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ESTP、佐倉杏子

 【09//2018】

はじめに


まどマギ_佐倉杏子_ESTP

 この記事では魔法少女まどか☆マギカの登場人物である、佐倉杏子について、 MBTI による分類を考察する。フランクでカラッとした人物である。状況に合わせる柔軟性が有るが、一方でプロ意識の高さや義侠心や情け深さのようなものが垣間見え、ただビジネスライクでドライな人物ではない。喧嘩っ早い所や面倒な問答を好かないタイプであり、これらの点から ESTP と判断した。言ってしまえば、美樹の成長した姿と言えなくもなく、同時に良かれ悪かれ、青臭い理想を捨てきった姿とも言える。


まどマギ記事リンク
ESTP、美樹さやか
ESTP、佐倉杏子
ENFJ、巴マミ
ISTP、暁美ほむら, 旧版
INFP、鹿目まどか
INTJ、インキュベーター
魔法少女まどか☆マギカの振り返り





ESTP の Functional Stuck


Dominant: Extraverted Sensing (Se)
Auxiliary: Introverted Thinking (Ti)
Tertiary: Extraverted Feeling (Fe)
Inferior: Introverted Intuition (Ni)



E と I


 積極的に他人と関わる傾向が強い。個人プレーヤーなところはあるのだが、他人と接触しないと面白くない、という印象を受ける。そもそも Introverted とは到底考えにくい人物だが、言葉で示すならこういった理由だろうか。

 美樹と比べると、わかりやすく Se が強い。元々、見滝原に来たのも新しいゲームをプレイしたいとか、そういった好奇心でやってきたように見える。あるいは野次馬根性か。インキュベーターも佐倉が来たことを意外に思っていたようで、恐らくは仕事が増えるのを嫌がると考えていたのではなかろうか。

 実際、見滝原が絶好の縄張りで有ることを理解すると、他の魔法少女が居ようが居まいが、ここで魔女を狩る以外に有り得ないといった風であった。さらに言えば、魔法少女と闘うこともむしろ面白いと考えている節が、明らかにある。なんというか、血湧き肉躍る何かを追い求める Se そのもので、退屈が大嫌いというのがよく分かる。



N と S


 動的な好奇心という事で言えば Ne も同様ではあるのだが、佐倉はまあストレートな部分が多く、考えるより行動というのがわかりやすい。暁美が、珍しく自発的に、ゲームセンターで接触し、美樹に干渉しないよう言質を取ったのにも関わらず、わざわざ美樹にちょっかいを出して戦闘するなどしている。

 面白いことに、暁美が約束を違えたことを指摘すると、若干バツが悪そうに言い訳し、結局譲っている。つまり佐倉もちゃんと約束を約束として認識していたはずなのだ。元から傲慢に約束なんてどうでもいいもの扱いしていたわけではない。ただ、美樹にちょっかい出したらやはり面白くなって遊んでしまったというような、そういった感じがある。その遊びなのだが、ストレートに美樹との戦闘であり、即物的で本当にどうでもいいことである。いわばスポーツに熱を上げるようなもので、 Se らしいと考えている。

 また、実際の行動に重きを置く一方で(魔女狩りも美樹との戦闘も楽しんでいる)、意外に周囲の謎に対する好奇心は感じられない。暁美ほむらの正体については多少気にしているが、一応話の通じるやつだとわかると、ポッキーで仲間認定して終了である。暁美の家に来た際も、再び気にしているのだが、そこまで重要とは考えていないらしい。インキュベーターが割り込み、美樹の運命も含めて謎が増えるが、結局何も説明しない暁美の言葉を飲み込んで、美樹のところへ向かうことにした。

 一般的には ENTP 、あるいは ENFP ですら、暁美ほむらの正体、インキュベーターの目的、ソウルジェムとは何か、いずれにしたって、美樹との戦闘などよりよっぽど興味が湧きそうな謎である。これは控えめな言い方で、それこそ ENTP ならヨダレを垂らすほど待ち望んだ、考察のチャンスではなかろうか。暁美、インキュベーターに対して根掘り葉掘り聞き込みそうな、そんな想像はできる。



T と F


 登場人物の中では感情的に安定しているということもあり、 Feeler であるとは、そうそう考えられることもないのではないか。特に繊細な Fi とは遠く、 ESFP とは読み取りようがない。 浮ついた雰囲気から重視されないことだが、 ESFP は Fi user らしく軋轢などに敏感なところが有る。佐倉は、言ってしまえば男性的である。

 最も、 Ti は Introverted Function であるので、例によって目立たない。外部に考えを示す Te と違って、基本的に自分の内部の考え・規律である。外に意見を示す際には、 Fe で伝えていく格好になり、そのため冷徹な Thinker というよりも陽気で他人を楽しませる、 Thinker らしからぬ人物となりやすい。佐倉についてはだいたい合致するのではないだろうか。

 また、仲間である ISTP と比べても Se が先にくるため、どちらかと言えば自分の Ti をガンガン貫く傾向が小さい。よって比較的に余裕があるタイプ(外面に比べると中身がシリアスなのだが。また、他のDominant が Perceiving であるタイプ(EP, IJ)も同様)。5人の中では最も神経質でない人物だろう。同じ ESTP と判断した美樹は、この点でもバランスが崩れていた。

 カラカラとしており、血の気の多い美樹とのやり取りも落ち着いていて、むしろ真面目さの不足を疑われる。ただ、7話での美樹との話から、元々は父親のために魔法少女になり、父親と共に表と裏から世界を救おうと意気込むなど、善良な熱血漢という部分を持ち合わせていた事がわかる。その後の顛末から、所詮正義に燃えたところで無意味であることを学び、等身大に魔法少女として生きることにした。凄惨な家族の死にも絶望せず、上手く受け流し、新しい人生を歩めたことこそ、 Thinker (感情に飲まれない)である確証、 ESTP(現実的で深く考えない、切り替える) である確証かもしれない。少々恣意的かもしれないが、まあまとまりは良い。

 家族の死後、それこそ自由に好き勝手に生き、楽しそうなことに首を突っ込むことを繰り返していたような佐倉だが、自力でたどり着いた、真摯で嘘偽りのない考えを誰に見せるでもなく持っている。9話で魔女と闘う寸前に、鹿目に示している。友達を死なせてしまったことに罪悪感をもつ鹿目だが、それに対して佐倉は、何不自由なく幸せに生きていられる鹿目が、魔法少女に成るなどというのは、お遊びだと一喝する。

 当然、鹿目の気持ちを案じたセリフではなく、佐倉が普段から考えていることであろう。プロ意識や責任感とも言えるのだが、なんだろうか、むしろ私には生粋の現実主義者が、ただ魔法少女のあるべき姿を睨んだような考え方に思える。そういう意味では、そういった視点(現実を直視し、感情を排除する)に最も欠けている鹿目に、必須の教えだったようにも思える。

 美樹が魔女となった後には、美樹の青臭い正義感にも理解を示し、美樹を救うというバカな行いに命を賭けた。事態が限界を迎えた時、暁美に鹿目を託した際のセリフが以下だ。

「ただ一つだけ、守りたいものを守り通せばいい。なんだかな、あたしだって今までずっとそうしてきたはずだったのに……」

 言ってしまえば、佐倉はこの時ですら、守りたいものを守ろうとしているように見える。それは自分の命ではなくて、自分の矜持というようなものか。魔法少女という家畜に残された唯一の自由が死に場所を選べるということなら、友達と一緒にかすかな幸福を掴んで死んでやるという反骨か。

 Thinker だが Fe は使える。最も熱のこもったシーンと言うよりは、普段のふざけた、やや人を馬鹿にしたような、それでいて楽しんでいるセリフから、それを感じ取れる。なんにしても場のウォーミングアップをするようなテンションで話すことが多く、明るい。対象的なのは鹿目で、 Feeler だが Fi user なので自力で場を暖めるセンスはない。抽象的な表現をする割に、一言一言真剣で重量のある話し方をしがちである。



J と P


 迷うことはまず無いだろう。思いつくままに行動する人物で、先のことを思案することがなく、動的だ。6話ではポッキーよこして、暁美としては珍しくスマートに事が運んだと思ったら、数時間後に素知らぬ顔で約束を破っている。とにかく「予定通りに」何かするという事が苦手らしい。

 その後、やはり暁美が自宅で佐倉に協力を打診し、何だかんだで結束するつもりであったろう、鹿目にもそのようなことを話している。こういった小ざっぱりした所に関して言えば、暁美にとって付き合いやすい相手なのだが、結局ワルプルギスの夜を待たずして命をなげうってしまった。

 事が事なので無責任とは言わないが、集団の計画の一部として勘定するには困った奴と言うか、まあ、 ESP だから仕方がないか、という感想にはなる。非情になれば、利口なやつだったのにマヌケな死に方をしやがって、とも言えるが流石に暴言である。

 魔法少女5人の中では随一の Perceiver である。 Function Stuck のルールを理解すればわかることだが、 EP と IP また EJ と IJ では質として変わってくる。 ESTP と ISTP だと Se と Ti の順序が逆で、実は ISTP は Judging Function である Ti が最優先、つまりは内部的には Judger 、外部的には Perceiver となる。

 上記を踏まえると、 ESTP は外から見ても内から見ても Perceiver ということになる。佐倉は常に先のことを決めず、状況に合わせて行動していた。鹿目とのやり取りを見ると、本音は真面目なところが有るが、佐倉にとってそれは、頑強な行動指針となるものではなかったと言える。

 同じく ESTP の美樹はその点でバランスを失い、自分のルールで自分を縛り付けており、元々持っていた余裕やアバウトさが無かった。もっと長生きしていれば、佐倉のようにヌケヌケと魔法少女を続け、正義のヒーローとして活躍できたかもしれない。他の3人は佐倉に比べれば遥かにガチッとしているだろう。厳しい状況をゆるゆると受け流す余裕を、佐倉だけが持っていた。



おわりに


 ESTP であり、美樹と比較しても自分を見失わなかった分だけ、 ESTP らしかった。魔女と闘うこと、魔法少女と闘うことをゲームのように楽しむ感性があり、それは究極悪いことではなかった。イージーゴーイングな人物で、 Se かつ Thinker らしくまどろっこしい話をせず、うま味を示せば面倒なことを考えずに手を貸す気安さもあった。最も、計画の範疇に組み込んで役に立つ人物でもなかったのだが。

 あっさりとしていて粘着がないことは、美樹との敵対関係を自然と止めたことで保証されている。この点は美樹もある程度同様で、むしろ STP は一度衝突しないと、お互いのことを理解し合えないのではないかとすら思う。少年漫画である。こういった点でも美樹の感覚を、正面から受け止められたのは鹿目ではなく佐倉であった。

 佐倉のセリフはこれしかない。 ESTP らしくあまり言葉で何かを伝える人ではないが、このセリフは素晴らしく洗練されている。他人が命がけで闘う中、何もしない自分は卑怯なのかと、鹿目は佐倉に尋ねる。佐倉が言葉を返す。

「なめんなよ。この仕事はね、誰にだって務まるもんじゃない。毎日上手いもん食って、幸せ家族に囲まれて、そんな何不自由ない暮らししてる奴がさ、ただの気まぐれで魔法少女になろうとするんなら、そんなのあたしが許さない」
「命を危険に晒すってのはな、そうするしか他に仕方ない奴だけがやることさ。そうじゃないやつが首を突っ込むのは、ただのお遊びだ。おふざけだ」
「アンタだっていつかは、否が応でも命がけで戦わなきゃならない時が来るかもしれない。その時になって考えれば良いんだよ」


 むしろ INFJ の様な、核心をついた、厳しく、それ以上に優しいセリフだ。それこそ佐倉が、 ESTP の最後の機能である、 Ni にまでたどり着いたことを感じさせる。最も常にこのレベルのコンセントレーションに達しているわけでもなく、美樹が魔女になる寸前の、肝心な時のセリフはこれである。

 さも面倒臭そうに
「あんたさぁ、いつまで強情はってるわけー?」

こういうやつである。
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Category: 魔法少女まどか☆マギカ

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