2017年7月26日 19:35
グリー株式会社、株式会社サイバーエージェント、株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)、フェイスブックジャパン株式会社、株式会社ミクシィ、LINE株式会社の6社は26日、「青少年ネット利用環境整備協議会」を発足したと発表した。コミュニティサイトに起因する児童被害を防止するための対策事例や運用ノウハウなどを共有し、青少年が安心・安全に利用できるインターネット環境を整備するのが狙いだ。
いわゆる“出会い系サイト”の規制対象外となるなコミュニティサイト/アプリなどでのやり取りに起因する事犯(青少年保護育成条例違反、児童ポルノ、児童買春など)の被害児童数は増加傾向にあり、2016年の1年間では1736人。警察庁が統計を取り始めた2008年以来、最悪の状況となっている。
こうした状況を受け、国内のコミュニティサービス事業者が被害防止に向けた活動に共同で取り組まねばならない時期に来たとして、警察庁の協力も求め、協議会の発足に至った。青少年が使うサービスを運営している事業者に対し、広く参加を呼び掛けていくとしており、幹事会社である上記6社のほか、株式会社イグニス、ココネ株式会社、株式会社ナナメウエ、モイ株式会社、株式会社ユードー、株式会社ITI、株式会社studio C、Social Town、Maleoも参加する。
また、協議会の代表を東京大学大学院法学政治学研究科教授の宍戸常寿氏が務めるほか、静岡大学教育学部准教授の塩田真吾氏、多摩大学情報社会学研究所客員准教授の小松正氏ら、有識者も招へい。実際にどういった状況で児童が被害に遭っているのか、調査・研究や対策の有効性についての検証なども行っていく。
もちろん、これまで各事業者において対策が進められて来なかったわけではない。協議会には、現在進行形で被害が多発しているサービスの運営会社だけでなく、過去に被害が多発していたサービスの運営会社の双方が参加。グリーやDeNA、ミクシィなど、かつて児童被害が問題となっていたサービスでは、ユーザーの年齢による機能制限やサイト内メッセージの監視などを強化し、現在では被害発生をほぼ終息できているという。協議会では、こうした過去の取り組みの蓄積も、LINEをはじめとした新興サービスの運営会社に継承していきたいという。
一方で、グリーやDeNA、ミクシィのころとは大きく異なる部分もある。それらのSNSでは、利用規約に基づいてユーザー間のサイト内メールなどを含め、運営事業者が監視体制をとることが可能だったが、特にLINEなどにおいては、ユーザー間でやり取りされる個々のメッセージまで運営会社側ではチェックできない。
このように、今後、運営会社からは把握できないところでの被害防止に向けた対策も必要になっていくことを考慮すると、最も効果的な取り組みはユーザーに対する啓発だと、LINE公共政策室室長の江口清貴氏は指摘する。協議会では、青少年や保護者、学校関係者への教育・啓発活動も展開していく。
なお、警察庁が4月に発表した統計によると、被害児童数が最も多いサービスは「Twitter」であり、2016年の被害児童のほぼ4人に1人当たる446人が同サービスでの被害となっている。2015年の226人から倍増した。以下は「ぎゃるる」が136人、「LINE」が124人、「ひま部」が77人、「友達作りTalk」が73人、その他が880人。
警察庁生活安全局情報技術犯罪対策課長の今村剛氏によると、被害が多いこららのサービスのうち、Twitter JAPANに対しても協議会への参加を打診したが、今回の発足発表までに間に合わなかったものの、参加に前向きだという。LINE(LINE株式会社)とひま部(株式会社ナナメウエ)については、前述の通り参加を表明済み。一方、ぎゃるるの運営企業は非参加、友達作りTalkについても運営企業が海外ということで非参加となっている。