徳島県の飯泉嘉門知事は12日の定例会見で、新型コロナウイルスの変異株が県内で初めて確認されたと発表した。既に判明している感染者の検体を調べたところ、9人から検出された。全て英国由来という。

 県によると、9人は年末年始などに関西地方との往来があった人や、その接触者。海外渡航歴がある人はいなかった。全員が既に回復し、退院している。

 知事は、9人の性別や年代について「個人の特定につながる恐れがある。感染経路も全員特定されている」として公表しなかった。

 県は国の要請に基づき、県立保健製薬環境センターで2月19日から、変異株かどうか調べるためのスクリーニング検査を開始。1月1日~3月1日に確認された感染者の中から73検体を抽出し、変異株の疑いがあるものを国立感染症研究所(東京)に送った。研究所でゲノム(遺伝情報)を解析し、9人が変異株と確定した。

 変異株は昨年12月下旬に国内で初めて確認された。厚生労働省によると、徳島県以外では今月9日までに21都府県で271人が感染している。知事は「変異株は一般的に感染力が強いと言われている。感染対策を一層徹底してほしい」と呼び掛けた。

 変異株の疑いがあると判明した時点で発表しなかった理由について、県は「可能性があるという段階で発表するのは適当ではない」としている。県は今後も、定期的にスクリーニング検査を行う。