<群馬・堀越学園>理事会が分裂、騒動でパトカー出動も

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 ◇10月に解散命令答申

 文部科学省の大学設置・学校法人審議会が10月下旬、学校法人「堀越学園」(群馬県高崎市)に今年度末までの解散命令を答申した。債務超過などがその理由だ。大学の乱立から田中真紀子文科相が新設3大学の「不認可」を表明し、その後、撤回した騒動の一因になったとされる。同学園は意思決定機関の理事会が2派に割れてそれぞれ経営権を主張するなど、混乱の極みに達している。【増田勝彦、塩田彩】

 ◇学長が2人、運営支離滅裂

 学園創設者の養子の堀越哲二氏(64)ら3理事が今年1月、教職員への給与遅配などを理由に、理事会で解任決議された。運営する創造学園大の学長室には「堀越氏の入室を封じるため」に電子ロックが導入され、堀越氏らは「理事会の適正な招集手続きがなかった」と地位保全を求める仮処分を前橋地裁高崎支部に申し立てた。

 堀越氏は1977年に理事、04年の同大開学時に学長に就任した。06年に創設者が死去すると「ワンマン経営の度合いが増した」と指摘する学園関係者は多い。11年1月までは幼稚園や専門学校を含む学園を束ねる理事長職にあった。5月21日、堀越氏らの地位保全が認められ復帰すると「2人の学長」がいる事態となった。理事会も堀越氏派と2月に理事長になった大島孝夫氏(81)派が「正統性」を主張した。21日は堀越氏派の数人が学長室に押しかけ、群馬県警のパトカーが出動し、翌22日から10日間「学生の安全確保」を理由に大学は閉鎖された。

 「大島氏派の理事会が決めた職員の懲戒処分を堀越氏派の理事会が取り消すなど運営は支離滅裂」。職員の一人が嘆く。解散命令の答申は「組織としての意思決定ができない状態」と指摘している。

 ◇「徳を積む」が必修、転学に課題

 創造学園大には、音楽学科と芸術学科がある創造芸術学部、社会福祉士などの資格取得を目指すソーシャルワーク学部があり、220人の学生がいる。芸術学科は「アニメ」「漫画」「声優」「茶道」の各コースを設けて独自色を打ち出してきた。しかし、他大学との互換性が認められない履修科目も多い。

 その一つが必修科目「徳を積む」だ。講義は学生が「クレド」(信条の意味)と呼ばれる校訓を暗唱して始まり、「創造は未来をひらくキーワード」「歌声明るく、爽やかに挨拶(あいさつ)」と続く。それぞれの校訓の最初の文字をつなぐと「そうぞうがくえんくれど」になる。「靴はきちんとそろえます」という校訓もあり「まるで小学校並みだ」と学生には不評だ。

 音楽学科に2年間在籍した女子学生(22)によると、学期末試験の問題は「クレドの中で好きな一文を挙げ理由を述べよ」だった。鑑賞したコンサートの感想文を提出するだけの授業もあり、女子学生は「見切りをつけたい」と昨年3月に退学し、埼玉県内の私立大に転学した。

 しかし、2年間で取得した98単位中認定されたのは55単位だけで「徳を積む」は含まれない。女子学生は「編入しても単位不足のため4年間で卒業できない事態もありうる」と危惧する。

 「二つの理事会」はそれぞれ、学園存続のためにスポンサー候補と話し合いを進めていると説明するが、具体策は示されていない。文科省は転学支援を最大の課題と位置づけている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121108-00000106-mai-soci
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