信頼も厚く統率力に長けた人物
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エルヴィン団長は、調査兵団の団長を務め、周りからの信頼も厚く統率力に長けている人物。壁内人類を巨人から守るべく、常に心臓を捧げる覚悟で任務に向かっています。戦闘時には冷静沈着な判断で仲間を巨人から守りながらも、機転を利かせた戦術で過去に類を見ないほどの戦果を挙げています。歴史の教師であった父親の影響もあり、壁外人類の謎を解き明かすことがエルヴィンの最大の夢であり使命になっています。
歴代団長の中でも挙げた成果はトップクラス
調査兵団実行部隊のトップ、エルヴィン・スミスの初登場シーンは、彼が先頭をきって調査兵団を連れて街を闊歩しているシーンです。過去の調査兵団とは違い、エルヴィンが率いる部隊は、よりカリスマ性に優れ実行力を伴う兵士が勢ぞろいしています。壁外調査の成果も目を見張るもので、エルヴィンが期待のリーダーであることがうかがえます。
エレンやミカサ、アルミンからも尊敬の眼差しを向けられ、民衆からも期待されているエルヴィンが今後どのような活躍をするのか期待できる初登場シーンになっています。凛としたエルヴィンの姿に心打たれる女性も多いのではないでしょうか。
巨人の正体を知った瞬間に笑った理由とは?
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彼の象徴的なシーンの1つに、巨人の正体は人間かもしれないと知った際に、彼が笑ったというシーンがありました。では、なぜ彼はあの瞬間に笑顔を浮かべたのでしょうか。その理由は、彼の過去を紐解いていくと明らかになります。
歴史の教師を父親に持つエルヴィンは、授業の中で壁の中に人類が逃げ込んだ歴史を学んだ際に抱いた疑問を父に問いかけたことがありました。「壁の外に人類がいないとどうやって調べたのか」と。すると父は、「王政の歴史書には矛盾があり、レイス王によって人類の記憶が改竄されてしまった。壁の外には人類が存在する」とする仮説をエルヴィンに聞かせたのです。
以後、エルヴィンの使命は父の仮説を証明することになったのですが、壁外から迫る巨人の正体が人間だと分かったことで、壁の外にも人類が存在するとする父の仮説を裏付ける証拠が揃いつつあることに嬉しく思ったエルヴィンは、笑みを隠しきれなかったのではないかと思います。
死際に放った「ありがとう」という言葉の真意は?
エルヴィンは死に際にリヴァイに「ありがとう」という言葉を残しています。エルヴィンは父親の夢でもあった世界の真実の解明を長年夢見てきましたが、それを叶える寸前で夢を諦めるようにリヴァイに説得されます。これまでに心臓を捧げてきた戦友と人類の未来のために、新兵を引き連れて死んでくれというリヴァイに、普通ならば夢を優先させてくれと懇願してもおかしくない状況なのにも関わらず、「ありがとう」とたった一言だけ残しています。
これはきっと、リヴァイが地獄のような世界から自分を解き放してくれることへの感謝の気持ちと、リヴァイなら夢を実現してくれるはずだという確信から出た言葉なのではないでしょうか。エルヴィンがこの言葉を発したときの表情は、なんだか安堵感に満ちているように見えました。エルヴィンとリヴァイの間に絶対的な信頼関係が成り立っているからこそ、「ありがとう」の一言で思いを通わせることができているのだと思います。
また、エルヴィンの最期をリヴァイが決めることができたのも、この言葉の後押しがあったからだと思います。
最終的にアルミンに注射を打ったリヴァイ!その想いとは
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瀕死の状態にあったアルミンとエルヴィン団長。巨人になる注射を打つ権限を託されていたリヴァイ兵長ですが、最終的にアルミンに注射を打ちました。エルヴィンに打たなかったのは、エルヴィンに注射を打とうとしたリヴァイ兵長の手をはねのけるように、エルヴィンが手を頭上にあげたからだと考えられます。子どもの頃の夢を見ているエルヴィンの安堵した清々しいともとれる表情から、この残酷な世界がエルヴィンを「悪魔」に変えてしまったのだとリヴァイが悟ったのだと思います。
人類の勝利のために、エルヴィンを再び「悪魔」として犠牲を伴う非情な選択を取らざるを得ない立場に戻すことが賢明なのか、側で彼の苦悩や葛藤を目の当たりにしてきたリヴァイには、その選択が正しい判断だとは到底思えなかったのではないかと推察できます。リヴァイの「許してやってくれないか。一度は地獄から解放されたこいつを再び地獄に呼び戻そうとした。だがもう…休ませてやらねぇと」というセリフからも分かるように、エルヴィンをこの地獄から早く解放してあげてほしいという気持ちが、最終的にアルミンに注射を打つという行動に繋がったのだと思います。
犠牲を積み重ねてでも、任務遂行を果たすリーダーとしての姿
エルヴィンの死後、司令塔ともいえる団長を失った調査兵団に悲壮感が漂う中でも、エレンやリヴァイ兵長をはじめとする仲間たちは巨人討伐と世界の真実を明らかにする使命を全うし続けます。エルヴィン団長は死の直前、自殺行為ともとれる最終作戦に臨む兵士に対し、「我々はここで死に、次の生者に意味を託す。それこそ唯一この残酷な世界に抗う術なのだ」という言葉を残しています。この言葉からも推察できるように、エルヴィン団長は、大事な仲間の命や自分の命を犠牲にしてでも、この先の人類の未来を優先するべきだという信念のもと、壁外調査や巨人討伐の任務での大量の犠牲者と引き換えに、世界の真実に一歩ずつ近づいていきました。
憲兵団に冷酷な「悪魔」と呼ばれても、最期まで自分の信念を曲げずに、一途に任務遂行に務めてきた優秀なリーダーでした。そんなエルヴィンの信念を受け継ぐように、エルヴィンの死後もなお、自らの命や仲間の命を厭わずにエレンを始めとする調査兵団の仲間は戦い続けていきます。
まとめ
エルヴィンは最期まで気高く生き、人類の勝利と夢の実現に自らの心臓を惜しみなく捧げた勇敢な兵士です。生き方や人間性が優れているキャラクターだからこそ、老若男女に愛されているのではないでしょうか。
彼の信念を受けついだ調査兵団が、世界の謎にどう立ち向かっていくのか、今後の展開が楽しみな作品です。