収穫した野菜を冷蔵庫に運ぶコバヤシファームの外国人労働者=8日午前、鹿沼市深津

 栃木労働局の13日までのまとめによると、2020年10月末時点の県内外国人労働者のうち、19年に制度が始まった新たな在留資格「特定技能」による労働者は19年の9人から153人に急増した。慢性的に人手不足の農業や建設業などで活用が広がるが、事業者からは「コロナで入国者が減り、人材確保が難しくなる」と懸念する声も出ている。

 特定技能の在留資格で働く県内の外国人労働者のうち、対象14業種で最多だったのは飲食料品製造業の64人。次いで農業36人、素形材産業17人、建設業9人などとなっている。同労働局は「制度が認知され、特定技能を活用して人手不足を補う動きが広がりつつある」と説明する。

 8日午前、鹿沼市深津のコバヤシファーム。外国人労働者たちが慣れた手つきで収穫したコマツナを冷蔵庫に運び込んでいた。ベトナム出身のバン・アイ・クンさん(34)は昨年2月、野菜栽培の技術を学ぶため来日した。「いつかベトナムでコマツナやホウレンソウを育てたい」と夢を描く。

 同社で働く外国人労働者15人のうち、6人が特定技能の資格を持つ。クンさんは11年から3年間、愛媛県のミカン農家で技能実習生として就労した。他の5人も同社や別の農家などで技能実習生として3年間就労した。

 特定技能での在留可能期間は最長5年。同社の小林哲哉(こばやしてつや)社長(43)は「長い目で人材育成を考えられる。能力の高い人が多いので、農作業だけでなく、経営面のノウハウも学んでほしい」と期待を寄せる。

 本来は昨年の春、6人が特定技能で来日する予定だったが、コロナ禍で白紙となった。小林社長は「コロナで入国者が減り続ければ、外国人労働者を必要とする国同士で取り合いになる。家族帯同を幅広い業種に認めるなど、働く場所として選ばれるために制度の拡充が必要だ」と話した。