第二十六章  第九節
■信濃戸隠駅郊外の雪原
科條と瓜生が若乃ヌエを山際におびき寄せた所で甲鉄城の砲撃。
雪崩発生、飲み込まれていく若乃ヌエ。
* * *
その様子を離れた場所に退避して見ている八面と呉羽。
呉羽「平太(へいた)……結局私は何も出来なかった……」
八面「それでも俺はお前に生きていて欲しいんだよ、紅葉(もみじ)。俺もお前と一緒に生きていたい――」
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生駒と無名がスノーモービルにタンデムして、埋もれた若乃ヌエに接敵。
連携技でバラけたカバネやアワサリを華麗に退けて若乃ヌエに到達。
弱々しく振り下ろされる若乃ヌエの腕を駆け上がり、心臓へと到着する無名が、飛躍して金属被膜の隙間の僅かな隙から白血漿を打ち込む。
その刹那、無名と若乃の意識がリンクして、狩方衆時代から今に至るまでわだかまっていたお互いの気持ちを共有する。
次の瞬間、ドン! と破裂飛散する若乃ヌエで――。