スパイスカレー命のインド人は日本のカレーをどう思う!? 在日インド人を日本のカレーチェーン店の代名詞・カレーハウスCoCo壱番屋に連れて行ってみたら......スゴイことになりました。ぶっちゃけトークは、いつしか踊るマハラジャ状態に!
Yahoo!ライフマガジン編集部
「インドの神様に隠れて......」ココイチの手仕込牛メンチカツカレーにまっしぐら!?
もしかして、スパイスカレーが国⺠食のインド人にとって、甘味のある日本のカレーは邪道なの? 「こんなのカレーじゃねー!」と皿を壁に投げつけられたらどうしよう。そもそもベジタリアンが多いインド人は、お肉たっぷりの日本のカレーを受けつけない?
ココイチにインド人を連れて行ってみる企画をうっかり思いついた取材班が、そんな一抹の不安を抱えながらもコンタクトを取った相手は......
かつてYahoo!ライフマガジンのインドカレー特集において、「ここが変だよ日本のインドカレー」と題した座談会で大暴れし反響を巻き起こしてくれた在日インド人のお三方。今回は張り切ってカレーハウスCoCo壱番屋 港区虎ノ門三丁目店に参上です、ナマステ!
ーーお久しぶりです! 以前の座談会で、確か「日本のカレーも好き!」「ゴーゴーカレーが大好き!」とおっしゃっていたと記憶しておりますが......。今回の企画、オファーして大丈夫だったでしょうか!?
- ゴーリーさん
- ゴーリーさん
- 「安心してください。日本のカレーは、インドカレーとは別物のジャパニーズフードとして大好きです。来日当初は日本の料理が口に合わなくて、家でも外でも、カレーばかり食べていたんですが、そんな中で出会った日本独特の甘辛いカレー。今では週に1度は日本のカレーを食べないと気がすみません!」
- アショークさん
- アショークさん
- 「私もそう!」
ーーそれは、よかったです!
- アルさん
- アルさん
- 「初めて日本のカレーを食べた時は、それはそれは、びっくりしました。インドでは手を使ってカレーもライスも皿の上で混ぜ混ぜして食べるんですが、日本のカレーはご飯とルーがお行儀よく並んでいるから、これをどうやって混ぜればいいの......と考え込んでしまいました」
- アショークさん
- アショークさん
- 「日本のカレーは辛さを気にせず子供に食べさせられるのが一番いいところですね〜。インドの子供も辛さに慣れるまでは『この辛さなら食べさせられるかな?』と親が判断しなくてはなりませんから」
ーーやっぱり、インド人のお子さんも、甘いカレーを食べたがるものなんですか?
- アルさん
- アルさん
- 「いえいえ、甘いカレーという概念そのものがインドには存在しません。辛さを抑えるという発想はあっても、日本のようにお砂糖を入れて甘くするなんてありえないことです!!」
- アショークさん
- アショークさん
- 「ありえません!」
ーーし、失礼しました......。
インド人が選ぶ! ココイチの夏季限定メニューBEST3+α
さて、今回は、8月31日(木)までの期間限定で食べられるカレーハウスCoCo壱番屋の夏メニュー3品を試食してもらい(ただしベジタリアンのアルさんは除く)、インド人好みのBEST3を決定してもらう。
- ゴーリーさん
- ゴーリーさん
- 「ちょっとちょっと。私、昔から不思議なんだけど、なんで日本人は『夏はカレー』なの? カレーは365日いつ食べてもおいしいでしょうよ」
ゴーリーさんの申し立ては聞こえなかったことにして、いきなりですが、潔く1位から大発表!
インド人が選ぶ1位
「手仕込牛メンチカツカレー」
- ゴーリーさん
- ゴーリーさん
- 「何を隠そう、私はチキンが大好き。特にカツに目がありません。インドの宗教的な理由でベジタリアンなのですが、せっかく日本に住んでるんですから、一歩家を出ればベジタリアン料理には目もくれず、肉しか食べていません。ココイチにはいつもカツカレー系メニューを目指して駆け込んでいます」
■「インドの神様は日本まで見えてない」
ーーゴ、ゴーリーさん!?
- アルさん
- アルさん
- 「オーノー! 動物を殺して食べるなんてとんでもない。それなのに確か、ゴーリーさんは以前の座談会で、『インドの神様は日本までは見えていない』などと発言していました」
ーーそうでした!
- ゴーリーさん
- ゴーリーさん
- 「はい言いました。今でも見えてないと思ってます。全然見えてない。日本の家の中ではさすがに見られてるかもしれないから肉は一切食べないけれど、家を出ちゃえば全然大丈夫。肉ばかり食べています」
- アショークさん
- アショークさん
- 「私も肉大好き。こうやって牛メンチカツをカレーと混ぜて食べると、罪悪感が軽くなっていいですね。豆で作るインド料理『ワダ』と見た目が似ているから、自分は『ワダ』を食べてるんだと思い込めば、なおさら(笑)」
そのベジタリアンカレーは、本当にベジタリアンカレーか?
ーーアショークさんまで......。もともと皆さんはココイチのカレーはお好きだったんですか?
- ゴーリーさん
- ゴーリーさん
- 「はい。“ココイチ”のカレーは数ある日本のカレー屋さんの中でもインドカレーに味が似ている方だと感じます。インドを意識したスパイスの使い方をしているのかもしれません」
- アショークさん
- アショークさん
- 「同感です」
- アルさん
- アルさん
- 「......実を言うと、私はカレーハウスCoCo壱番屋にはほぼ行きません。というのも、宗教的な理由で、生まれてこのかた一度もお肉やお酒、動物性の食べ物を口にしたことのない生粋のベジタリアンだから」
ーーゴーリーさんやアショークさんとは違うんですね!
- アルさん
- アルさん
- 「ええ。過去に他のカレー屋さんでベジタリアンカレーと言われるものを食べたら実は動物性のダシが入っていて。あとでそのことを知った時は、ちょっと気持ち悪くなりました。その時のトラウマからあまりチェーン店には足が向かないのです......」
- ゴーリーさん
- ゴーリーさん
- 「でもさ、うっかり食べてしまったそのカレー、おいしかったでしょ!? ねぇ、アルさん?」
- アルさん
- アルさん
- 「............はい。誰にも教わらなかったら動物性のダシが入っていることにも気付かなかったでしょう......」
- ゴーリーさん
- ゴーリーさん
- 「そのまま日本のカレーを食べ続けていれば、アルさんもそのままお肉も食べられるようになって、日本のグルメライフを満喫できていたかもしれないのにね......私のように!」
- アルさん
- アルさん
- 「............!」
取り急ぎ、思わず動きが固まってしまったアルさんを励まさねばと、取材班はカレーハウスCoCo壱番屋のベジタリアンカレーメニューを差し出した。
ーーアルさん、こちらアルさんにぴったりのベジタリアンメニューですよ! 今日はここからお好みのカレーを選んでみてくださいね。
- アルさん
- アルさん
- 「あ!『メニューに動物由来のものは一切入ってません』とちゃんと書かれている。これは、ベジタリアンも安心して食べられますね!」
- アショークさん
- アショークさん
- 「これはスゴイことだ!」
- ゴーリーさん
- ゴーリーさん
- 「ちょっと、(港区虎ノ門三丁目店の)店長さん! 明日からでも最寄りの神谷駅の前でこのベジタリアンメニューのビラを配りまくった方がいいですよ。駅付近にはインド人に絶大な人気のある南インド料理専門店『ニルヴァナム』があるんだけど、そこに並んでいるベジタリアンのインド人にも日本のおいしいベジタリアンカレーを猛アピールするんです.....!」
- アルさん
- アルさん
- 「......!」
「ベジタリアンカレー ナス、ほうれん草、完熟トマト」
ーー日本にはベジタリアンメニューは少ないと思いますが、生粋のベジタリアンであるアルさんは、仕事がある平日ランチはどうしているんですか?
- アルさん
- アルさん
- 「毎日カレーのお弁当を持って会社に行ってます。お弁当がない日はご飯とサラダだけで済ませる感じです」
- ゴーリーさん
- ゴーリーさん
- 「寂しいね、寂しいよね(笑)」
- アショークさん
- アショークさん
- 「でも明日からは、ココイチを見つけたら入れますね」(※注:一部ベジタリアンカレーの取り扱いのない店舗あり)
- アルさん
- アルさん
- 「そうですね。今日はいい発見ができました」
インド人が選ぶ2位
「チキンと夏野菜カレー」
ーーこのカレーにもお肉がガッツリ入っていますね!
- アショークさん
- アショークさん
- 「だから、おいしいんです! 日本の甘口カレーと比べるとこの辛さがインド人にとってはちょうどいいですね」
ーーところで、ゴーリーさんとアショークさんもインドではストイックなベジタリアンの食生活を送っていたんですよね? 日本に来て初めて肉やお酒を口にした時はどんな感じでした?
- ゴーリーさん
- ゴーリーさん
- 「私は日本に行くことが決まった時から食べたくてうずうずしてたんですよ、肉を。やっぱり最初は罪悪感があったから卵から食べ始めて。インド人の友達から『チキンは比較的食べやすいよ』とアドバイスをもらってからはチキンが好きになって。今もっとも好きな食べ物は焼肉です」
- アルさん
- アルさん
- 「や、やき......!?」
- アショークさん
- アショークさん
- 「私はインドで過ごした大学生時代からこっそり隠れてお酒を飲んでいました」
- ゴーリーさん
- ゴーリーさん
- 「不良だなぁ。私は日本に来てからですよ」
- アショークさん
- アショークさん
- 「いえ、ゴーリーさんは3歳からです」
- ゴーリーさん
- ゴーリーさん
- 「本当に日本に来てからだってば! 最初に入社した日本の会社で6カ月間の日本語研修があった時に、先生が『日本で会社の仲間とコミュニケーションをとるならやっぱり飲まなきゃ!』と、全員をわざわざ居酒屋さんに連れて行ってくれたのがMYファースト・アルコールでした。最初はそんなに好きにはなれなかったけど、今では最低週1回は飲まないと全然楽しくない。甘いものが好きなので梅酒が大好物です」
- アルさん
- アルさん
- 「私は飲み会には行きますが、ウーロン茶とフライドポテトだけで済ませています。自分がお酒を飲まなくても仲間とノミ(飲み)ニケーションは取れるものですよ!」
- ゴーリーさん
- ゴーリーさん
- 「かわいそうに......。でも、最後に車で送ってくれるアルさんがいるから、私たちはガンガン気にせずお酒を飲めるんです。いつもありがとね」
ーーこれまで食べてびっくりした日本の食べ物はありますか?
- ゴーリーさん
- ゴーリーさん
- 「タコ! 正体がわからないまま、おいしいからポコポコ食べちゃって。帰宅して調べてみた時は『おっ! そんなモンを食っちゃったか!』ってショックでしたね。ただ、やっぱりおいしさへの感動の方が勝っちゃって、次回からは、すべての憤りをケロッと全部忘れて普通に食べました。まぁ、焼き魚はいまだに全然慣れませんけど」
インド人が選ぶ3位
「スープで食べるローストチキンと野菜のカレー」
- ゴーリーさん
- ゴーリーさん
- 「おお! 大きなチキンが入っている! いいですねぇ。早速いただきたいんですが、カメラマンさん、ちょっとお願いしてもいい!? 私がチキンを食べているところは撮影しないでください(笑)」
- ゴーリーさん
- ゴーリーさん
- 「これ、もしかして、ナンプラーとココナッツミルクが入ってませんか?」
ーーさすが、インドの方は、何のスパイスや調味料が入っているかカレーを食べれば大体わかるというのはホントだったんですねぇ。
- ゴーリーさん
- ゴーリーさん
- 「大体わかります。インド人からしてもタイカレーは辛いですね。パクチーなどの香草はインドカレーにも入ってるけど、タイカレーは本当にたくさん使いますよね」
- アショークさん
- アショークさん
- 「日清の『カップヌードル』のカレー味もおいしいけど、これもなかなか!」
- アルさん
- アルさん
- 「カ、カップ……」
- ゴーリーさん
- ゴーリーさん
- 「ただ、日本のカレーを食べた気があまりしないから、これは私の中では3位かなぁ。やっぱり手仕込牛メンチカツカレーがベストですね!」
ーー想像以上に日本のカレーがインドの皆さんに愛されていて正直びっくりです。聞くところによると、カレーハウスCoCo壱番屋は近くベトナムに初出店し、いずれイギリスやインドへの出店も視野に入れているそう。果たしてインドの地で受け入れられますかね?
- アショークさん
- アショークさん
- 「あくまで日本食として、ラーメンや寿司のように結構人気が出るんじゃないかな。ちょっとインド風にアレンジしなきゃいけないでしょうけど」
- ゴーリーさん
- ゴーリーさん
- 「うんうん、そうですね、楽しみです。しかし......ねぇ、アルさん寂しいね、今日はカレー、一つしか食べれなかったねぇ」
- アルさん
- アルさん
- 「うん(笑)。でも、生まれてから43年間、一切お肉を食べずに宗教の教えを継続できているのはうれしいしとても幸せなことですよ」
- ゴーリーさん
- ゴーリーさん
- 「私は宗教の教えは継続してないけど、日本のいろんなおいしい食べ物を食べられて本当に幸せです!」
- アルさん
- アルさん
- 「......!」
取材メモ/インドの神様、ごめんなさい......。
カレーハウスCoCo壱番屋 港区虎ノ門三丁目店
住所:港区虎ノ門3-11-15
アクセス:神谷町駅3出口から徒歩約3分、虎ノ門駅2出口から徒歩約7分、御成門駅A5出口から徒歩約9分
電話番号:03-5777-9551
営業時間:平日11:00〜22:00、土日祝11:00〜15:00
定休日:無休
- 口コミ・写真など
※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。
取材・文=城リユア(mogShore) 撮影=岡本卓大
\まだある! 本場外国人に聞いてみた/
\すっかりカレー気分のあなたへ/