アイテム番号: SCP-1227-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1227-JPはサイト-██の標準認知災害古文書庫(写真用)に収容されます。実験予定外で生じたSCP-1227-JP-1実例は、優先度-カテゴリーג以上に該当する場合を除き、イベント・トラップハウスの終息が確認されるまで人為的な昏睡状態を維持されることにより救命されます。その後、視覚能力に問題のない者はSCP-1227-JPの被写体に関するさらなる詳細確認に協力を求められ、クリアランスレベル2未満の場合は必要に応じて記憶処理を施されます。SCP-1145-JP-RE-1実例より除去されたSCP-1227-JP-2実例およびSCP-1227-JP-3は、標準的な植物性生薬素材および対応する化学物質の取り扱い方に従って1227-JP専任ラボにて保管・使用され、不要分も同様に処理されます。
説明: SCP-1227-JPは視認した者に認知災害をもたらす写真です。反ミーム的な性質をもち、目撃者は表側について"白人男性が映った白黒の写真のような気がする、表になにか文字が書いてある"程度の描写しかできません。写真の裏側には褪せた黒いインクで"Pléadáil mé."と書かれており、同様の反ミーム的影響により筆跡鑑定はできていません。SCP-1227-JPの表面は裏表共に未知の樹脂やサポニン、クマリンなどの物質の混合物が薄く塗布されています。
SCP-1227-JPに撮影された内容や表側の文字を機械的に分析する試みは、これまでいずれも白から黒の間の一様な色の面としてのみ解釈される結果に終わっており、これはおそらく表面に塗布された混合物によるものと考えられています(追記: 補遺を参照)。しかし、これらの物質およびその組み合わせは特に異常なものとは考えられていません1。写真および文字に使われたインク類のサンプルを控え目に採取する試みは、これまですべて表面の混合物のみが採取される結果になりました。また、表面物質が失われた際、他の部分にある物質が移動することによってほぼ瞬時かつ無制限に元の厚みへ復元され、その後速やかに不足分の物質が補充される様子が観察されました。この性質により、広範囲を著しく傷つけることなく写真本体からサンプルを採取することは実質的に不可能であると結論付けられています。表面物質を対象にした炭素年代測定は、1900年頃からごく最近までと幅広い結果を示すものとなりました。
SCP-1227-JPの表側に視覚的に暴露した、ある程度社会性のある知的な生物(以下、SCP-1227-JP-1)はイベント・トラップハウスを経過します。SCP-1227-JP-2(後述)実例のみを非異常的な手段で栽培することにより、この現象の医学的メリットのみを享受するための研究が継続していますが、生産される薬効物質の量の差、およびin vitro・in vivo両方での(予想可能な)副作用の問題により停滞状態にあります。
一度イベント-トラップハウスを完了したSCP-1227-JP-1実例は、再度SCP-1227-JPに暴露しても同過程を経ることはありません。また、最後のSCP-1227-JP-2実例が枯死したのちSCP-1227-JP-1実例の体内からはSCP-1227-JP-3が短期間で消え、治癒効果も異常な突然死の傾向も失われます。それ以前にSCP-1227-JP-1実例から除去されたSCP-1227-JP-2実例は異常な枯死を起こすことはなく、瑣末な外見的特徴やSCP-1227-JP-3の生産を除けば、非異常性のA. triphyllaと同様の性質を示すようになります。また、事前に体外に抽出されたSCP-1227-JP-3も消滅することはありません。
有力な仮説: これまでイベント-トラップハウス中の異常な突然死を引き起こす因子が様々に推測され、観察と実験の両方において検証されてきました。その中で、現在研究者らの間で唯一かつほぼ全面的な支持を得ているのは、SCP-1227-JP-1実例が潜在的ステロタイプに影響を受けた選択をするとき、とりわけ他者の人種・ジェンダー・セクシュアリティ・宗教・障害・疾患・階級・収入額、あるいは自己のそれらと相手のそれらの関係に基づいて、対象にある程度の影響を与える選択を行う際が最も危険であろうというものです。現在の研究は見過ごされたその他の因子、特に前述のものを含めた累積性のあるトリガーの可能性、およびどの程度の影響、あるいはどのような状況を以て"偏見に基づく振舞い"が致命的なトリガーとなりうるかに焦点を当てるものとなっています5。
発見: SCP-1227-JPは19██/██/██、GoI-█████に対する捜査の過程で、拠点の1つであると目されていた山形県鶴岡市の██神社跡地で発見されました。GoI-█████は無力化された要注意団体である大日本帝国陸軍特別医療部隊(通称"負号部隊")の関係者から過去に支援を受けていたと考えられています。発見時、敷地内には非異常性のA. triphylla var. japonicaが密に群生していましたが、関連は不明です。GoI構成員らの所在、および██神社を生きて去ったと仮定した場合、その後の足跡は2017/12/01現在一切不明です。
補遺: イベント・トラップハウスを生存した職員らは、ある程度SCP-1227-JPの反ミーム性に耐性を獲得している可能性があります。彼らの証言に基づいて構築された画像解析bot"887aa-Hilal"は、2017/12/01現在4種の可能性(図a-d)を示しています。全ての場合で表側に書かれた文字列は"My Dearest, A. B."であることが判明しました。
映った人物の人相については未だ一貫性がありませんが、図dの部屋はセシル・バベッジ(Cecil Babbage、PoI-1312-IE/UK)が一時潜伏していた家屋の一部である可能性が高いことが指摘されています。PoI-1312-IE/UKはかつてアイルランド独立運動に参加し、1921年以降は反条約派として知られ、1930年代の不明な時点、おそらくエイダ・ビアトリクス・バベッジ(PoI-2285; 負号部隊内である程度の地位にあったと思われる)が米国内で目撃されなくなる以前に死亡したと考えられる人物です。少なくとも人生のいずれかの時点で、アイルランドの独立運動および内戦・反英闘争において異常な手段を用いる隠れた分派の一員であったとみなされています。PoI-2285のリパブリカン運動への関与は不明瞭である一方、PoI-1312-IE/UKは彼女の弟、いとこ、年の近い甥、あるいは恋愛関係にある人物であると推測されていました6。
一時PoI-1312-IE/UKの死は財団エージェントとの予期せぬ交戦の結果であるか、第6次オカルト大戦の余波によるものであると考えられていました。しかし現在の財団の歴史家・司法分析家の見解では、同盟オカルト連合7に加盟していた親英・反愛団体、あるいは条約派かロイヤリストに与するか、反条約派内で対立関係にあった超常コミュニティのメンバーにより殺害された可能性が高いとされています。これらの仮説のうちいずれかが事実であるとして、SCP-1227-JPの異常な性質にPoI-1312-IE/UKおよびPoI-2285がどのように関わっているかは今のところ不明です。