武田 菅さんから「まずは、携帯料金の改革をしっかりやってください。そして、NHKと地方財政。この3点について、特にしっかりとやってください」というお言葉がありました。
馬渕 携帯料金値下げについては、就任してから早い段階で実績を上げたという印象です。
武田 携帯料金値下げは国民が実感できるところまでやります。そしてその次にはNHK、地方財政と着手していかなければならない。改革は山積みです。

たけだ・りょうた/1968年生まれ。福岡県出身。早稲田大学大学院修了。元衆議院議員の亀井静香氏の秘書を経て、2003年に衆議院選挙福岡第11区で初当選。それ以降6期連続当選。防衛大臣政務官や衆議院安全保障委員長、防衛副大臣、自民党幹事長特別補佐、国家公安委員会委員長などを歴任。20年9月より現職。 Photo by M.K.
馬渕 ドコモがメインブランドで携帯料金を引き下げたことに対する評価を教えていただけますか。
武田 市場を公正な競争に導く大きなきっかけになると期待しています。今まではサブブランドでの値下げや、数量調整したような「形だけの値下げ」が見られました。なので、私が「メインブランドでの値下げのことを言っているんだ」と各社にお伝えしました。
馬渕 「メインブランド以外は意味なし」、あの発言から動きが変わりました。
武田 先頭を切ってドコモが動いた点をとても評価しています。特に、NTT(日本電信電話)がNTTドコモを完全子会社化した点も含めて評価しています。いろんな意見はあるけれども、ドコモの完全子会社化によって(携帯料金の大胆な値下げといった)戦略的な決断が迅速にできる企業になっています。それが今回のドコモの新料金プランである「2980円」につながったと思います。
馬渕 ドコモの完全子会社化はNTTにとって約4.2兆円もの大型買収となり、そのための資金調達は負債に頼るため、財務は一時的に悪化します。ただ、完全子会社化によって、ドコモが行ってきた自社株買いやNTT以外への配当金によって流出してきた資金を内部にとどめることができ、その規模は年間2500億円にもなるといった試算もあります。それを考えれば、十分に今回の値下げによる減収を吸収することができますね。
武田 おっしゃる通りです。メインブランドで通信料金を2980円に設定しても、今から5G(第5世代移動通信システム)やBeyond5G(6G)に向けての投資もできると、NTTの澤田純社長もおっしゃっています。
格安スマホが大手通信会社に支払う
接続料の「値下げ」は絶対条件
馬渕 一方で、ドコモ以外のKDDIやソフトバンク、格安スマートフォン(MVNO)への影響が気になります。ドコモの値下げで厳しい状況に立たされていると感じます。そのあたりは、どうお考えでしょうか。
武田 だったら寡占市場のままでいいのかという話になりますよね。どんな業界でも競争は厳しいものであって、それを勝ち抜くためにいろんなサービスを展開したり、国民の信頼を勝ち得ていく努力をしたりしなくてはならない。ただしMVNOについては、(ドコモのような)メガ企業がここまで値段を下げてきたということに対して脅威を感じていると思います。
馬渕 では、格安スマホに対する具体的なサポートを教えてください。