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騙され裏切られ処刑された私が⋯⋯誰を信じられるというのでしょう? 【連載版】 作者:榊 万桜
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29:盗賊の拠点に着いたのでしょうか?


キリアさんのブリザードが治まり、依頼受理した内容をカーナさんと確認し合っている。


私は未だにカーナさんの膝の上です。大人しく依頼内容を聞いています。

というか·····何も言えないだけですけどね。

何か言おうとするとキリアさんがブリザードになるんですもの。

キリアさんの周りの温度が下がるのです。そして、目が冷たくなるんですのよ。

まだ、怒っているのでしょうか?

本当になんで思っていることが分かってしまうの?

そんなに顔に出ているかしら?


自身の頬を両手で触りながら首を傾げてしまう。

それを見てコハクが顔を上げて一緒に首を傾げた。

可愛いなぁと頭を撫でながら、癒されている間に依頼内容の確認が終わった。


何故か、コハクを撫で始めた私に合わせてカーナさんが私の頭を撫でるものだから、キリアさんに「話を聞け」と引っ張ったかれていた。


ブーブー言いながらもしっかり話を聞くのだから仲がいい親子だわ。なんか、微笑ましいわね。

というか·····先程、村長達とキリアさんの話し合いの内容は殆ど聞いていなかったんですね。


話が終わるとカーナさんが行き良いよく声を出す。


「分かった。よし!行くか!」


「おい、何処に行く」


「ん?決まってるだろ。村の外にいる馬鹿を倒しにだ!」


「はぁ。それだと奴らが拠点にしているところが分からないままじゃないか」


「大丈夫だ。倒したヤツらを尋問して拠点まで案内させればいい」


「確かに有効な手段だが、それは最後の選択だ。この村の現状を見ても分かる通り、奴らは狡猾だ。拠点に行くにも何か合図があったり、通る道に仲間が見張りをしている可能性がある。そういう煩わしいのは、騙すことが1番だ。奴らが油断している状態の方が拠点に着いたあとも立ち回りやすいだろ」


「なるほど!そうだな!そうすると、今は奴らに大人しく捕まるのが最善か。でも、シエルは·····」


「私も行くよ。だって、カーナさん達から離れちゃダメなんでしょ?」


キリアさんがカーナさんを諭しながら今後の動きを決めていると、カーナさんが私を置いていこうとしたので、すかさず会話に割り込んだ。


前に離れることは許さない的なことを言われたもの。

それにこれは私の我侭でもあるのよ。置いていくなんて許さないんだから!


私は振り返りカーナさんを見つめながら言うと、顔を赤くしたカーナさんがキリアさんに助けを求める視線を送った。


「·····キリア」


「シエル。僕達との約束は守れるかい?」


キリアさんは、私の目をしっかり見て聞いてくるので、私も見返して笑顔で答えた。


「内容は?」


「そこは聞かないで、『はい』って返事が欲しかったな」


「ふふふ。それはダメよ。守れない約束はしたくないもの」


「はぁ、そこまで利口だと簡単に騙されてくれないね」


「でも、利口じゃなければここまで来れなかったし、カーナさん達に会えなかった」


「·····はぁ、そうだね。分かったよ」


キリアさんとの話し合いは私の勝利で終わった。

キリアさんは溜息を着いていたが、嬉しそうに笑っていたから、私の行動は間違っていないと思う。


キリアさんが提示した約束内容は以下の四つ

1. キリアさん達の誰かと必ず一緒に行動すること

2. もし離されようなことがあったら、何があっても何をしても離脱すること

3. キリアさん達に何がおこっても魔法を使わないこと

4. 自身の命などに関わることが生じた場合は、魔法を使ってでも離脱すること


直ぐに却下させて頂きました。

キリアさんとの約束内容は話し合いの末、キリアさん達と一緒に行動すること、身に危険を感じたら直ぐに離脱することの2つになった。

決まってからも、ちょっとした一悶着があった。


だって、キリアさん達に何があっても行動しちゃダメなんて約束守れないもの。なのに、それは譲れないなんて言うなんて!

だったら、私に何があってもカーナさん達が行動しないなら約束するって言って撤回してもらえたわ。

これにはカーナさんも必死にキリアさんの味方して、一緒に諭そうとするんだもの。

護衛対象とか言われても·····私、子供だから感情に左右されて約束なんて守れない自信しかないもの!

だって、盗賊がカーナさん達に何かされたらと思うと·····


「シエルどうした?ちょっと寒くなったけど」


カーナさんが顔を覗き込んできたため、我に返ると想像したことで、盗賊に抱いてしまった殺意に魔力が反応して、周囲を少しだけ凍らせてしまっていた。


「あっ、ごめんなさい。ちょっと気合いが入っちゃいました」


「そうか!」


「そうか!じゃないよ。シエル、奴らにあっても落ち着いてな」


「はい!」


魔力を霧散させて凍っていたのを解凍し、誤魔化すとカーナさんは誤魔化されてくれたが、キリアさんにしっかり釘を刺されてしまった。


現在、カーナさんに抱き上げられた状態で村の入口へ向かっている。村は静まってかえっており、村への入口へはスヨンさんが松明で光源を作って案内してくれている。

何回かこちらを振り返りなにか言おうとして口篭り、結局前を向いて歩くを繰り返している。

今回の盗賊を討伐にあたり、初めは奴らの言いなりとなり捕まることにしたと話したら、必死に止められたが、安全対策をしっかりしていることを伝えて理解してもらった。しかし、やはり納得は出来ていないようだ。


スヨンさんの背中を見ていたら、「くぅーん」と声がして、下を向くとコハクが耳をペタンと伏せて上目遣いで見てきた。


「うっ!·····コハク、ごめんね。少しだけ我慢してね」


「くぅー」


「·····キリアさん」


今回の作戦では、コハクは私達と別行動で待機になのだ。

盗賊達が求めているのはカーナさん、キリアさん、私の3人だそうなので、コハクは村に残ることにっていた。

コハクは、それが嫌なようで必死に私の膝上に手を置いたり、進行方向に座って歩くのを邪魔したりしたが、聞き入れてもらえなかった。

そして今、上目遣いにウルウルと潤んだ瞳で私を見つめてくるのだ。·····私はその目に勝てなかった。

キリアさんを見ると片手で髪を掻きながら、目を瞑り少し止まると、溜息を吐きながら目を開けて屈んで、コハクと目を合わせた。


「コハク。無理しないと約束できるなら·····見つからないよう着いてきていいよ。ただ、危ないと思ったら、すぐに逃げるんだよ。いいね!」


「わん!わふっ!」


嬉しそうに返事をして、キリアさんに顔と体を擦り付けて、尻尾を行き良いよく振りまくっていた。

コハクも影ながらの参加が決まった。


キリアさんもコハクの上目遣いには勝てないようです。


盗賊が来たことは村のまとめ役達と門兵をしている者達だけが知っており、他の村人たちは知らないそうで、今は夜中で皆の寝ているとの事だったが·····何かを察知したのか、何人かが心配そうに家からこちらを見ていた。


村の入口に着く前にコハクはどこかへ消えていた。

なにか魔法を使ったようだが、一瞬で消えたので何の魔法を使ったのか分からなかったが、泉へ逃げてきた時と同じ方法を取ったのではないかと推察した。


コハクって、まだ生後2ヶ月ですわよね?

フェンリルって神獣だけあって色んなことができるのかしら?


不思議に思っている間に村の入口に着いた。

門兵をしているのは入る時に居た男達で、2人とも気まずげに俯いてしまった。

ここまで案内してくれたスヨンさんは、泣きそうな顔で振り返ると「やはり止めませんか?」と震える声で言ってくれた。

ここまで来たら、もう止めることは出来ないだろうに、それでも、良心の呵責からか、自分達の不甲斐なさからか、はたまた年端もいかぬ子供を巻き込むからか分からないが必死に目に涙を貯めて引き止めようとしてくれている。


「大丈夫だぞ!心配するな!」


「行ってきます」


カーナさんが快活に笑って、スヨンさんの肩を叩き村の外へ歩き出す。

それに続くようにキリアさんがあとを着いていく。

私はカーナさんの腕の中で寝たふりをしているため、何も話さずに腕の中で大人しくしている。

カーナさん達が通り過ぎたところで、スヨンさんは声もなく涙を流しながら「お帰りをお待ちしてます」と私たちに頭を下げ続けた。カーナさん達が暗闇で見えなくなるまで·····


村を出て少し進むと、待っていましたとばかりに5人の盗賊達に周りを囲まれる。


「へへへ。お待ちしてましたよ。下手な抵抗は辞めておいた方が身のためですよ。我らは《ガルガ》の一団ですからね。見張りから聞いていたとおり親子の3人連れですね。武器を持っていないかチェックします。大人しくしていてくださいよ」


5人の屈強な男の内、1番線の細そうな男がまとめ役のようで、話を進めていく。


《ガルガ》の一団と豪語していたが、そもそも《ガルガ》を知らない。ただ、あれだけ胸を張って豪語するくらいだ。名の知れた盗賊なのだろうと思ったが、カーナさん達はなんの反応も示さなかったので大したことのない盗賊なのかもしれないと思い直した。

だって、カーナさん達が興味無さそうに男達を見回しただけだったんだもの。


二人の男が前に出てきて、キリアさんの手を上げさせて無遠慮に体を触っていく。時々、下卑た笑いが起きたが、まとめ役の男が窘めて何事もなく確認が終わった。


下卑た笑いが起きた時に殺意が膨れ上がりそうになったが、今ことを起こせば、計画が頓挫するので自制心を持って気持ちを鎮めた。


カーナさんの確認をする時に、寝たふりをする私をカーナさんから取り上げようと男が寄ってきた瞬間、カーナさんが男を睨みつけて殺気を放ったため、寄ってきた男は冷や汗をかきながら顔を青ざめさせて固まってしまった。

他の男たちは何が起こったのか理解していなかったようで、「女に睨まれて怖がるとか情けない!ママが怖いでちゅかー?」などと固まってしまった男をからかった。からかわれた男は一瞬の出来事だったのもあり、気のせいだと自分に言い聞かせたようで、他のからかってきた男達に「うるせぇ!」と怒鳴っていた。


見かねたキリアさんがカーナさんから私を奪って抱き上げたので、フリーになったカーナさんをキリアさんを調べたのと同じ男達が、これまた念入りに調べた。何故か胸やお尻などを特に念入りに調べており、カーナさんに皆集中しているのを察知魔法で確認してから薄目を開けて奴らの顔をしっかり覚えた。


「シエル。まだ大人しくね」


キリアさんに小声で囁かれた。

どうやら私の行動をしっかり把握していたようだ。


そんなすぐに手を出すと思われているなんて心外だわ!

ちゃんと後で分からないように仕留めるつもりなのに·····


カーナさんの確認が終わると男達が私に手を伸ばしてきた。

気持ち悪くなったが、吐き気をしっかり抑えて寝たふりを継続させた。


「ずっと寝てますね」


「村で眠剤入りの茶を飲まされたんだ。お前らの指示か?」


「そうでしたか。いえ、私共は連れてくるようにしか言ってませんから、優しい彼らの気遣いでしょう」


「そうか。娘の確認は終わっただろ。返せ!」


「返しておやり。ここで暴れられても面倒ですからね」


無遠慮に体をまさぐられて、身体検査を終えた私はカーナさんの腕に戻された。猫耳帽子を外され、息を飲む音が2つ聞こえたが、そのまま帽子を戻されたため、帽子での顔隠しは継続できた。

身体検査時に私のエプロンバックの中も確認しており、干し果物や空の筒状のガラス瓶しか入っておらず、危険性なしと取り外されずそのままにされた。


なんとも杜撰な身体検査ね。使用用途が分からくても、回収しておくものでしょう。それも、こんな子供の体をまさぐっても楽しくないでしょうに、それともぺドフィリアとかいう子供に性的な感情を持つ方なんでしょうか。


そんなことを疑問に思っていると、カーナさんが「穢された」などと言いながら、私をギュッと抱きしめて頬にキスをしてくれた。


心が温かくなりながら、何故か悲しくなった。

自分の心が理解できなくて、心の中で首を傾げてしまったが、今はこれからの事に備えなくてはいけないので、よく分からない感情を隅に押しやり、考えないようにした。


カーナさん達が武器を持っていないことを確認した盗賊達は、まとめ役の男を先頭に左右に分かれて、私達を囲むように配置して歩き始めた。


まとめ役の持つ焚き火が、パチパチと弾けながらも道を照らしていく。

どうやら森の中を進みようだ。

まとめ役の男が焚き火に何かを加えた。匂いからして魔物避けの薬を焚き火に加えたようだった。


魔法薬として調合師が作る魔物避けの薬だろう。

冒険者がよく使うもので比較的安価で手に入る代物だ。

全ての魔物に効果がある訳では無いが、匂いに敏感な魔物はこの魔物避けの薬の匂いを嫌うため使う価値はあるのだ。


森を歩く足取りに迷いはなく、間違えなく歩き慣れている。

進む間に何度か何かを光らせており、どうやら何処かに合図を送っているようだった。

随分、用心深い盗賊たちのようだ。


そうして、結構な時間歩き続け洞窟がある開けた場所に出た。

どうやらここが盗賊達の拠点のようで、何人かが焚き火を囲っており、まとめ役の男へ声をかけていた。そして、私達を·····というかカーナさんを不躾でいやらしい目でじっとり見ているのが感じられた。


皆さんこんにちは!

いつもコメント、ブックマークありがとうございます!

これからも応援よろしくお願いします!

アップを続けられるよう頑張ります!

進みが遅くてすみません(´∩ω∩`*)

次回から、やっとこさ盗賊とのお話になります!

どうぞよろしくお願いします☆°。⋆⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝

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