【3月19日 AFP】スペイン議会は18日、安楽死と自殺ほう助を合法化する法案を可決した。同国は、末期患者や重傷患者が苦痛を終わらせるために死を選ぶことを認める数少ない国の一つとなった。

 法案はペドロ・サンチェス(Pedro Sanchez)政権の優先事項だった。背景には、アカデミー賞(Academy Awards)外国語映画賞を受賞した映画『海を飛ぶ夢(The Sea Inside)』(2004年)で描かれたラモン・サンペドロ(Ramon Sampedro)さんをはじめとする当事者の実情が話題を呼び、世論の圧力が高まったことがある。

 下院(定数350)は法案を賛成202、反対141、棄権2で可決。スペインは欧州でオランダ、ベルギー、ルクセンブルクに次ぎ4番目に安楽死と自殺ほう助を認める国となった。ポルトガル議会は今年1月、同様の法案を可決したが、今週になって憲法裁により差し止め命令が出されていた。

 サンチェス首相は採決の直後ツイッター(Twitter)に「きょう、われわれはより人道的で公正かつ自由な国になった。社会が広く要求した安楽死法がやっと現実になった」と投稿した。新法では、医療従事者が苦痛緩和のため意図的に患者の命を絶つ安楽死と、患者自身がその措置を実行する自殺ほう助の両方が認められる。

 サンペドロさんの友人で、サンペドロさんの自殺ほう助で逮捕されたものの証拠不十分で不起訴となったラモナ・マネイロ(Ramona Maneiro)さんはAFPに、法案可決は「これにより恩恵を受ける人々にとって」、そして「ラモンにとって」の勝利だと歓迎した。(c)AFP/Diego URDANETA