イタリア、主要地域で再び都市封鎖 変異ウイルスが猛威

【ウィーン=細川倫太郎】イタリア政府は12日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため規制を強化する計画を閣議決定した。15日から過半の地域がロックダウン(都市封鎖)となる。感染力の強い英国型の変異ウイルスが猛威を振るい、終日外出禁止など厳しい措置が不可欠と判断した。
イタリアは感染リスクの度合いに応じ 各州を色分けして対策を変えている。伊ANSA通信によると、15日から北部ロンバルディア州や首都ローマがある中部ラツィオ州などが最も規制が厳しい「レッドゾーン」になる。飲食店の店内営業はできないほか、生活必需品を販売する店以外の小売店や学校も閉鎖される。原則、外出も終日禁止になる。
この他の州も、7日間で人口10万人あたり250人以上の感染者が出たらレッドゾーンにする。イタリアのイースター(復活祭)の週末にあたる4月3~5日については、ほぼ全国を都市封鎖の対象にする。新たな規制は4月6日まで有効とする。
伊保健省の12日の発表によると、1日あたりの新規感染者は2万6824人とこの1カ月間で急速に増加している。ドラギ首相は同日、「残念ながら我々は(新型コロナの流行の)新たな波に直面している」と語った。ロックダウンは経済への打撃が大きく、伊政府は来週にも追加経済対策を打ち出す予定だ。
ワクチン対策も力を入れる。イタリア医薬品庁(AIFA)は12日、米日用品・製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が開発したワクチンを承認した。J&Jのワクチンは1回の接種で済むため、十分な量を確保できれば普及スピードが速まる可能性がある。ドラギ首相は1日に投与するワクチンを3倍に増やす目標を掲げる。
変異ウイルスは周辺国でも拡大している。フランスのカステックス首相は12日、パリ首都圏「イルドフランス」の医療機関が「非常に緊迫した状況になっている。追加の対策を取る心構えをしなくてはいけない」などと述べた。仏全体で英国型の変異ウイルスは新規感染の6割以上を占めている。英国型は従来型に比べて致死率が6割高いとする論文もある。
ドイツも2月中旬ごろから新規感染者が増加傾向にある。欧州メディアによると、独政府の感染症対策の専門機関であるロベルト・コッホ研究所のウィーラー所長は12日、流行の「第3波が始まりつつある」と強い懸念を表明した。