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騙され裏切られ処刑された私が⋯⋯誰を信じられるというのでしょう? 【連載版】 作者:榊 万桜
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11:無事に終わるのでしょうか?

本当にすみません!!

遅くなりました(´+ω+`)


皆さんのコメントとても嬉しいです(*´˘`*)♡

元気が貰えました!

いつもありがとうございますヾ(*´∀`*)ノ


では、少し短めですが、楽しんでいただけたら嬉しいです(*´˘`*)♡


「シーエールー!!!!!!」


エントランスホールの方から聞き馴染んだ声が聞こえてきた。


カーナさん?随分早くない?


エントランスホールの方から段々騒がしさが近づいて来た。それに伴い、カーナさんの声と聞き覚えのある男の声が聞こえてきた。


「待て!!先に行くな!危ないだろ!あぁ!!だから、殺そうとするな!証言が必要だと言っただろ!」


「煩い!シエルと離された私の辛さなどお前に分かるものか!!それも、こんな筋肉塗れの馬鹿共に囲まれてるんだぞ!!私の可愛い娘が!!死ね!死んで詫びろ!!シエル!!私に可愛いシエルの顔を見せてくれ!シーエールー!!」



·····間違いない。カーナさんだわ。

徐々にこちらに近づいてくるのは、勘で私たちの場所を把握しているのかしら?

本当に規格外の勘の良さね。


「はぁ、カーナ·····」


疲れ切った声が聞こえ、少し視線を下げると、片手で顔を覆い項垂れているキリアさんがいた。

心做しか少しだけ耳が赤くなっているようだが、見なかったことにした。

気づいてしまったら、私にもその気恥しさが移ってしまうもの。


「·····大変ね」


なんて言えばいいか分からず、そんな言葉しか出てこない。


「我慢したほうだ·····たぶん」


自信なさすぎではありませんか?

キリアさんのお母様なんだから、もっと自信を持つべきよ!

ちゃんと我慢できた!!って··········たぶん。


キリアさんは、ため息をつきながら、立ち上がり扉へと向かっていく。いつの間にか両手に黒のダガーナイフを携えており、なんの躊躇いもなく扉を開いていた。


カーナさん達の方へ向かおうとしていた護衛の男がそれに気づいたようで、剣を構えながら走り寄ってきた。


扉から出てきたのが、自分達と比べたら細くスラッとした身体に綺麗な顔の少年だったものだから、状況判断もできない愚かな護衛の男は、舌なめずりしながらキリアさんに襲いかかり、何も出来ずに床へと沈められた。


ほんの一瞬で床へ沈められた護衛の男は、何をされたかわからない様子で目を白黒させていた。その直後、キリアさんの踵がその男の頭へ叩き落とされ、白目を剥き、口から泡を吹いて、僅かな抵抗も出来ずに、意識を刈り取られたのだった。

その間、1秒もかからなかった。


うわぁ·····容赦ない。


キリアさんは、床に沈められた護衛の男を冷ややかに見下ろすも、直ぐに興味をなくしたのか何事も無かったように、騒がしく近づいてくる集団の方へ歩き出した。


うーん。そのまま放置しておいて逃げられるのも癪よね。

直ぐには目覚めないだろうけど、逃げられて捕まえに行くのも面倒だもの。

それに·····


扉の前で沈められている護衛の男の近くに佇みながら、キリアさんの方へ視線を送る。


目を離した一瞬のうちに、さらにもう1人を床に沈めていた。

そして、何事も無かったようにカーナさん達がいるであろう方向へと歩き出してしまっている。


·····しょうがないわね。

間違っても触らないように連れていくしかないかしら。


床に沈められた護衛の男達を僅かに浮かせ、キリアさんの後を追った。


ただ、連れていく間に床に落としたり、壁にぶつかったりなど事故が起こってしまったが·····8歳の子供の魔法だもの。ちょっと、魔力操作が未熟なのはご愛嬌よね。





貴族の館は、外は豪奢だが中は侵入者避けのために少し入り組んで造られている。

特に大切な書類がある書斎や主人の寝室などへの通路は入り組んでおり、カーナさんの声が聞こえたはずなのに、合流に少し時間がかかってしまった。


合流した時、カーナさんは荒れていた。それはもう、鬼のように荒れ狂っていた。


右足で護衛の男の顔を踏みつけ、左手で別の護衛の頭を掴んでおり、もう少し合流が遅れていたら、護衛達の命の灯火は為す術なく消え去っていたのでしょうね。

だって、二人とも白目剥いているし、頭掴まれている人は痙攣してるもの·····


鬼のようなカーナさんを、兵士の格好をした男達が3人がかりで、カーナさんの両腕、腹部を抑えていた。

兵士の男達も風前の灯火状態の護衛達と同じくらいボロボロだ。

その中で左手を抑えている兵士がカーナさんに説得?を試みているようで、その声に聞き覚えがあった。


「落ち着け!ここでコイツらを殺しても面倒になるだけだ!娘を探しに来たんだろ?コイツらに構わずに娘を探しに行こう!なっ?だから!その手と足を離せ!!マジで死ぬから!」


「煩い!邪魔するな!絶対にコイツらを私の可愛い娘に近づけさせない!!死ねっ!」


「いやいやいやっ!だから!死なせたらダメなんだって!コイツらが言ったことは冗談だから!な?だから、その手と足を離せ!!」


うーん。この声、やっぱり聞いたことあるわ。

·····たぶん入国審査してた兵士のおじ様じゃないかしら?


そんな事を考えながら、キリアさんの後ろに付いてカーナさん達に近づいた。


カーナさんは余程キレているのか、私たちに気づかず未だに兵士のおじ様と言い争っている。抑えている兵士達も必死なのだろう、こちらに気づきもしなかった。


キリアさんはスタスタと乱れなく歩き、カーナさんへ近づくとその頭を叩き倒した。

パッシーン!!ととてもキレの良い音が廊下に響き渡る。


「·····キ リ ア ?」


「お目覚めか?カーナ」


キリアさんに叩かれたのを気にもせず、大きく目を見開くと視線がキリアさんから私へとズラされる。


目が合った。


そう思いながら瞬きした一瞬で、カーナさんが目の前に立っていた。


えっ!?


言葉になることなく消えた驚きの声の代わりに、肺の中にあった空気が全て強制的に外へ出された。


「カハッ!!」


「シエル!!!!!!シエル!シエル!シエルゥー!!大丈夫だったか?怖かったよな?よく頑張ったぞ!偉かったな!シエルゥー!本当に良かった!無事で良かった!」


くっ、苦しい!離して!今すぐ!! 死ぬ!死んじゃうわ!カーナさんに殺される!!


カーナさんは躊躇なく、力一杯、私を抱き潰す。

他者から見たら、幼子が力加減など考えず、クマの人形を抱き潰している様を思い浮かべる光景だろう。

·····サイズ感も悪くないはずだ。


そんな他人事みたいに感じるようになり、目の前が白くなってきた時、キリアさんが素早く私を回収した。


「ゲホッ!ッ!!·····ハッ、はぁ、はぁ·····んっ、死ぬかと思った」


「キリア!酷いじゃないかっ!!なんでシエルとの再会を邪魔するんだ!?」


キリアさんに助けてもらい、空気が無くなっていた肺へ必死に酸素を取り込んでいると、カーナさんがキリアさんに詰め寄っているのが見えた。


何言ってるんだろう?

あれは再会の喜びを分かち合う行為じゃなくて、息の根を止めるための行為じゃないの?

死ぬかと思ったわよ?


「はぁ·····カーナ。力加減も忘れたのか?」


キリアさんが呆れた様子で、額に手を当ててため息をついていた。

その言葉を聞いたカーナさんが、膝に手を当て必死に息をしている私に視線を下ろしてきた。

私の様子を見た瞬間、サッと青ざめ、オロオロと私の周りを彷徨いだした。


「ご、ごめん。シエル、大丈夫か?」


私の状態が落ち着くのを見計らい抱き上げて、頬ずりしながら謝り続けるカーナさん。


ねぇ、本当に反省してる?

お顔がふにゃけてますけど·····


少しは反省したようで、抱きしめる強さや頬ずりする強さが絶妙に加減されており、痛くはない。

痛くはないが、ずっとされ続ければ鬱陶しさが勝る。


今回、お留守番や囮など、カーナさんの性格上、精神的にきついお仕事になってしまったことは理解しているわ。だから、我慢しようと思ったけど·····無理だわ!はーなーしーてぇぇぇぇ!!


一生懸命腕を伸ばし、両手でカーナさんの顔を剥がしにかかるが、余計に嬉しがり、苦しくならない加減でギュッとし、その場をクルクル回り始める始末だ。


速い!速すぎよっ!は、吐く!


直ぐにキリアさんが助けてくれたから、吐かずにすんだが、気分が高揚しているカーナさんの危険性がよくよく分かったので、その後はキリアさんの後ろを陣取り、カーナさんと距離を置いた。


カーナさんが、何度も近寄ろうと試行錯誤していたが、全てキリアさんのガードにより私に近寄ることは出来なかった。


ありがとう!!キリアさん!!


そんなこんなで、やっと私達が落ち着くと、カーナさんを抑えていた3人の兵士達のうち、入国審査時に対応してくれたおじ様が話しかけてきた。


「もう話しかけてもいいか?」


「なんだ、まだ居たのか?さっさとこの屋敷にいる馬鹿共を捕まえにいけよ。そのためにわざわざお前らを連れてきたんだ」


カーナさんは、今まで私に向けていたキラキラした目は何処へやら、冷めた目で兵士のおじ様に視線だけを送った。


「そりゃないだろ。ここまで誰も死なせずに来れたのは俺たちのおかげだぞ。こんな馬鹿共でも貴族の保護下にいる者達だ。コイツらを殺してたら、正当防衛でも罪に問われる恐れがあるんだからな!」


呆れた様子でカーナさんに説いているが、カーナさんはどこ吹く風で、おじ様達に興味を失くし、私に近づこうと画策することに忙しそうだ。


「おい、聞けよ。はぁ、シエルちゃんにキリア君だったか?無事で良かった。うちの馬鹿が申し訳ない!しっかり捕まえて罪に問い、必ず罰すると誓おう。今回は怖い思いをさせて、すまなかったな」


「大丈夫です。兵士のおじ様もお母さんの相手大変だったでしょ?」


「分かるか?本当に大変だった。しかし、まさか嬢ちゃんの母親が、《漆黒の狼》だとはな」


「ふっ!つっっっ!」


疲れた様子で同意してきた兵士のおじ様の言葉を聞き、珍しくキリアさんが顔を背けて笑いを噛み殺していた。


「漆黒の·····狼?」


聞いたことのない言葉に首を傾げてしまう。

いつの間にか私の後ろに来たカーナさんが私を抱き上げると、自身を指した名だろうになんの反応も示さず、リズムを取りながら軽く揺すってきた。


「シエル。今度教えてあげるから。疲れたろ?寝ちゃいな」


殊更優しい声色で宥めるように言われると、安心して眠くなり始めた。


まだ、アイツらの片付けが終わっていないし、寝る訳にはいかないのに·····


心は大人でも、体はまだ子供だ。旅の疲れも取れていなかったようで、カーナさんの温かさとリズムのいい優しい揺さぶりに意識が遠のいていった。



まだ·····続きます(´+ω+`)

ちょっと長くなりすぎましたね·····


もう少しでカナリア編終わりますので、それまでもう少しお付き合いお願いします(*´˘`*)♡


次はもう少し早めにアップできるよう頑張ります٩(ˊᗜˋ*)و

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