感染力が強いとされる変異ウイルスが全国に広がる中、手軽にPCR検査ができる「検査キット」が注目されています。

どのように活用すればいいのでしょうか。

福岡市内で2月、あるデリバリーサービスが始まりました。

▼ディレクター

「はーい」

▼配達員

「こんにちは。商品になります」

届いたのは「PCR検査キット」です。

▼配達員

「10分ほど外でお待ちしておりますので」

▼ディレクター

「わかりました。準備してきます」

PCR検査を行う東京の会社が、全国5都市で始めたこのサービス。

ネットで予約すると、最短3時間で検査キットが届きます。

採取した唾液はその場で回収され、県内の検査センターへ。

検査結果は24時間以内にメールで通知されます。

▼ディレクター

「終わりました」

▼配達員

「では回収します」

▼ディレクター

「お願いします」

サービスを提供する会社はー。

◆東亜産業・深井昭匡 代表取締役

「(福岡などの)拠点に(自社の)検査センターがあるからデリバリーができる。外出することに不安を覚える方にご利用頂ければ」

今回は昼すぎに検査キットを提出し、約8時間後にメールで結果が届きました。

検体の唾液には、新型コロナに特徴的なRNA配列は「存在せず」「低リスク」と判定されました。

身近になったPCR検査。

このドラッグストアでは、店頭の一番目立つ場所に検査キットが…。

◆新生堂薬局ももち浜店・内田晴 店長

「すごく売れています。様々な方が買って行かれますが、特に多い層は、お年寄りの方」

キットの種類はさまざま、価格もかなり差があります。

◆新生堂薬局ももち浜店・内田晴 店長

「色々違いはあるが、1番は結果の内容に違いが・・・」

無症状者向けの検査キットは、大きく分けて2種類。

医療機関が検査と診断を行うか、検査機関などが検査だけを行うかで異なります。

医療機関が行うものは比較的高額ですが、医師が診断するので医療機関による「陰性証明書」を発行してもらえます。

一方、検査機関などが行うものは比較的安いですが、医師の診断がないため、あくまでも感染の恐れが高いか低いかを示すだけで、陰性証明書も発行されません。

企業の中には「とりあえずの安心」として、検査だけの手軽なキットを使うところもあります。

福岡市博多区の旅行会社です。

◆ラド観光福岡支店・大槻将利 支店長

「こちらになります」

◆ディレクター

「本当、ありました!」

◆ラド観光福岡支店・大槻将利 支店長

「社内の全員が分かるところに置いています」

この会社では感染が拡大した2021年1月、全てのスタッフにPCR検査の実施を決め、数千円の検査キットを50個ほど購入しました。

◆検査したスタッフ

「”感染リスクが低い”という結果が出たので安心した。なかなかPCR検査は自分で受けづらいので、安心できるのが一番」

価格の安さはもちろん、いち早く感染リスクの目安を知ることができるのが魅力と話します。

◆ラド観光福岡支店・大槻将利 支店長

「濃厚接触者と判断された職員がいたが、PCR検査を受けられたのは4日後だった。その間の社内の感染リスクを考えると、このキットで先に検査をさせてもらって事前に察知をしながら適切な処置ができる」

多種多様な検査キット、中にはー。

◆ディレクター

「こちらのPCR検査キットの説明書には『通常の検査では陽性の場合、結果は公的機関への届け出が義務となっていますが、当検査では陽性の場合でも保健所への届出は必要ありません』と書かれていますね」

陽性でも届け出は必要ない、とうたうキット。

検査結果を誰にも知られたくない人をターゲットにしているのでしょうか。

こうした状況に、専門家は警鐘を鳴らします。

◆久留米大学医学部・溝口充志教授

「やはり商売というか・・・、今、こういうときに火事場泥棒的なことは起こってこないと信じたいが、中には一切検査もせずに陰性証明証を出すとかそういうところもある可能性もある」

また、こうした検査キットで感染のリスクが低いという結果が出ても、決して感染対策を怠らないでほしいと釘を刺します。

◆久留米大学医学部・溝口充志教授

「PCR検査は”諸刃の剣”です。少なくとも10人に1人、ヘタをすれば10人中3人が偽陰性になる。もしもそれを理解せずに、PCR検査が陰性だから自分は感染していないと思ってしまうと、問題が起こってくる」