雫ちゃんが通っていた近所の保育所は、“田中一家”の印象を「ごく普通の家庭。男の方も子煩悩な人で、よく送り迎えしてはりました」と話す。
加えて、マンション近隣でも、家族3人での散歩姿が目撃されている。
「“男の人が代わったな”とは思いましたが、ギクシャクした感じはなかったです。ただ、えらい若い人やったんで、はじめは弟かと思ってました…」(近所の主婦)
このように、一見どこにでもある一般家庭だが、その実態は虐待地獄だったわけだ。実際に2人が一緒になってからは、「部屋から子供の泣き声と母親の怒声が頻繁にきこえるようになった」というマンション住人の話も聞こえてくる。田中容疑者も府警の調べに対し「雫が言うことを聞かない時に、何回か風呂場に閉じ込めた」「風呂場では態度が改まらず、ごみ袋を使った」などと供述している。
「それでも田中容疑者は、あくまでしつけを強調し殺意を否定していますが、親子関係は完全に破綻していたようです。ネット掲示板には、《「ベランダから落としたら死ぬよね。この子が死んでも泣かないかもしれない」くらいはしょっちゅう考えてました》と書き込むほど。さらに今年に入ってからは満足に入浴もさせず、育児への関心を完全に失っていた。3歳児検診を受けていないことを保健所から指摘されていますが、育児放棄の疑いを掛けられるのが嫌で連れて行かなかったのでしょう」(前出・社会部記者)
新しい男の前には、実の我が子もイヌネコ以下というわけか。
しかし田中容疑者も、最初から“鬼母”だったわけではない。
雫ちゃん誕生時の会員制交流サイトには《19年11月15日に3530グラムの元気な息子が生まれました。息子ちょー可愛いです。かなり親バカです(笑)》と、母になった喜びが綴られている。この愛情の変化の裏には、いったい何があったのか。
前述のように、彼女はパートの身とはいえ、日本年金機構の従業員である。その機構元職員が言う。
「年金問題で加入者との激しいやりとりの矢面に立たされたり、大きなトラブルを見聞きすることが多い仕事。そのため、ストレスがたまり問題を起こすケースはよくあります。彼女もそんな伏線があって、子供の父親と別れ、別の男に依存するようになったのでは」
ここ数年、大阪市では、西淀川の女児ベランダ遺棄、中央区の風俗嬢による幼児自宅監禁など、幼児への異常な虐待殺人が相次いでいる。
いずれのケースでも共通するのは、母親が子連れで離婚→新しい男と新生活→子供への虐待という最悪の流れだ。命の尊さを改めて考えさせられるこの時、悲劇の連鎖を食い止めることはできないのだろうか。
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