっちゃんが出てきた。

 

「すみません、求人見たんですけども」

「あらそう、何の部署をご希望なんですか?」

「梱包がしたいです」

「あらー…あれはねぇ、結構体力使いますからね、他の仕事を経験してからの方がいいと思いますけどねぇ…」

「そうなんですか…」

 

職種は他に全国転勤がある。今の状況だとそれはちょっと出来ない。他の職種にした方がいいと言われたが、そうもいかん。すると電話先のおっちゃんは笑いながらこう言った。

 

「まぁね、正直何でもいいんでしょ?」

 

何でもいいって事あるか?と考えたがすぐに返事しないといけないと思って反射的に「はい」と答えたような。すごく良くない癖を発揮した後に、「えっ、いや…はい?」と、つられて笑ってしまった。就活で正直何でもいいって文言飛び出るってあるだろうか?それに「はい」と答える事はアリなんだろうか?間違いなく悪手ではあろうが。

 

そんなやりとりがあった時に、「履歴書持って面接を来てください」という話になって終わった。

 

 

🤔🤔🤔

 

 

しばらくしてからスパイおばさまから「どうだった?」と電話がかかってきた。

 

「なんか希望部署について、正直なんでもいいんでしょ?って言われました」

「何でもいい!?」

 

吹き出してらした。やっぱり相当変な言い方らしい。

 

この件について、スパイおばさまは「希望部署は強気になってもいいから伝えた方がいい、変な所に回されたら困るから」とアドバイスを受けた。

 

 

面接で強気になってもよかったのか、知らなかった。

 

 

この件について、スパイおばさまとは別に利用しているジョブカフェで担当の方に相談すると、普段は穏やかな担当の方も「何でもいい!?」と吹き出していた。

 

やっぱりすげー変らしい。

 

その担当の方にも「それで、別の人(スパイおばさま)に相談したら『強気になってもいいから希望部署伝えなさい』って言われたんですよ」とも伝えたら「自分の身を守るためだし、求人に書いてない事をされたら困るからそうした方がいい」と完全同意のアドバイスをいただいた。

 

そうか…面接で強気に言ってもよかったのか…。

 

この1年就活をしていたと思ってたけど、そんなのは知らなかった。

 

 

🚧🚧🚧

 

面接。

 

あの時の電話の同じ笑い声のおっちゃんと、完全武装の制服の方が面接官であった。

 

履歴書と自己紹介書を見ながら業務の説明を聞く形式で、私はとにかく「ハイ!ハイ!」と相槌を打った。それしか言えない雰囲気だった。

 

基本的な受け答えを想定したのに説明だけなのか…?と肩透かしを食らいながらハイハイ言ってたら、途中で完全武装の方が退席して電話のおっちゃんだけになった。

 

そのおっちゃんも業務の詳しい説明をすると思いきや、履歴書のコピーを見ながら「え?大学5年も行ってんだ?親にいっぱい金遣わして?親にいっぱい金を遣わして?」とヘラヘラしながら学歴の欄をいじってきた。

 

大学の件は今までの面接で何度も突っ込まれてきたが、こんな親不孝的な突っ込まれ方は初めてである。いや、その通りなんだけども…。

 

これまでの流れでハイハイ相槌を打っていたのと、あくまで笑いながら言われたので冗談っぽいので用意していた面接用の受け答えはできず、電話の「正直なんでもいいんでしょ?」と同じようにつられ笑いで「あー、はい…」と言ったような。なんかそれっぽい答えを求めてるようでもなかったし。

 

 

その後、制服のサイズを聞かれて「XLです」と答えた。この時点で正直とても恥ずかしい。普通の女が着るのはSのみであるから。

 

しかし、おっちゃんはXLという表記にピンと来なかったようで、私と顔を合わせたまま「あー、3Lも行かねぇか、LLか」と呟きながら備考欄に書き、「顔もそんなに小さくないから、これくらいか」と続けて書いた。

 

 

うおうおうおうおうお。

 

電話を受けた時からそんな感じしていたが、実際かなりキビシーッ感じの人であった。「ハラスメント…?ハラスメント…?」社会的立場から無縁と思っていた横文字が頭をよぎる。でも、悪気はなくて何ならウケてると思ってやってるから性質が悪いな。

 

 

包み隠さないキビシーッ言葉のあと、求人票にも採用ページにも面接は1回予定と書いてあったのにさらりと役員面接の予定を告げられる。

 

 

それなら、説明をするだけじゃなくて普通の形式の面接1回でまとめりゃよかったんじゃねぇかと、キビシーッ人間と対面した事で痺れて固まった頭でそんなツッコミをしながら帰った。

 

 

🗽

 

後日、ジョブカフェでこの面接の感想を伝えた。ハラスメントを受けたというには程度の具合に確信が持てなかったので、「デリカシーが無い人」と言い換えた。

 

担当の方も「それはひどいね」と言ってくれた事で、やっぱりアレおかしいよなとようやく自信が持てた。あくまでおっちゃんはウケてると思ってそういう言い方をしている訳で、別に攻撃はするつもりないから「なんだよアイツよぉ!」ともブチギレもしづらかったのである。(他人の自虐ネタを自分のモノのように笑いにすんのは間違いなくおかしいがね!)

 

 

その部分についても、その人はそういう言動はきっと治らないよね」とも言ってくれて、「悪いと思ってないですよね」と話せた。

 

 

完全に想像だけど、あのおっちゃんはああ言う話し方なのに、森元会長の事をめちゃくちゃ馬鹿だと言ってるだろう。考え方の根っこは同じだっつーのによ!

 

 

担当の方は「それで、そこにもし受かったら行くの?」と聞かれて「そこしか無かったらそこに行くと思います…」と、その時は答えた。

 

 

でも、あの時の事を思い出すと「問題のある言動に悪いと思わないまま振り撒くおっちゃん」が上司の職場でしっかりババアになるまで働くのは嫌すぎるので、多分受かっても行きたくねぇですね。

 

 

職場とのミスマッチを防ぐ為に面接でいろいろ聞いた方がいいとは言われてきたけど、「別に働きだしたら絶対ダルいんだからなぁ」と思っていたけど、こういうのを避けようねって事なんだろうか。

 

最後に。

 

もう落ちただろうし関係ないから言う。(ほぼ説明を聞いてただけなのに落とされた)

 

あのおっちゃんじゃない方の完全武装の面接官が「ウチは若い人が欲しいんです」って言っていたけど、あのおっちゃんが採用に関わってる限りかなり厳しいと思います。スパイおばさま相手にはそういう言動してなかったようなので…。