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地震が起きると、地盤がやわらかい場所では揺れが増幅され、液状化の可能性も大きい。四国で地盤がやわらかい場所とは、海沿いに広がって人口が集中している平野部だ。特に太平洋側は津波と液状化という複合災害もありうる。液状化で道路が寸断されて津波から逃げられない事態にも備える対策が急務だ。
中央構造線断層帯沿いに吉野川が流れる徳島県。緩やかな流れや過去の氾濫(はんらん)によって下流や川沿いに粒子の小さい砂が多く堆積(たいせき)している。大きな揺れや液状化に対する警戒が必要だ。阪神大震災では鳴門市の畑などで液状化が起きた。
大きな河川がない香川県は北の海岸平野、中央の丘陵地、南の山岳地に3区分でき、北に行くほど揺れやすい。特に高松市東部を流れる新川沿いが緩い。16世紀末に沿岸部に建てられた高松城も、築城時に地盤改良で苦労したという記録が残る。高松空港は四国唯一の内陸空港で地盤は強く、津波の不安もない。南海トラフの巨大地震時には救援の拠点となりうる。
土佐湾に面する高知平野は、仁淀川と境川・物部川などの川沿いの盆地が集まってできた平野で、砂や泥が厚く堆積している。南海トラフによる巨大地震では、揺れやすいうえに地盤沈下、津波などの複合災害に注意したい。
愛媛県は、東西を走る中央構造線断層帯より北側に平野が多く、海岸線沿いは軟弱地盤が多い。中央構造線より南側は硬い岩盤でできた四国山地なので、地震の揺れが小さい。
中央を占める四国山地は地盤が固く、揺れの増幅はほとんどない。ただし元々川だったところや谷、水田に盛り土をした場所は地盤が緩い。造成地を買う際には、元々どんな場所だったか確認したい。(柳谷政人)