2021/3/13のOW大会「コグフェス」にて、頻繁に名前の出ていたラッシュ構成(構成:コンプとも呼ばれる。相乗効果を狙ったヒーローの組み合わせ)について説明してみようと思います。この記事の注意点ですが、説明の都合上、ラッシュの重要ポイントを無視したり、誇張して説明したりしてます。
ラッシュとは次世代「Goats」
ここから本題になりますが、さっそく「そもそもGoatsって何だよ?」と思われる方も多いと思いますので説明します。その昔、OWのピックルールが緩かった時代に3タンク構成(注意:今は通用しない内容)というのが流行りました。3タンク構成を洗練したのがGoatsだと思ってください。
さてラッシュ構成のコンセプトですが、Goatsと同じく、圧倒的速度と圧倒的生存能力で相手を踏み潰すスタイルになります。3タンクは廃止されたのにどうやってGoatsライクな構成を実現しているのか?その点について説明するのがこの記事の目的です。
キーパーツは「ルシオ」のみ
ラッシュ構成は非常に自由度が高いです。絶対にピックしないといけないヒーローはルシオのみです。なぜルシオなのかというと、唯一無二のスピードブースト(以下スピブ)を持っているからです。スピブを使って、味方全員で敵をフォーカスします。
▶ どうやって戦うか
スピブで距離を詰めたあとにすることは2つです。
①擬似的な孤立を作り上げる
高速で近づく→殴る、だけではありません(これでも十分強いですが・・・)。タンク陣による瞬間的なエリアづくり、メイなどの分断スキルにより、孤立した敵を一瞬だけ作り上げます。この瞬間に火力を集中させることに意味があります。
②各自、死なないように身を守る。
当然敵も反撃してきます。しかし、後述しますが、ラッシュ構成で採用されるヒーローは自衛力が高いです。攻めに重きをおいたチームプレーであり、チームワークで守るというプレーはありません。守るという点で言えるのは「有るとすればスタンドプレーから生じる、生存のためのチームワークだけ」です。具体的な動きを以下に掲載します。この動きは一瞬しか成立しませんが、龍神剣で何度斬りつけられても生き残るメイを確認できます。
ラッシュ構成とダイブ構成の違い
▶ ベタ足ヒーローをダイブ的に使える
一般的なダイブ構成はフランカーを使いますが、ラッシュ構成のヒーロー達は移動スキルを持たないベタ足ヒーローが多く使われます。フランカーヒーローは移動スキルを持っているので攻めるのは得意ですが、守る時は移動スキルを活かせなかったりします。つまり、ダイブ構成は守るのが難しいときがあります。逆に、ベタ足ヒーローは移動スキル以外が割り当てられているのでラッシュ構成は守るのも得意です。つまり、ラッシュ構成は急に距離をつめられるのに+α(動きを止める、超高火力)を加えることが可能だと言うことです。
▶ 人数差不利でもワンチャンス
スピブを使うので全員で敵1人をフォーカスします。タンク同士の牽制、ヒールのための一時休戦もなく、オールインです。ルシオ以外のキーパーツが無いのでメンバーが欠けても大きな影響を与えません。残った5人、サポートを含めた全員が、攻撃体制の一団となることで敵を溶かす、つまり人数差を取り戻す、ことも無理ではありません。
ラッシュ構成における他ヒーローの役目
サポート例:モイラ
来ました、モイラの時代です。ラッシュ構成は一団で攻めます。みんながひと塊になっています。範囲回復がめちゃめちゃ役立ちます。それだけではありません。モイラも敵に突っ込むので、敵にダメージを与えるチャンスが存分にあります。さらに!敵に突っ込むリスクを負いながら生き延びられるサポート!これはモイラの得意プレイです。ただし、当然のことながら、チームの生命線なのでフェードが落ちている時は安全プレイが求められます。
タンク例:ラインハルト、D.va
ほぼほぼラインハルト必須です。ラインハルトはチーム生存能力屋台骨です。よく見るプレイとしては、加速したハルト盾で相手を押しつぶしていきます。なんならフォーカス敵を通り越して、残りの敵5体とフォーカス敵1体を分断します。
相方に選ばれやすいのはD.va。なぜなら、短時間の戦いであればディフェンスマトリクスのダメージ吸収能力は超一流だからです。さらに、ラッシュ構成が苦手な高所もケアできますし、バーストダメージも出せます。しかし、これはD.vaに「なんでも屋になる」ことを求めることと同じなので高いプレイスキルが必要になります。
DPS例:メイ、リーパー
メイはラッシュ構成に最適です。相手を孤立させるアイスウォール。無敵の生存能力クリオ。孤立した敵を無力化する通常攻撃。すべてがラッシュ構成に噛み合っています。
リーパーも同じく良いチョイスです。近距離のバースト性能、自己回復、メイと同じく危機からの脱出スキルを持っています。
相手を無力化するDPSと、相手を一瞬で溶かすDPSのコンビネーション、これが採用理由です。
ラッシュ構成の強みと弱み
▶ 強み
ラッシュ構成はスピードにオリジナリティがあります。当然強みもスピードです。
レッキング・ボールやホッグを採用した構成は、それら遊撃タンクがいろんなところから現れます(スプリット構成)。敵がスプリット構成であるなら、相手から人数差を作ってくれます。スピブを利用して遊撃タンクがいない方の敵陣に襲いかかりましょう。
また、敵が足の遅い構成を採用している場合も有利に戦いを進められます。足が遅い構成、つまり定番であるハル-ザリ構成です。分断が多少下手でも構いません。ハルト、ザリアを分断するだけでも瞬間で敵を沈黙することができるでしょう。他のレシピとしては、ハルト-ザリアを通り過ぎてサポートを囲い込むのもいいでしょう。
▶ 弱み
スピードで勝負を仕掛ける以上、戦いが長引くと不利になります。最大の弱点はULTです。一団で敵をフォーカスしても、それをひっくり返す「心頭滅却」。そもそも一団になるプレーを刈り取る、サージ、ドラゴンなどなど、への対応が苦手です。お気づきの方もいるかも知れませんが、ラッシュ構成のコアはスキルです。スキルがあるから、ゴリゴリ押しても生き延びることができるのです。当然スピブもスキルです。ということはスキルクールダウン中は著しく弱くなってしまします。他にもヒール面に不安が残ります。ルシオをピックする以上デカイヒールは期待できません。
次に苦手なのは高所です。スピブで近づけるのは平面までです。高いところへのラッシュは工夫が必要です。
● おすすめマップ
ラッシュ構成は高所が苦手なのでマップを選ぶことも重要です。最適なのはコントロールマップ(イリオスのようなエリアを奪い合うマップ)です。初あたり合いの時は敵が待ち構えているわけもなく、マップによる不利が発生しません。そしてこの「初あたり」というのが重要なのです。なぜって?ラッシュ構成はULTが苦手だからです。
次におすすめなのはペイロード(守側)です。ペイロードマップは高所が多いからラッシュ構成に不向きに思いますね?違うんです。高所が苦手なんだったら、味方全員で高所に上がって待ち構えてやればいんです。それがペイロード(守側)です。
これら普段は距離をじっくり詰めていくタイプのヒーローたちが、ルシオに後押しされて一瞬で目の前に現れるのがラッシュ構成です。イメージしてみてください。高速で接近してくるメイとリーパー。生き延びれる自信は無いですね。しかも生存能力が高いのでタチが悪い。ULTで押し返そうにも、文字通りスピードバトルなのでULTをためる時間もなく踏み倒していく。野良マッチでも流行るきざしがあるので、これを機会に知っておきましょう!
実際ラッシュ構成は流行ってるの?
NAサーバーではラッシュ構成がさかんに取り入れられているみたいですが、アジア・韓国サーバーではまだ使われていないみたいです。アジアはラッシュの真価を見定めているのでしょうか?とはいえ、いずれブームが到来するかもしれませんので押さえておいて損ないです。大会や配信を見る時も、戦術を知っておくことでより楽しめるのではないでしょうか?
最後に:ラッシュ構成は戦術追加が魅力的
本物のラッシュ構成をお見せするために「コグフェス」の動画を下に掲載します。特に初戦(35分~)の「#ふるぱうぉっち」(残念ながら敗退)さんがお手本のようでした。
ちなみに、ですが、ラッシュコンプのいいところは、コンセプトにさらに戦略を重ねられるところです。上で説明したのはあくまで1例で、より簡単なラッシュ構成や、カウンターULTにカウンターする戦略を重ねるピックも存在します。本記事に人気が出たら追加記事を書こうと思います。
また、rush構成以外の構成ネタとして10個ぐらい記事ネタあります(笑)。こちらについても、ご要望があれば書いてみようと思います。