この記事は Android チーム、ソフトウェア エンジニア、Arvind Kumar Sugumar による Google Online Security Blog の記事 "New Password Checkup Feature Coming to Android" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
デジタル サービスが生活に身近になるにつれて、オンライン情報の安全を保つことの重要性も今までになく増しています。通常、パスワードはハッカーに対する防衛の第一線ですが、パスワードの漏洩につながりかねない情報流出の多さを考えれば、ユーザーは認証情報の保護に注意しなければならないことは明らかです。
これを簡単に行えるようにするため、2019 年に Password Checkup 機能を Chrome に導入し、Chrome に保存しているパスワードが漏洩した場合、通知が届くようになりました。今回、Google 自動入力を通してこの機能を Android アプリにも提供します。アプリで認証情報を自動入力したり保存したりすると、Chrome は侵害されたことがわかっている認証情報のリストと突き合わせて、そのパスワードが侵害されていた場合は、警告を表示します。そのプロンプトから Password Manager ページを開くこともできるので、そこで保存されているパスワードをすべてまとめて見直すこともできます。Android アプリでの Password Checkup は、Android 9 以降で Google 自動入力を使っているユーザーが利用できます。
Android デバイスで Autofill with Google を有効にする方法は次のとおりです
- スマートフォンの [ 設定 ] アプリを開く
- [ システム ] > [ 言語と入力 ] > [ 詳細設定 ] をタップする
- [ 自動入力サービス ] をタップする
- [ Google 自動入力サービス ] をタップして設定を有効化する
項目が見つからない場合は、こちらのページをご覧ください。デバイス メーカーから詳しい情報を得る方法が記載されています。
動作の仕組み
Google はユーザーのプライバシーを最優先に考えていますが、パスワードなどの機密データを扱う機能では特にそれを重視しています。Google 自動入力は Android の自動入力フレームワークがベースになっています。このフレームワークは、厳格かつ不変なプライバシーとセキュリティを遵守し、次の 2 つの場合にのみユーザーの認証情報にアクセスすることを保証します。1)ユーザーが Google アカウントに認証情報をすでに保存している場合。2)Android OS がユーザーに新しい認証情報を保存することを提案し、ユーザーがアカウントに認証情報を保存した場合。
ユーザーが認証情報を操作したとき(フォームに認証情報を入力する、または初めて保存するとき)、Chrome で使われているものと同じプライバシー保護 API を使い、Google が追跡している既知の侵害されたパスワードのリストにその認証情報が含まれていないかを確認します。
この実装では、以下の点が保証されています。
- デバイスの外部に送信されるのは、暗号化された認証情報のハッシュのみ(データベースのパーティション化のため、ハッシュ化したユーザー名の最初の 3.25 バイトは暗号化せずに送信される)。
- サーバーは、同じプレフィックスを持つ、侵害されたことがわかっている認証情報のリストを暗号化したハッシュとして返す。
- 認証情報が実際に侵害されたものであるかどうかを判断する処理がユーザーのデバイス上で実行される。
- サーバー(Google)は、暗号化されていないユーザーのパスワードのハッシュにはアクセスしない。クライアント(ユーザー)は、侵害された可能性がある認証情報の暗号化されていないハッシュのリストにはアクセスしない。
この API の内部処理の詳細については、Chrome チームによるこちらのブログをご覧ください。
その他のセキュリティ機能
Google 自動入力は、Password Checkup の他にも、データの保護に役立つ機能を提供します。
- パスワード生成 : あまりに多くの認証情報を管理しなければならない場合、ユーザーは同じパスワードを複数のアカウントに流用しがちです。パスワード生成機能を使えば、Chrome が一意で安全なパスワードを生成し、Google アカウントへの保存まで行ってくれます。そのため、パスワードを覚える必要すらなくなります。Android アプリでは、パスワード フィールドを長押ししてポップアップ メニューから [ 自動入力 ] を選ぶことで、パスワード生成をリクエストできます。
- 生体認証 : 認証情報や支払い情報を自動入力する際に生体認証を要求すると、デバイスの保護をさらに強化できます。生体認証は Google 自動入力設定から有効化できます。
いつものように、プロダクト全般のセキュリティ向上に関する最新情報をお届けする Google Security ブログにご注目ください。
Reviewed by
Eiji Kitamura - Developer Relations Team