第二十六章  第八節
■若乃の心象風景
これまでの半生――侑那や父と平和に暮らしていた時のことや、狩方衆や無名のことを振り返っている若乃。
ヌエに取り込まれているカバネたちにもかつてそんな生活があった、しかしそれは今や失われてしまった……。
そんな無数のカバネたちの恨みや後悔に似た意識に苛まれて苦しむ若乃。
■信濃戸隠駅各所
雪崩作戦開始。
科條と瓜生がスノーモービルで門から飛び出し、雪上を走っていく。
その後から甲鉄城も門から出発して、目標の山を砲撃可能な位置を目指す。
久しぶりに甲鉄城のメンバー勢揃いでの分担作業。御河城の技巧衆は同行してそれを手伝っている。各部門が連携して準備を進めるその様子は頼もしい。
一方で要、葉矢、千尋と、香姫たち三河重鎮も駅に居残り。要のたっての希望で戦況が見える物見台に移動している。
――と、若乃ヌエの遠距離攻撃が戸隠駅にも到達する。
投擲されたカバネがアワサリ化して駅内でも戦闘が発生。
要を守るべく、葉矢は決死の覚悟でカバネに向かう。
瀕死の要を見て、「勝手に勝ち逃げされてたまるかよ……!」と斗和も戦闘参加。
白蝶と協力して戦う千尋、要と葉矢を守るために戦う葵、残存遠江兵をも巻き込んで陣頭指揮を取る香姫などの奮闘も拾って盛り上げて――