「LINE」個人情報が丸見え、管理委託の中国企業から…運用見直しを検討
読売新聞 / 2021年3月17日 13時32分
無料通信アプリ「LINE」(ライン)の利用者の個人情報が、管理を委託された中国企業から閲覧できる状態になっていたことがわかった。運営会社LINE(東京)が17日、明らかにした。個人情報保護法では、個人情報の取り扱いを海外に委託する場合に利用者の同意が必要と定めており、同社は利用者への説明が不十分だったとして国の個人情報保護委員会に報告。第三者委員会を設けて運用の見直しを検討する。
技術者4人、日本のサーバーに接続
同社は、アプリの管理の一部などを中国・上海にある関連会社に委託。2018年8月以降、開発の過程で関連会社の技術者4人が日本のサーバーに接続し、利用者の氏名や電話番号、メールアドレス、メッセージの内容などを閲覧できる状態にしていた。
4人は複数回にわたり、サーバーに接続。同社関係者は「現段階では不適切なアクセスは確認されていない」としている。同社は今年2月下旬、接続できないように設定を変更した。
個人情報保護法では、個人情報の取り扱いを国内の企業などに業務委託する場合、利用者の同意は必要ないが、委託先が海外だった場合は原則、同意を得るよう義務づけている。国の個人情報保護委員会は、改正個人情報保護法が来年6月までに施行されるのに合わせて、個人情報の提供や移転先の国名も明らかにするよう求めている。
同社は規約で、利用者の居住国と同等のデータ保護法制を持たない第三国に個人情報を移転することがあるなどと説明していたが、国名は明記していなかった。
同社は、現状の規約は説明が不十分だったと判断。親会社のZホールディングスは、社内に委員会を設置し、運用見直しや経緯の調査などを実施する。
LINEは、自治体が新型コロナウイルス感染者の健康観察に利用するなど情報インフラとして欠かせない存在になっている。
LINE:メッセージ交換や無料通話ができる通信アプリ。2011年にサービスが始まり、国内の利用者は昨年9月現在で8600万人にのぼる。運営会社LINE社は今月1日、ヤフーを運営するZホールディングス(HD)と経営統合し、ZHDの子会社となった。
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