一宮の日記

モノローグ

夕飯

みなさん定期テストお疲れ様です。わたしは神経痛で死にかけです。

 

ぼくはね、最近気がついたんだ、ぼくの中にはたくさんのぼくが存在して、ひとりひとり個性を持ってるんだ。ぼくには好きな人と守りたいものがあって、同時にそれを壊したくなるんだ、なあぼくは間違っているの?

 

ぼくはロングというよりショートカットでタレ目な女の子がすきなんだ。自分が女々しいから相手には男らしさがほしいなあ、そんな人いないと思うでしょ?いるんだよね。ぼくはその子のことを3年前からずっとネットストーキングしてるんだ、彼氏が2回変わって今は独り身だよ。手は出さないのかって?出すわけないに決まってるでしょ、いや出そうとしてたけど。ぼくなんかに彼女が釣り合わない、とか、そもそも話したことない、とかもあるけどさあ、その子のことは意外と知ってるつもりだよ。学校は副都心線西早稲田駅の近くの偏差値が72ぐらいの高校に通っていて部活はバドミントン部で朝は遅刻ギリギリに登校していて、学校にお弁当は持って行っていなくて、駅のニューデイズでホットでも美味しいお〜いお茶とランチパックを買って行っているんだ。学校では敵を作らずに浅く広く人間関係を築くタイプだけど親友が1人いて、その子はロングでハーフアップがよく似合うキレイ系なんだよね、イメージでいうと北川景子的な?

 

そこまで知ってて連絡先交換しないのはなんでかって?ぼくだって交換しようと思っていたんだけどさあ、ぼくがぼくの知らないぼくに出会ってしまったからやめたんだよね。ぼくの知らないぼくは、その子のことを魚だと思っているみたいで、その子はカジキマグロなんだって。ぼくのしらないぼくを、「彼」と呼ぶことにするね、彼はね、「その子を塩胡椒で味付けして食べたい」って毎日言ってるんだ。

 

ぼくと彼女が関わると彼女は魚になってしまうかもしれないし、命が危ないから関わらないっていうわけ、でもさ、やっぱりぼくその子が欲しくてさ、話しかけちゃったんだよね。

 

ぼくのこと気持ち悪いとおもったでしょ、でもぼくは身体185㎝あって1週間に2回ぐらい女の子に告白されるような見た目だよ、ほら、これでブサイクだったら気持ち悪い人になるけどイケメンなら話しかけられてラッキー!みたいになるじゃん、女ってアホだよなあ、いや男もアホだし両方ともアホじゃない人がいるのは知ってるけどさ。

 

連絡先、交換したんだ。LINE?いやメールだよ。LINEにしたら結びつきが弱くなるっていうか、わかるかな?ぼくはさ、LINEとかTwitterとかInstagramとか、そういうもので繋がってるような結びつきはいらなくてさ、まあ水素結合みたいなのが欲しかったんだよね。あ、その子と今もメールしてるよ、もうすぐ告白みたいな流れだなあ、イケメンでよかったな。

 

そんな時に彼があらわれるんだよね、彼、「関わってみたらカジキマグロっていうより秋刀魚じゃん、つまんねえの」とか言ってるんだよね、だから、「まあそりゃあその子は高貴で白百合のような女の子であったわけではないんだけどさ、タピオカを飲んだり、スタバに行ったりすることに幸せを感じてるような女の子でもいいじゃん別に、ぼくはかわいいと思うよ」って言い返したんだよ。そしたら彼と喧嘩しちゃってさあ、彼のこと殺しちゃったんだよね

 

殺してからわかったんだけどさあ、彼はぼくのなかの「理性」の担当だったみたいでさあ、「理性」を失ったぼくは、その子のことを食べちゃったんだよね、あ、もちろん味付けは塩胡椒でシンプルにしたよ、その子の味を生かしたいからね。どんな味だったかって?「彼」の予想通りだよ、カジキマグロっていうよりはサンマだったかなあ、秋刀魚の旬は一瞬だけど、ぼくの中にその子は一生残り続けるんだ。ぼくの胃の中にはいったその子はやがて、ぼくの身体を構成するようになってさ、ぼくとその子は一生をともにするんだ、素敵でしょ。

 

あ、もうそろそろ夕飯だ、帰らなきゃ。今日の夕飯?秋刀魚に決まってるでしょ、毎日それで飽きないのかって?飽きないよ、一生愛し続ける。