はじめに

この記事では魔法少女まどか☆マギカの登場人物である巴マミについて、 MBTI による分類を考察する。暖かく、和やかで、優しい。強い仲間意識を持ち、後輩である鹿目・美樹にとても親切で心から彼女達の力になろうという熱意があった。正義感が強く、頼りになる人物という印象がある一方で、非情に繊細で精神的に脆い部分があり、それを徹底して隠すところがある。いずれの特徴も ENFJ らしい。
まどマギ記事リンク
ESTP、美樹さやかESTP、佐倉杏子ENFJ、巴マミ
ISTP、暁美ほむら,
旧版INFP、鹿目まどかINTJ、インキュベーター魔法少女まどか☆マギカの振り返り
ENFJ の Functional Stuck
Dominant: Extraverted Feeling (Fe)
Auxiliary: Introverted Intuition (Ni)
Tertiary: Extraverted Sensing (Se)
Inferior: Introverted Thinking (Ti)
E と I
単純に他人と朗らかに接触し、コミュニケーションに関して怖じ気がない。むしろ他人との交流が好きな人物と言って差し支えないだろう。笑顔を絶やさず、親切で自然と他人が歩み寄りやすい雰囲気を、意識的に作ることができる。こういった仕事は Extraverted と言うだけでなく、 Fe の範疇にある。巴は積極的に Fe を使っていると判断できる。
上記の事から基本的には Dominant Fe であるを疑うべきだ。 ISFJ, INFJ も Fe を容易く使うが、巴の頼れる先輩らしさ、主体的に他人を引っ張って行こうとする資質を考えると、 EFJ の方がよりそれらしい。端的に言えば ISFJ は他人の前に立つことについてはやや及び腰、 INFJ は少々受動的で内省的な傾向が強い印象がある。
巴の街を守るという信念も Fe の延長線上と見ていいか。他人のためとか、社会のために奉仕する精神というのが Fe らしい。ごく小さい規模で言えば親切心となるだろう。正義感が強いというのは確かだが、自分の信念云々というよりは、困っている人は助けるべきで、助けることができて嬉しいという、そのくらい素朴な感情と捉えたほうがしっくりくる。
N と S
Dominant Fe ということで ESFJ か ENFJ かとなる。結論から言えば、抽象的・心象的な視野があり、あまり四角四面という感じのしないことから、 ENFJ と捉えた。 Fe がハッキリしていることに比べるとかなり表現しにくいのだが、 ESFJ というより遥かに ENFJ な人物であると感じられる。
それこそ特定のシーンを切り出して、 Sensor らしいとか Intuition らしいとか言う話で判断する事柄ではない。ただ、確かに話を進めるには、一種 ENFJ らしいと取れる行動を挙げる必要はある。巴の場合は幸いなことにそうと示しやすい部分がいくつかある。
3話で美樹が、自分ではなく他人の願いを叶える形を取ることは可能か、巴に相談した時である。巴は即座に美樹の考えの急所を看破し、美樹に反問する形で、問題を浮き彫りにした。勘の鋭さ、何より会話のゴールを先んじて読み切るのが、 NJ は上手い。あくまで理論上の話だが、 SJ は既に顕現した事実を元に判断するのに対して、 NJ は自分の頭でシミュレートしてしまう。
この時の美樹の話はかなり曖昧で、「それだけの情報では判断できない」類の相談でもある。あるいは「自分にとって大事なら」とか、一般的な毒にも薬にもならない回答も自然だった。それこそ、美樹はそれを望んでいたと思われる。迷っているから太鼓判・後押しが欲しかった、ということで実のところ相談ではない。ハッキリ言って、巴が称賛してくれるのではないかという、甘えすらあったようにも見える。
逆に巴は美樹の下心にすら、潜在的に勘付いたのだろう。美樹が「かけてほしい言葉」が見透かすように見えたのだ。だからこそ美樹の甘さを粉砕するような、核心を思いっ切り突くような反問をしたのではないか。
このあたりの異様な真剣さというのも ENFJ に寄ってはいる。他人とのコミュニケーションを心底大事にするが、浅薄な仲の良さ・ありきたりな思いやりでは済まない、他者との交わりに真実性・究極性を求めるところがある。単に仲良く、一緒に行動するのではなく、痛みを伴ってなお、他者とともに真実を追い求めることだけに関心がある。 この時の巴から、そういう感じを受ける。
また、同じく3話で鹿目からも相談されている。鹿目は美樹の件があったおかげで、巴に考えが甘いと怒られそう、と漏らしている。鹿目の話は、いかにもな、ややまとまりのない話であった。だがむしろ、一言で言い表せないごった煮の感情を、むき出しで巴に示したようなものだった。巴はまずその純粋さに打たれてしまった様に見える。
同じ Feeler でも、 Intuition の方が心理的・精神的だろう。巴は鹿目の話を聞き、そのテキストの奥の、まさにコンテキストを感じ取った。鹿目の甘さ、自分の「仲間が欲しい」という欲望もちらつき、鹿目を魔法少女にするべきでないかもしれないと思ったかもしれない。だがどうもこの時、巴は誰にも止めることのできない、鹿目の宿命を悟ったようにも見える。私にはこのやりとりが、全く NF 同士のものとと捉えずにはいられないのだ。単なる発声による情報交換や友好の表現でなく、個人の世界同士の接触というような、深度があるように感じられた。
他、12話でも鹿目と会話している。ここでもやはり、鹿目の選択を心配していると同時に、止めることはできないことを「知っている」という感じがある。佐倉があくまで鹿目が自分で選択したことに着目するのに対して、巴はより大きな何かを見越して話しているようなところがある。
T と F
暖かく社交的な、絵に描いたような Fe user である。リーダーシップがあり、自信があり、自然と頼れる人物だ。他人の心情を細やかに読み取ることができ、問題を読み取れる。他人と共闘することで活力が出る。
同時に ENFJ の脆さも、巴は持っていた。 ENFJ は抜きん出て他者理解に長ける一方で、自分自身の心情を評価する能力に欠けるとされる。舵のとり方が「 Fe で周囲をコントロールする」方向に傾くのだが、自分を見つめる機能が Inferior の小さい Ti なのだ。他人の気持ちがわかっても自分の気持がわからない。
巴は頼もしいリーダーシップを発揮し、美樹や鹿目から十分な信頼を得て、生き生きとしていた様に見える。だが、実際には3話で鹿目と話した折、今なお強い孤独を感じ、それに押しつぶされる寸前であること、あまりに弱い自分に苛立っていることを吐露した。
実際、10話では美樹が魔女になり斃された直後、極度の狂乱状態に陥り、佐倉を殺している。信じがたい暴挙だが、絶え間ないストレスに曝され、苦労して続けている行いがおぞましい最期へ繋がる道だと知り、破綻したのだろう。繊細でストレスの消化が苦手なことがわかる。
ただ、基本的には鹿目の存在で救われただろう。自分の感じている強い孤独を彼女と共有することができた。巴にとって鹿目は、誰にも知られず命を賭けて、苦しみながら頑張っていたことを認めてくれた初めての人物なのだ。家族も死んだ巴にとって、愛を与えてくれるかもしれない存在だった。
どこか、こんなにも優しい鹿目を地獄の道連れにしてもいいのか、と自問した雰囲気がある。大体はよく考えて決めるよう話していた巴だが、鹿目の話を聞いたあとは、魔法少女と自分自身を貶めるような発言でそれこそ本音だった。だが、それでも鹿目は巴を支えるといい切った。広い交際が得意な ENFJ にとってむしろ必要なのは、数少ない肉親に匹敵する友達かもしれないが、鹿目はそれ足り得た。
面白いのは12話でも同じ様な格好の会話になっている。巴が土壇場で鹿目に本当にその選択でいいのかと尋ね、鹿目が迷いなく答える。なんというかきれいな組み合わせである。
さて、最大の友達を得た巴だが、精神的にも凄まじいドライブがかかる。 ENFJ は自分というより、信じる仲間のために頑張れる。 NF らしくテンションの高まり方が他の比ではない。精神的に充足し、あらゆる重圧から開放された巴だが、はたから見ればやはり冷静さを欠いており、足元がおろそかであった。そして敢えなく死んだ。
J と P 特別に Judging らしいと捉えにくいかもしれないが、端々の行いは模範的な Judger だ。美樹と鹿目が魔法少女の適性があることを知り、円滑にチュートリアルを仕掛け、その模範となって持てる知識を教えた。魔法少女になる事についても積極的に相談に乗るつもりでいただろう。良い意味でも悪い意味でもなく、とても操作的なところがある。
暁美への対応も落ち着いたものだった。かなり警戒するべき形で接触したが(なにしろ味方のキュウべえが攻撃を加えられている)、戦闘は避けつつ、段階を踏んで相互理解を求めた。地味なイベントなのだが、この件について巴は、本当にベストを尽くしている。敵も同然の、全く意図を説明しない暁美に対して、グリーフシードを譲っている。話して通用しない相手に、それでも友好を示そうとする努力を感じられる。
字面で示すことはないが、ビジョンがあり計画性の高い人物と言ってよいだろう。天涯孤独の身となり、一般人でなくなったにもかかわらず、腐らずにしっかりと自活できていた。 Perceiving 代表の佐倉は住所不定無職で食うものにも困っており、何よりその生活をさほど問題と感じていなかった節がある。
おわりに
ENFJ である。やはり ESFJ と比べると柔軟さ・深度がある、といった感じだ。熱的で後輩に対して責任感を持ち、頼りになる。表面に出さないが、繊細で、孤独に苦しみ、愛情に飢えていた。貴重な Judger で先に書いた美樹、佐倉と比べると大分しっかりしている。
ところで10話で狂乱した巴だが、3話の先の時系列で生存していたとしたら、やはり狂乱することがあっただろうか。個人的願望でもあるのだが、それはなかったと思われる。鹿目と出会い、真に自分を支えてくれる存在だと確信した上で、その鹿目の希望を無責任にへし折るようなことは、巴に限っては絶対に考えられない。巴狂乱のシナリオでは恐らく鹿目とのイベントが無かったのだろう。暁美の影響で魔法少女に成ることへのブレーキが掛かっており、その分鹿目がじっくり考えた結果、巴の弱さを知るイベントへ行き着いたのだろう。
巴のセリフはやはりこれだ。以下、巴と鹿目。
「憧れるほどのものじゃないわよ、わたし」
「無理してカッコつけてるだけで、怖くてもつらくても、誰にも相談できないし。一人ぼっちで泣いてばかり。良いものじゃないわよ、魔法少女なんて」「……マミさんはもう一人ぼっちなんかじゃないです」「そうね、そうなんだよね」
「本当に、これから私と一緒に戦ってくれるの?そばに居てくれるの?」「はい。私なんかで良かったら」 ほとんど ENFJ を表しているセリフだ。そりゃあ、鹿目のあの長話を聞いたら決壊するだろう。いっぱいいっぱいでなお、鹿目の愛をまっすぐに受け止めることを躊躇っている巴は、本当に見ていられないと言うか。 ENFJ は脆さが出ないと面白くない。
ところで差し替えられてしまった、もう何も怖くないのポーズだが、強烈にドライブがかかり、自己陶酔する ENFJ の極みみたいな感じで、非常に巴らしいと思うのでちょっと残念。
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