時計 2021/03/21 16:00

南国殖産が北薩・甑島沖で洋上風力発電 5万5300ヘクタール、最大150万キロワット 再エネ企業と共同計画 

 南国殖産(鹿児島市)と再生可能エネルギーを手掛ける外資系の日本風力エネルギー(東京)が北薩沖と甑島沖で、洋上風力発電を共同計画していることが19日、分かった。4月ごろ、自然や生活への影響を調査・検討する環境影響評価(アセスメント)の手続きに入り、事業内容を公表する。この1年、薩摩半島西方海域で計画が相次いでいるが、地場企業の参入は初めて。

 両社によると、いちき串木野市から阿久根市にまたがる沖合と甑島沖の計約5万5300ヘクタールを発電海域に想定している。いずれも陸地から4キロ以上離れ、漁業権区域と定期航路は含まれていない。

 事業化には周辺海域が洋上風力を優先的に進められる国の「促進区域」に選ばれる必要があり、区域内でのみ発電整備が可能になる。まだ国から促進区域の指定を受けておらず、周辺海域のどこが指定区域になるか分かっていないため、発電海域は広めに設定した。促進区域が決まれば規模を縮小する方針。最終的には国の公募、入札で事業者が決まる。

 計画では、直径最大222メートル、海面からの高さ約270メートルの風車を最大で約150基設置。本土沖は海底に固定する着床式、甑島沖は海に浮かべる浮体式にする。総出力は最大150万キロワット。平均風速が秒速7メートル以上と収益が見込め、沿岸自治体も再エネ導入に積極的と判断した。両社は漁業者や自治体に説明を始めている。

 日本風力エネルギーは英国などで洋上風力を手掛ける多国籍企業傘下の日本法人。県内2カ所の陸上風力発電計画に参画している。

 県内では昨年、アカシア・リニューアブルズ(薩摩洋上風力発電、東京)と三井不動産が北薩沖で、吹上浜沖洋上風力発電合同会社(インフラックス、東京)が吹上浜沖で、それぞれ事業構想を打ち出した。
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