以前、金属について学んでいる最中だとお話しましたが、勉強すればするほど「???」がたくさん出てきてしまいます…。
特に神陽金属工業のご担当の方々、いつもわかりやすく疑問に答えてくださり、ありがとうございます!
金属の素晴らしさを私のような門外漢の人たちにもわかってもらいたい!ということで、折を見て私も「金属」について学んだことを書いて行けたらと思っています。
特にご縁があってお付き合いさせていただくことになった「白銅」さん(よく夢に見ます)。
この愛しの「白銅」さんについてもっと知りたいと思い、調べていたときに、何度も出会ったこの文章:「ニッケルはドイツ語の『悪魔の銅』に由来」…。
どうして「Kupfernickel」が「悪魔の銅」??
どのように考えてみても納得がいきません。
考え始めたら気になって眠れず、この週末、調べました。
ちゃんと私の大型の辞書コレクション、羅仏、古希仏、仏仏、獨仏、獨獨辞典などなどを引っ張りだしてきて、きちんと調べました。
金属のご専門の方にラテン語もご専門の方はあまりいらっしゃらないと思います。
というよりも、ここまでラテン語を頑張った社会人は日本にあまりいないと思います。
それなら私がやらなくては。
(いつも長いですが)長文なので、お時間のある方だけどうぞ。
まず、「Kupfernickel」の前半「Kupfer」が「銅」の意です。
この語の語源は実は、地中海の「キプロス島(Cyprus)」です。
「キプロス島(Cyprus)」の格変化「キプロスの(Cyprius, a, um)」の中性形「cyprium」が「赤い銅」を意味する「cuprum」になりました。
(ここまでがラテン語でした。)
このラテン語「cuprum」が「銅」を意味するスペイン語の「cobre」、ドイツ語の「Kupfer」、英語の「copper」、フランス語の「cuivre」になりました。
ちなみに、ラテン語には「キプロスの銅」の意の「Cyprium aes」という言葉もあります。「aes」というのが「銅」の意味で、後の時代に「カドミア(亜鉛あか)」と名付けられることになる鉱石が混ざった銅のことを「キプロスの銅」と呼んでいました。
そして本題、「Nickel」とは何ぞや?ということです。
現代のドイツ語のことを考えてみた時、「Nickel」が語源になっていそうな「悪魔」を意味するドイツ語の単語が思いつきませんでした。
そこでこちらも調べました。
この単語はまず、1765年にスウェーデン語で使われました。
由来はやはり、ドイツ語の「Kupfernickel」です。
上記の通り、前半の「Kupfer」は「キプロス島」からきた「銅」の意でした。
そして「Nickel」は実は、名前「ニコラウス(Nicolaus)」の短縮形でした。
ではこの「ニッケル」さんまたは「ニコラウス」さんは誰?
といいますと、炭鉱に住む「いたずら好きの妖精」さんまたは「小鬼」さんのことでした。
昔のドイツの炭鉱労働者さんたちが、炭鉱に住む「いたずら好きの妖精」さんに「ニッケル」ちゃんとあだ名をつけたそうです。
(たぶん「ニッケル」ちゃんのせいでニッケル鉱石での銅の精錬に失敗して…という逸話は専門の方にお譲りします。)
「悪魔の銅」といわれると、「おどろおどろしい」感じというか、確実に「悪」そうなイメージが先行してしまいます。
でも実は、「悪魔」というより「小悪魔」でした。
確かに「ニッケル」には「アレルギー」関連の問題等もあります。
でも「ニッケル」は今や、ステンレス関連で世界中で需要が増大しています。
(2017年には生産量200万トンを超えたそうです。)
そもそも「ニッケル」の用途の70%はステンレス鋼(Fe-Ni-Cr合金)ということはつまり、ステンレスの量がものすごいということですよね…?
最後になりましたが、「ニッケル」ちゃんもそこまで悪い子じゃないと思うんですよ…強いし優秀だし。
また様々な金属と「お友達」になりたいなということで、今後また別の金属の由来についても調べてみたいと思います。
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