今回はアイラモルトの中からボウモア12年を飲みます。

アイラ島最古の蒸溜所

_DSC3582_01ボウモア蒸溜所は、アイラ島の中央部、入り江沿いに立地します。
創業は1779年とアイラ島では最も古い蒸溜所になります。

「大きな岩礁」という意味を持つこの蒸溜所は、現在も大麦麦芽の一部を自前のキルン棟で製造している数少ない場所です。
そこでアイラ島の正露丸やヨードの香りを持つピートを使って麦芽を加熱して成長を止めるフロアモルティングを行っているのです。

また樽を貯蔵する第一貯蔵庫は海抜0m、入り江に最も近い場所に作られていて、そこで潮風を原酒に含ませるようにして熟成を重ねるのも特徴です。

そんな歴史の長いボウモアですが、20世紀後半になると経営が悪化し、品質が落ちてくるようになりました。
そんな危機を救ったのが、日本のサントリーでした。1994年にサントリーはボウモアを買収、現在はビームサントリーが所有しています。

ボウモアでは新樽は使わず、バーボン樽とシェリー樽を主に使用します。
ボウモア12年でも、バーボン樽原酒、シェリー樽原酒をヴァッティングしています。

現在のラインナップは、ノンエイジながら第一貯蔵庫のみで熟成されたバーボン樽原酒ベースの「No.1」、そして12年、15年、18年、25年がレギュラーボトルとして存在します。
それ以外にも、免税店向けに限定したボトルもいくつか流通しています。
Morrison_Bowmore,_Islay

スモーキーだがフルーティさも目立つ

グラスからの香り、液色

グラスからは正露丸の香りの後にレーズンの甘い香りが続いて感じられます。
液色は濃厚な黄金色です。

ストレート

アイラモルト独特の正露丸やヨードチンキの香りとともに煙たさが加わります。その後はレーズン、リンゴ、レモン、カカオ、バニラの香りが続きます。

味わいは、アルコールからの辛みがそこそこあり、その後は苦みを伴いつつも酸味がしっかり舌を刺激します。
後味には甘みも感じられ、とても豊かな味を楽しめます。

ロック

スモーキーな香りと共にレモンの香りが一気に揮発し、爽やかさが目立つようになります。
加水が進むと海藻の香りが増してきます。
味わいは、軽い苦みの後に酸味が一気に広がります。

アイラモルトらしいスモーキーさを楽しむにはロックがいいかもしれませんが、慣れていない場合は加水して柔らかくした方がいいかもしれません。

ハイボール

正露丸の香りの後にレモンの爽やかな香りが続き、奥からレーズン、リンゴ、カカオの香りが続きます。
味わいは、軽いほろ苦さがあるものの、全体的にはソフトな酸味が感じられます。

スモーキーさと爽やかさを一緒に楽しめるハイボールになります。

まとめ

アイラモルト全体で見ると、独特のスモーキーな香りは比較的おとなしめの印象です。
一方でレーズン、リンゴ、レモンといったフルーティさがしっかり感じられ、苦みもそれほど強くなく熟成感もそこそこ感じられるものになっていて、初めてアイラモルトを飲む人にはうってつけと言えるでしょう。

ロックだとスモーキーさが強く出る傾向にはあり、最初はハイボールかハーフロックで飲むほうがいいでしょう。

700mL、アルコール度数40度、価格は4500円ほどです。
最近では350mLのハーフボトルが2500円ほどで売られていますので、最初に飲むのであればハーフボトルを買う方がいいかもしれません。

<個人的評価>

  • 香り B: アイラモルト独特の正露丸、ヨードを伴うピートはしっかり感じられるが、レーズン、リンゴの香りがうまくカバーされてきつくはない。
  • 味わい B: 甘さは少ないが、ほろ苦さの後に酸味が全体に広がって悪くはない。
  • 総評 B: アイラモルトらしさはあるもののフルーティで比較的飲みやすい。初めてのアイラモルトに最適。