武田 まだ、進めるべきことがあります。各社は「低廉化に向けて取り組んでまいります」と言うけれども、具体的な料金プランやメニューはまだ提供されていません。健全で公正な市場競争が機能しているかどうかを見極めるためにも、プランやメニュー、システムといった具体的な部分をしっかりウオッチしていきます。

馬渕 「公正な市場競争」という点で、12月9日に武田大臣と井上信治内閣府特命担当大臣(公正取引委員会、消費者庁担当)による「携帯電話料金の低廉化に向けた二大臣会合」の第1回会合が開かれましたね。

武田 同じ携帯事業者内でメインブランドからサブブランドに乗り換える際に、最大1万5500円の手数料の支払いやさまざまな手続きが必要な場合があることが問題です。高いブランドや高い料金プランの方に過度に顧客を囲い込もうとしている。総務省と公正取引委員会、消費者庁が連携し、公正な競争原理が働いているかどうかをチェックして環境整備を行っていきます。携帯各社は「前向きに検討」ではなくて、「しっかりと結論」を出していただきたい。

馬渕 携帯料金引き下げについては、まだまだ不十分なところがある。だから、国民に適切な料金でサービスが提供されるところまで行政としてサポートする、ということですね。

携帯電話料金の引き下げが
なぜ「今」実現できたのか

馬渕 菅(義偉)首相は官房長官だった時代から携帯料金引き下げについて言及していましたが、なぜ「今」実現できたのでしょうか。

武田 2018年の段階で、当時官房長官だった菅さんは「客観的に見て、日本の携帯料金は高過ぎるのではないか」とおっしゃっていました。国際的な水準と比較すると、日本が異常だということを提唱したわけです。しかし、当時の事業者の反応は非常に鈍かった。

馬渕 各社も世論も反応が鈍かったようですね。

武田 菅政権になって、もちろん一丁目一番地の政策はコロナ対策ですが、携帯料金引き下げも看板政策の一つであることは間違いありません。政府が本気で取り組んだ点が大きかったと思いますよ。なぜ「今」か。それはやっぱり政府の本気度が携帯事業者に伝わったということが大きいです。

馬渕 改革を任されたのが武田大臣です。菅さんからは、どのようなお言葉がありましたか。