武田 電波の割り当てを受けるドコモなどの大手通信会社に加えて、大手から電波を借りるMVNOも競争の重要な軸として活躍してもらいたい。接続料については、総務省が10月に発表した「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」で、20年度から3年間で19年度比5割減を目指すという目標を示しています。MVNOが大手通信会社に支払う接続料について、低廉化は絶対条件です。MVNOがしっかりと健全な競争市場に参画できるような環境サポートを考えています。

馬渕 なるほど。MVNOも競争できる環境整備はされると。しかし、ドコモの値下げのインパクトが大き過ぎて、他社が後退するのではないかという懸念もあります。

武田 もちろんサポートはします。ただ、競争があることが健全な市場の証しです。「自分は体力がないから負けた」「政府が悪い」なんてことを言ってもらっては困ります。それだったら、いろんな企業と合併して体力を付け、それなりに生き延びていく努力をしていかなければダメです。むしろ格安スマホにとっても、フィールドが広がったという面ではチャンスになってくると思います。

人間は思い切ったことをするときに
相手と会っちゃいかんのだ

馬渕 今まで動かなかった携帯料金の値下げを実現するに当たって、NTTの澤田純社長とのやり取りはありましたか。

写真:馬渕磨理子氏2
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武田 澤田さんだけはありません。他の事業者の方々とも私が着任したときにごあいさつしました。雑誌などで澤田さんの発言を見ると、国際戦略に重きを置いている人だという印象です。日本が5Gで後れを取った点を反省していて、6Gにおいて巻き返しを図る、そんな迫力を感じます。

馬渕 携帯各社の方々には就任時にごあいさつしたのですね。その後は、値下げに関してさまざまなやりとりをされましたか。

武田 いや、自身が料金値下げに取り組む中では、携帯事業者の人にむしろ会うべきではないと思いました。私は方向性を示した後、料金引き下げに関することでは一切会っていません。というのは決断が鈍るからです。人間っていうのは、思い切ったことをするときにはね、相手と会っちゃいかんのですよ。情も芽生えるし、そこのところは「フェア」にやっています。

馬渕 武田大臣の「改革への覚悟」を伺うことができました。ありがとうございます。