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騙され裏切られ処刑された私が⋯⋯誰を信じられるというのでしょう? 【連載版】 作者:榊 万桜
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50: 冒険者は不思議な方が多いのでしょうか?

 キリアさんに連れられて拾った枝を持ってテントに戻ると、4人の冒険者を正座させてその前に仁王立ちしているカーナさんがいた。正座させられている4人のうち2人は先ほどの男女だった。

 思わず何しているのか確認してしまったのはしょうがないことだと思う。


「……何しているの?」


「シエルっ!! 大丈夫だったか!? 怖かっただろう、いきなり強面の冒険者なんかに囲まれるなんて」


「なっ!! 私の顔そんなに怖くないよぉ。それに、かわいい子を愛でることが生きがいの私が怖い顔なんて向けませんよぉ」


「「「エマは黙ってろっ!!!」」」


「酷いぃ!!」


「お前ら……反省してるのか?」


「「「「はいっ! すみませんっ!!」」」」


 声をかけるとカーナさんがすぐさま私のもとへ駆け寄り抱きしめてきて心配された。

 カーナさんの言葉で先ほど起きたことがカーナさんに知られていることが分かり、この状況について理解できてしまった。たぶん、カーナさんが暴走したのだろう。

 カーナさんの言葉にすぐさま反応して唇を尖らせて抗議している人が先ほど合った女性で、一緒に正座をしている他3人の反応を見るに既にカーナさんによる何かしらの暴走が終わった後なのだろう。

 なら、当事者である私が状況をしっかり把握して納めるのが筋だろうと考え、抱きしめられている状況から顔を上げて、カーナさんの見上げてもう一度問いかけた。


「カーナさん。何しているの?」


「ん? 勝手に私のかわいい娘に迫り、怖がらせた若造どもに、や・さ・し・く愚かな行為に及んだ理由を聞いていたんだッ!」


 自信満々な返答に唖然としそうになりながら、そんなに怖がっていないし、そんな正座をさせて説教するような案件でもないと諭そうと口を開く前に、キリアさんとコハクの声に遮られた。


「カーナ、しっかりね」


「ワンッ!!」


 カーナさんの腕の中からいつの間にか連れ出され、キリアさんに手を引かれて焚火の方へと歩かされていた。後ろからはコハクが押してくるため歩みを止めることもできない。


「え、キリアさん? コハク?」


「シエル。ご飯の用意を手伝ってくれる?」


「え、あの。ちょ、ちょっとコハクッ!?」


 行動の意図が読めず、キリアさんとコハクに抗議しようと声をかけると、食い気味で手伝いを頼まれ、コハクの押す力も強くなる。それに、カーナさんからも後押しするかのような声が聞こえ、カーナさんの説教と止めようとする私の行動の賛同者はいないことが分かってしまった。


「いいぞッ!! コハク! そのまま連れて行ってくれ。私はまだ彼らとのお話が終わってないからね。シエル、シエルの作ったご飯楽しみにしてるな!」


「えッ! かわいい子の作ったご飯っ!! はい! 私の分も!!」


「「「エマッ!!!」」」


「ほぉ、やっぱり反省してないな」


「「「「~ッ!!!」」」」


 カーナさんの言葉の後にあの女性の声が聞こえたような気がしたが、内容はよく聞こえなかった。

 カーナさん達が気になったが、キリアさんに顔を覗き込まれて声をかけられたので、先ほど聞こえなかった内容を考える思考が途切れてしまった。


「何作ろうか?」


「えっと、キリアさん。カーナさん達はいいの?」


「ん? 大丈夫だよ。カーナも大人だし無理はしないでしょ……たぶん」


 一応、キリアさんには確認したが大丈夫だと言われた。息子のキリアさんの言葉だし信じていい気がする。言葉の最後に何か呟いたような気がしたけど、声が小さすぎて聞こえなかったので気のせいかもしれない。コハクもキリアさんの言葉にしきりに頷いているし、私の気にし過ぎなのかもしれない。

 世間では子供に声かけるには順序があるのかもしれないし、私はカーナさんの護衛対象だから余計に彼らの行動がカーナさん達の琴線に触れたのかもしれないしね。


 私にカーナさん達を止めるだけの力はありませんでした。見ず知らずの男女の皆さん、すみません。

 カーナさんは、そんなに怖い方ではありませんし、根に持つような方でもありません。少しだけ怖いかもしれませんが、カーナさんの気が済むまで我慢してください。そんなに長くないはずです……多分。


 私は、心の中で弁解することしかできなかった。

 あとできることと言ったら、ご飯を早く用意してカーナさんを呼びに行き、彼らと引き離すことしかできません。頑張りますね、皆さん!


「そうかな。なら、早くご飯用意してカーナさんを呼びに行かなきゃだね」


「そうだね。じゃ、何作ろうか」


 心の中で決めたことを実行するため、さっそく声に出して準備に取り掛かった。

 周りを軽く見ながら誰も見ていないことを確認し、魔法鞄から余っている食材を手早く取り出し、今日の夕食内容を考える。


「えっと、村で貰った干し肉とジャガ、トマトにキャロ、キノコ類もあるよ。あと、干しパスタと乾パン、野草も残ってる」


「ううん。トマトとキノコ類は早めに食べちゃわないと痛むね」


「なら、トマトとキノコのスープパスタにしませんか?」


 私でも手早く作れて、量的にも満足できるものを提案する。それに手抜きにも見えないので、私の意図に気づかれにくいかと思ったが、キリアさんが少し苦笑しているのが見えて、私の考えは読まれているようだった。でも、小さく優しく笑って頷いてくれたので許してくれたようです。

 キリアさんも優しいです。


「うん! 美味しそうだね。夜は少し肌寒いし、温かいスープはいいね。そしたら作ろうか」


「うん! コッヘル持ってくるね」


 嬉しさと、考えを読まれてしまった気恥ずかしさで、少しだけ顔が赤くなってしまっているかもしれません。コッヘルを取りにテントに行こうとすると、目の前に一番大きなコッヘルの手持ち部分を銜えて持ってきてくれたコハクが褒めてというように尻尾を振って座っていた。


「わんッ」


「あら、持ってきてくれたのね。ありがとう」


 あまりの可愛さにコハクの頭を撫でながら顔が緩んでしまった。

 その後は、キリアさんと一緒にご飯作りをはじめ、コハクは必要な調味料や器などを的確に持ってきてアシスタントをしてくれた。いつもの楽しいご飯つくりとなった。



 そのころカーナは、いまだに正座をさせられている4人の前で仁王立ちしていた。


「さて、Cランクパーティー《聖森の守り人》だったな。なんで私の娘に近づいた? ちゃんとした理由を教えてくれるんだよなぁ」


「本当にすみません。街道で遠くから見た時から可愛いそちらのお子さんに、うちのメンバーが興味を持ってしまって……。次に会ったときにどういう行動に出るかわかっていたのに止められず、娘さんを怖がらせてすみませんでしたッ!」


 メンバーのリーダーとおもしき男性が頭を下げながら謝罪する。それにメンバーも一緒に頭を下げた。

 その男のある言葉にカーナの耳と眉が反応する。そして腕を組んで胸をそらしながら頷く。 


「確かに! 家の娘は可愛いッ。そこの女子が騒ぐのも分かるが、怖がらせちゃダメだろ。それに母親の、そう! 母親の私に声をかけるのが先だろ。筋通さなかったお前らが悪いのはわかっているよな?」


 なぜ母親と強調するように二回も行ったのか分からないが、リーダーの男は返事をしながら再度頭を下げる。今回の騒動はどう考えてもこちらに責はある。


 街中でも問題だが街外でのあの行動は下手したら犯罪だ。子供に接触を図る際は緊急時を除き、保護者に一度お伺いという名の挨拶が必要なのだ。なにかルールがあるわけではないが、常識としての問題となる。

 守るべき非力な子供に無遠慮に近づくことは、子供にとってもその保護者にとっても精神的ストレスとなるのだ。ただえさえ旅路では神経を使うというのに、そこへ不必要なストレスを与えるなど非常識にもほどがある。


 エマの行動は、人さらいなどと間違われる可能性もあったのだ。それを止められなかった私にも責はある。フェンリル様と会えた喜びと、なぜ人とともに行動しているのかという疑問と疑惑に囚われ、正常な行動ができていなかったと今なら分かる。

 しかし、行動してしまったものは取り消すことはできないので、誠心誠意謝罪するしかないのだ。


「はい。本当にすみません」


「すみませんでした! 可愛い娘さんと素敵な毛並みのフェンリル様と戯れさせてくださいッ! お願いしますぅ!!」


 謝罪しているメンバーの間で同じく頭を下げている赤銅色の髪の女子が謝罪に紛れてお願いをしてきた。これには、さすがのカーナも呆れてしまう。


「なぁ、この女子、本当に反省してるのか?」


「すみません。エマは可愛いのに目がなくて……ちょっとおかしな子なんです」


 話が通じそうな他のメンバーを見ながら問うと、薄氷色の髪のリーダーが申し訳なさそうに眉を下げて、フォローになっていない言葉を呟いた。それに被せるようにエマと呼ばれた女子が欲望に忠実な、なんともやばい発言をした。


「可愛いは最強ですッ! 私は可愛いに囲まれてハアハアしたいんですぅ。そのためなら頭なんて簡単に下げますぅ」


 さすがのカーナも引いた。先ほどの発言で引かない方がおかしい。

 何かやばい薬でも決めているのではないかと疑ってしまうのもしょうがないというものだ。


「……えっ? やばくないか? なんかやばい薬でもしてるのか?」


「すみません。本当にすみません」


「エマ、黙ろうか」


「エマ……ちょっと教育が必要かしら?」


「えっ!? ちょ、それはやめてぇ。落ち着くから、ね? ね?」」


 リーダーの男は何度も頭の下げて謝り、紅色の髪の男がエマを諭したが、エマと呼ばれた女性の暴走が止まる様子が見えない。すると青紫色の髪の女性が柔らかな笑顔をエマに向けで底冷えのする美しい声で呟くと、一瞬でエマは縮こまり必死に女性の服をつかみながら教育されないよう願っている。

 青紫色の髪の女性が使用としている教育が気にはなるが、それよりシエルに近づいた理由を把握する方が先である。


「まぁ、そこの変態女子は静かにしような。それで? 家の娘が可愛いからだけではないよな」


「そうですね。そちらと一緒に行動されているフェンリル様にご挨拶となぜ一緒に行動されているのか確認したく」


 リーダーの男は、先ほどまでの優男ぶりがスッと消え、真剣な顔つきになり、ジッとカーナを見つめる。その眼には嘘が通じない何かがあるように錯覚させる光が宿っている。

 しかし、カーナには通じなかったようで、委縮することもなく、いつも通りの調子で話しかける。


「あぁ、お前エルフだったな。精霊や神獣に敬意を持つ世界樹の守り人であるエルフがいるなら、お前たちの行動も納得できる。しかし、エルフがエリスタ王国にいるなんて珍しいな。境には来ないと思っていたが……」


 リーダーの男は、髪型で分かりにくくしているがエルフの特徴でもある耳が人より長く尖っている。

 顔も整っており、普通の女子なら騒ぐほどであるが、ここにいる女子には通じないようである。それに気にした様子もなくリーダーの男は頭を掻きながら苦笑して話す。


「僕が異色なんです。古きを知る種族は境に敬意をはらい交流はしますが、近寄ろうとしません。僕は外の世界への興味が強く、こうして冒険者にまでなった変わり者ですからね。しかし、エルフとしての信念は消えていませんから、こうして何かの縁で神獣フェンリル様にお会いできたのだから素通りなんかできません。それとフェンリル様の護り子であるあなたの娘さんにも挨拶をと」


 最初は疑惑を持って接触したが、コハクとシエルと見た後では、フェンリルのコハクは何か良からぬことに巻き込まれて無理やり連れられているわけではないことは理解できていた。逆にシエルがコハクの護り子であることも気づいていた。

 神獣は神聖な生き物であり、人に懐くことはない。例外があるとしたら、それは護り子だけである。

 神獣の庇護下に置き、自身と対等であると決めた者のことである。しかし、もう数百年護り子が選出されたことはないため、人の記憶からは消えた情報である。

 英知の守り人である長寿のエルフだから知っていだけである。


 カーナが知っているのはシエルに触れて情報を読み取ったからだが、あえて触れずに聞き流して話を進めた。


「なるほどな。理解はできたが行動の順番が間違っていたな。コハクもキリアも怒っているし、今日は合わせてくれねぇと思うぞ。どうせお前らもサザリンへ行くんだろ? 明日の朝にまた来い。そんときには二人の怒りも冷めてるだろうからな」


「えぇぇ。…ッ‼ いえ、何でもないのぉ」


「はい。いきなりの訪問すみませんでした。明日の朝、またお伺いさせていただきますね」


「ほら、行くわよ」


 さっさと帰れと手を振ると、エマが抗議の声を出したが青紫色の髪の女性に笑顔を向けられると項垂れて静かになり、女性に手を引かれて自身のテントへ帰っていった。紅色髪の男も後に続いた。

 帰っていく間も歩みは止めないが未練たらたらで、チラチラ後ろを振り返りながらエマは騒ぎ、他の2人も釣られる様に一緒に騒ぎ始めた。


「うえぇん。かわいい子たちがぁぁぁ」


「こっちこそ泣きたいわよ! イケメンとイケ女と仲良くなれたかもしれないのに、エマのせいで嫌われちゃったかもしれないのよッ! はぁ、でも、さっきのイケメンの鋭い視線……とっても良かったわぁ」


「本当だぜッ。あんな実力者そうそういないってのによぉ。あの母親もだけど息子の方も相当な実力者だぜ。是非とも手合わせ願いたかったってのに」


 青紫色髪の女性の発言と紅色髪の男の発言もしっかり聞こえて、若干口元が引きつりながら、いまだ目の前にいる薄氷色のエルフを見ると、片手で目を覆い項垂れていた。


「……お前ら。 本当にすみません。ちょっと変わった者たちなもので」


 やはりフォローにはなっていなかった。


「随分変わった者たちとパーティを組んでるんだな」


 エルフってだけでもより取り見取りだろうに、この男からは確かな実力も感じる。なのに、なぜあのパーティメンバーを選んだのか……不思議でならない。


「そうですね。でも、彼らは裏がありませんから」


「そうだな。欲に忠実だが話が通じない狂人ではないな」


「はい。私はエルフなので色々な目で見られますから、自然と目が養われるんですよ」


 少し話しただけだが、彼らは欲望に忠実ではあるようだが、話が通じない狂人ではないと分かった。それに、パーティリーダーのこの男への信頼感も態度から伺えたし、パーティ内の雰囲気も良いようだ。

 エルフがいう言葉に重みがありすぎて、冒険者人生で色々と苦い経験したのだろうと予測できてしまった。だからだろうか、見た目以上に年を食っているように感じた。


「……その話し方、普通でいいぞ。話しにくいだろう年下相手に」


「あれ、なんで分かったの? 僕若く見えると思うんだけど……まぁ、お言葉に甘えようかな」


 見た目も話し方も若く見えるが、エルフは成人してからの成長が非常にゆっくりで見た目での判断は困難だ。中にはそれを使っておちょくってくる者までいるしまつ、意外とおちゃめな人も多いのだ。


「そうしてくれ。私も年上の人にいつまでも敬語で話されるのはちょっとな」


「ははは。Aランク冒険者の黒狼にそんなことを言われるなんて、こっちこそ恐縮してしまうよ」


 さすがに同ランクだとはいえ、年上のものに敬語で話されるのは違和感がある。だからと言って、自分が敬語を使うのは無理なので相手に敬語を辞めてもらうことが一番スッキリするのだ。

 違和感がなくなってスッキリしたところで、相手からまさかの爆弾を落とさる。つい顔をしかめてしまった。


「げっ、何で知ってるんだよ」


「年の功と言いたいところだけど、僕たちの本来の活動拠点はリンザール国のクスクスなんで知ってるんだ。あちらでは有名だから、いろいろと」


「……それ、娘に話すなよ」


 それも知られたくない過去話まで知っているようで、シエルに知られないよう釘を刺しておいた。

 少しにやついていたが、私が睨むと両手を挙げて首をすくめて降参のポーズをとりながら、自身のテントに向けて歩き始めた。


「あ、娘さんは知らない感じなんだ? 言わないよ。まだ死にたくないからね。では、また明日」


「あぁ、また明日な。あっ‼ 日の出後に来いよ。なんかあのエマって子早く来そうだからな」


「ははは、否定できないや。気を付けるよ。ありがとう」


 エルフの背中に向けて明日の来る時間について注意しておいた。あのエマっている女子は暴走しそうだったからだ。どうやら否定できないようで、少し困った顔をしながら笑ってエルフは帰っていった。



 話し合いが終わったのか、意外と早く帰ってきたカーナさんが後ろから私を抱きしめてくる。

 背中から体全体に包まれるような温かさにホッとして、抵抗するのを忘れて体を預けながらカーナさんを見上げ見る。


「シエルぅ‼ やっとお話し終わったぁ。ごはん‼」


「あ、ちょうどご飯できたところなの。一緒に食べよう」


 持っていたお皿を持ち上げながら声をかけると、すぐさま私の横に座り、ウキウキとしながらこちらを見ているカーナさんにコッヘルからスープパスタを皿に取り入れて渡す。


「~ッ‼‼ 食べるぅぅぅ‼ シエルの横に座るッ!」


「どうぞ。今日はトマトとキノコのスープパスタだよ」


「ふふふ、とっっっても美味しそう‼ 食べようか」


「「「いただきます」」」


「ワンっ!」


 トマトとキノコのスープパスタは、トマトの酸味と甘み、キノコの出汁も合わさり深い味わいになっている。残っている干し肉を千切って一緒に煮込むことで、肉の旨味と塩見がいいアクセントになっており満足感も増す。お好みでチーズを入れられるように用意していたが、ドンドン無くなっていく。

 カーナさんもキリアさんもいつも通りよく食べる。気持ちいいくらいコッヘルの中身がなくなっていく。


 最初はお皿によそうことをシエルがしていたが、自分が食べるタイミングがなくなり、食事が冷めてしまうこともあり、各自でよそうこととなった。最初から「大丈夫、自分たちでやるよ」と言われていたが何かお手伝いがしたかったこともあり、させてもらっていたのだ。逆に気を遣わせる結果になっただけだった。


 大体食べ終わり、お腹が膨れたようで満足げに足を組みなおしたカーナさんが、何か思い出したような声を出して、何事もないように話し出した。


「あ、明日の朝にさっきの奴らまた来るから」


「はっ?」


「グルゥ?」


 カーナさんの声にいち早く反応を示したの眉根を寄せて不機嫌になったキリアさんとコハクだった。私は二人の反応が意外過ぎて首を傾げてしまう。

 キリアさんはあまり自分の不快感など出さないようにしているようだったので、今回の反応にはビックリしてしまった。


「シエルへの謝罪とコハクへ挨拶で来るんだよ」


「危なくないのか?」


 不信感を隠しもしない視線をカーナさんに向けながらキリアさんが問うと、カーナさんは特に悩みもせずに答えた。


「大丈夫だと思うぞ」


「……ならいいけど。俺も一緒に合うからね」


「当たり前だ。それにしても、随分過保護になったなぁ」


「うるさいっ」


 カーナさんはキリアさんの頭を撫でながらしみじみと呟くと、カーナさんの腕を払いながら珍しく声に感情を乗せながらプイっとそっぽを向いてしまった。

 キリアさんが可愛く感じたが、難しいお歳頃にその反応は逆効果な気がして話を変えることにした。


「えっと、さっきの人達と明日合うの? カーナさん達の知り合いなの?」


「え? 知らないよ。初対面だし」


 あんなに怒っていたから、合うことはないかと思っていたが、話し合いという説教の場で何かあったのか? それとも、もともとの知り合いだったのかとも思った。さすがに初対面で仁王立ちと正座での話し合いはないと思ったのだが……違ったようだ。


 別に危険な目にあったわけでもないので、謝罪の必要もないと思った、が……カーナさん達は違ったようだ。


「え、そうなの? じゃぁ、明日は本当に挨拶と謝罪に来るの? 私は、別に謝ってもらわなくても……」


「「ダメだ」」


「あいつらがやったことはルール違反だし、犯罪者につながる行動だ。だから……次やらないようお話ししたんだ」


「そうだね。明日は犯罪者が向けられるような視線にさらされながらの謝罪場になるよう目を休めておくね」


 え? あれ? おかしな話になっていないか?

 キリアさん? 既に目が怖いのですが……


「犯罪者だなんて、ちょっと話をする順番を間違えてしまっただけのようですし、そんなに責めなくても」


「シエルは優しすぎるな」


「シエル、犯罪の芽は早めに摘まないともっと危険な犯罪を犯すようになるんだ。だから、早めに対処することは大切なことなんだよ。ね?」


「えっと……う、うん」


 皆、目が怖いよ。コハク、コハクの可愛いお目目はどこに行ったの?

 ……冒険者の皆さん、明日は大変のようです。

 私にはカーナさん達を止められませんでした。ごめんなさい。


明けましておめでとうございます。

今年も宜しくお願い致します。


皆さんにいつも読んでくださり、ありがとうございます(*^-^*)

皆さんの応援に力をいただいています。

今年も頑張って更新していきたいと思います‼

今後もよろしくお願いします(^^♪


今回はちょっと長くなってしまいました(-_-;)

年明け前にアップしたかったのですが、力及ばずですみませんm(__)m


こんなお豆腐メンタルな私ですが、今後も応援していただけると嬉しいです( *´艸`)


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